第五十三話 心配
翌日、シルデス村。
ミツキは朝ごはんを食べた後でロビーのソファで座った。すると、彼女が見た夢のことを思い出して背筋が寒くなる。それはどういうなのかと考えた途端ミレイとアヤが彼女の両側に腰をかける。
顎に手を当てるとミツキは思ったことをそのまま口にする。
「ミナさんたちはどうしているかしら」
「そうなんですね……心配なんですね」
「あたしもね……」
ミツキの独り言めいたセリフにミレイとアヤも危惧を示した。
「そういえば、ミナちゃんと雄一はここに去ったからめっちゃ静かだよね」
「わたしもそう思っていたんです」
アヤが賛成すると、ミレイがミツキを見て悪戯っぽい笑顔を浮かべながら口を開く。
「ふふふ。ミナちゃんともかく、一番心配させてるのはあちらの世界のミツキちゃんの彼氏みたいだね~」
と言うと、ミツキの顔が紅潮しておずおずとかぶりを横に振りつつ言葉を口にする。
「……えっ、あ、え、ち、違うわ……いいえ、違わないよ。でもその意味ではないってば! 川宮くんもミナさんも心配だわ。ヤワラカイさんとセツナさんもね」
「ふふ、そうだね」
笑いまじりミレイが即するとミツキが言葉を継ぐ。
「……ところで、わたしは変な夢を見たのよ。川宮くんたちの」
「その夢でなにあったんですか?」
小首を傾げながらアヤがその問いを投げかけて、ミツキがしめやかに彼女の夢に関して語り始めた。
「セツナさんは黒い狼に襲われた。そして、川宮くんは連携してその黒い狼を倒したの。けれど、その狼はすごい不気味なオーラに囲まれた存在だったのよ」
「そう……心配が増えた。だって、あれだね。黒い動物か魔獣に襲われると悪いものがくるって迷信だね」
人差し指を立てながらミレイがそう述べると、アヤがぐいっとソファを立ち、口を開く。
「そうなんですね……ノスタ村に行くんですか?」
「そうだね……ミツキちゃんってどう? 見に行こうか?」
ミレイも立ち上がり、ミツキに水を向ける。
「……うん、行くほうがいいと思うわ」
「じゃ、カワタおばあさんに言っとくよ」
ミツキの答えにミレイが頷いてそう言った。
ロビーから食堂に行って、三十秒くらい後で戻った。ミツキの手を取る前に、透明な袋からこの先にミナにあげたと同じ菊の形の簪を取り出してアヤに渡した。
もう精霊の宝物の経緯を知っているアヤがこっくりと頷き、ミレイとミツキが瞬間移動をするのを待った。
ミレイがミツキの手を取るが早いか宿屋をあとにし、ノスタ村へテレポートした。




