第二十八話 誘惑
喜多村の家に着くと彼女は居間にちょっと待ってと言って彼女は彼女の部屋に入った。
広くも狭くもない喜多村の家は普通な家だった。清潔で冷静さと寂しさが浮かんでいる印象が残らせる家だ。
数分が経つと喜多村はやっと部屋を出た。制服でなくて黄色いブラウスに白いミニスカート、黒いハイソックスに着替えた。
やばい。
その服は彼女とぴったり似合う。喜多村の白い肌と茶色い髪にマシなオーフィットだ。
可愛い。エロい。これはエロ可愛いやつかもしれない。
「わたしの部屋に入ってください」
彼女の部屋を示すジェスチュアをしながら喜多村はそう言って、もうちょっと待ってくださいと台所に行った。
俺はローテーブルの前に座り、数秒後で喜多村は二杯のグラスを持ってきた。飲むとオレンジジュースだと分かった。
「じゃあ、大事な話ってのは?」
オレンジジュースの一口飲むとそう聞いた。
「そうなんですね」
何かを思い出したと言わんばかり顔を浮かべて咳払いをした。
「大事な話をする前に一つ聞いていいんですか?」
「いいけど」
「いつから長谷川先輩と川宮先輩は付き合ってるんですか?」
好奇心こめた表情で喜多村がそう聞いてまたオレンジジュースの一口を飲んだ。
俺はこめかみあたりに掻きながら答えを口にする。
「先週の金曜日から。つまり、今日は一週間で付き合ってきた」
「そうなんですか」
喜多村は頷いて直に言葉を継ぐ。
「まだアレってやってないんですか?」
「アレって?」
小悪魔な笑顔を浮かべると彼女は秘密を言うような仕草をする。
「キスとかエッチなこととか」
「それって今の話と関係のないことだろ」
「確かにそうですね。変な質問しちゃってすみません、川宮先輩」
「いや、誤らくていいけど……」
喜多村は何もなかったふりしてオレンジジュースの一口を飲む。オレンジジュースを全部飲み干すとグラスをローテーブルに置いてため息をつく。
俺は彼女の真似をして一飲みでグラスの中身を飲み干す。
「お代りほしいんですか? 川宮先輩」
「いや、結構だ」
「それならちょっと待ってください。グラスを台所に持っていくんです」
喜多村は部屋を出ると俺は部屋の墨から隅まで見る。
壁とベットはピンクまみれで縫いぐるみたくさんあって清潔な部屋だ。そういえば、シナモン香料の匂いもする。俺の喜多村の印象にとって、喜多村らしい部屋だと言える。
開いたっぱなしのドアから二匹の白い猫が部屋に入ってきた。二匹はゆっくりと歩いてき、五秒でじっと折れを見た後で俺の太ももにゴロンと寝転んで、撫でてくださいと言わんばかり視線で俺を見つめる。
俺は両手を伸ばして、二匹の猫の頭を撫でてもふもふな毛を俺の指先に感じる。
「みやりょうや、川宮先輩といたんですか」
喜多村は部屋に入るが早いか、猫たちに声をかける。
―いや、ちょっと待って。
この猫たちの名前はみやとりょうやだ。その上、喜多村の猫はずだ。つまり、この二匹の猫は異世界にはアヤの妹と弟―ミヤとリョウヤだ。
「こらみやりょうや、川宮先輩を邪魔しないで」
喜多村が言ったことを分かったように二匹の猫は交互に見て、俺の太ももを立つとゆっくりと部屋を出ていった。
喜多村が笑って彼女の場所に座る。
「わたしの猫たちなんです……そうですね、みやとりょうやはわたしにとって友達なんですよ」
「可愛いな」
「可愛いんでしょう」
自慢げな笑顔を浮かべながら喜多村はそう言った。
その咄嗟に俺のスマートフォンの通知の音が鳴ったのでポケットから出し、画面を見ると美月のメッセジーだと分かる。
『分かったわ。変なことしないでね。するなら……笑笑』
なんだか、その最後の「笑笑」は違和感を覚えさせた。たまに、美月は怖い。
『はい』
送信のボタンを押すと喜多村は素早く近づき、俺を背中に転がらせながら俺をキスすると喜多村は俺の手を取り、彼女の太ももに置いて、彼女は俺の腹のあたりに座った。
シナモン香料のいい匂い。オレンジジュースの味がする喜多村のソフトな唇。彼女の柔らかい太ももの感覚。
―そうだ。美鈴が俺たちに教えた喜多村の噂話。
喜多村綾乃はよく男と遊んでて、数男と寝てきた。
彼女の家に誘ったのは俺を誘惑するためだ。勝手に俺をキスしているのはそれの証だ。
美月の顔が浮かぶと喜多村の体をやさしく押して俺は立ち上がった。
「なにやってんだよ」
「好きだったでしょう、わたしのキス」
「なに言ってんだよ」
「すごく勃っていたんですよ、川宮先輩」
そう言いながら喜多村は俺の股のところに指す。
「男だからそうがないだろ……いやそうだっても俺は好きなのは美月だ」
「分かってるんです、川宮先輩。けれど、川宮先輩が言ったんですよ。長谷川さんとキスさえしていなくて、エッチなことは愚かなんですね。わたしはそのサービスしてあげるんですよ、川宮先輩。長谷川先輩に何も言わないと約束するんです」
喜多村も立ち上がるとそう言いつつベットに座り、俺が彼女の隣に座てくださいと促すように二回にベットをタップした。
しかし、彼女の表情を窺うと俺は気がついた。
「じゃあな」
喜多村の答えを待たずに部屋を出て、彼女の家をあとにした。




