第四十五話 二つの世界の関係
雄一が席を立ち、壁にもられかかったところで顎に手を当てながらセツナは彼に話しかける。
「どこに会うかって書いてありませんでしたね」
「そうだぞ……。手紙の書き方で俺のところまでやってくるってかもしれないな」
「そうですね……」
セツナは考えるジェスチャを見せるとすぐに言葉を継ぐ。
「総偽精霊のこと何を知っていますか?」
セツナの問いに、彼女の真似をするように顎に手を当て、落ち着いたトーンで口を開く。
「そうだな……。あいつらはアクトが消えたから今現在五人で、不幸を与えたいやつらだ。あと、呪いもかけられる」
「弱点とか分かりませんか?」
雄一は小首を傾げると答える。
「分かるわけないだろ」
「そうなんですね……。どうやってキタノ森林のあの総偽精霊を消えさせましたのかな」
「いや、消えさせたでもないと思うし。あれは偶然だけだったじゃねーのか」
キタノ森林のときになにもしなくてただ偶然のみだったと宣言する雄一。
けれど、咳払い交じりで違うと思います、とセツナは口を開く。
「わたしは、あれが偶然だと思っていません。よく考えて見てください。川宮さんの説明による、あの時に〝現実世界〟へ瞬間移動しましたよね? それから、あっちらの世界のアヤちゃんの問題が解決されてすぐにこっちらの世界に戻りましたでしょう。そして、戻ったや否や総偽精霊と助手は消えました。……偶然と言ったらバカほど適当すぎると思います」
と、冷静なトーンでセツナが言った。
あっちらの世界で、喜多村の問題が解決されることは、こっちらの世界にアクトが消えたことと関係でもあって、その二つの出来事の関係の裏には意味があるのか。
「そう言われると確かに偶然に見えないしな」
「まるで正しいルートが示されてる的だよね」
ヤワラカイは冗談交じりでそう言うとセツナはそうですねと言い添える。
「カイちゃんが言う通りですね……。それで、手紙が読んでここに来る寸前でもう一度あっちらの世界に瞬間移動しましたし―」
「そうだな。…………そっか―」
セツナが言いたいのはやっと分かったと言わんばかり顔を浮かべて、雄一は話せる前にセツナは言い続ける。
「―だから、今も〝現実世界〟で解決されなければならないことがありますかもしれません。そこで解決できればここにも出来ますよ。このパターンが正しい場合でだけだけれど」
〝現実世界〟と〝異世界〟は原因結果があれば、〝現実世界〟に問題を片付けることで〝異世界〟で影響があるというセツナの仮説。
顎に手を当てたままで雄一は口を開く。
「そうだったら―そのパターンは正しければ、セツナさんが言っているのは全部そのままだったら、おかしいと思わないか? 理不尽だろ」
「それはそうですね。意味不明なものなのですね」
「そーだね。けど、あれじゃん。意味分かんなくても、たぶんこっちらの世界もあっちらの世界もいつもこうだった。それで、あたしたちはそれのことが気づいたばかりじゃん」
ヤワラカイがそう言って曖昧な笑顔を浮かべた。セツナもミナも雄一もそうして、いうまでもなくミナの髪は水色に染まった。
たぶん、あっちらの世界もこっちらの世界もどんな世界もずっとこうだった。違う時でも違う次元でも違う過去で違う現在でも、全部が重なって同じ方向へ流れていって、未来の可能性は幅広いのだ。
どうにせよ、あっちらの世界もこっちらの世界も不思議で謎ばかりなものだ。




