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第十八話 アヤの頼みごと

 アヤと雄一がしばらく待つとミナとミレイとミツキが川からやってくる。三人の女子がまた着替えるため数分と同じく雄一は振り返った。彼は後ろから誰かに殺意こめて眼差しで見られていると感じる。けれど雄一は気のせいにした。数秒後で、ミナが振り返るもいいと告げると雄一がそうする。


 アヤとミナとミレイとミツキが各々自己紹介をする。雄一が彼女はホンユジ精霊部族の一人だと説明すると先に話したのはアヤだった。


「ここまで誰かが来るのはすごく珍しいです。四人なんて信じられないんです」


「アヤちゃんと呼んでいい?」


 ミレイがそう聞くとアヤはニコニコと答える。


「はい、喜んで」


「じゃあ、アヤちゃんって、この大きな森林に一人で住んでるの?」


 その問いにアヤが頭を振って口を開く。


「そうではないです。弟と妹と一緒に住んでますよ」


「……大人がありませんか?」


 ミナがそう聞くとアヤが頭を縦に振りながら答える。


「そうです」


 アヤが言った通り彼女はホンユジ精霊部族の最後の世代の代表なのだ。大人がないせいでお姉さんとしてその役目をしなくてならないのだ。


 雄一は躊躇いもなく問いをかける。


「死んだのか?」


 ミナが雄一の質問を聞くと文句を口にする。


「川宮さん! 失礼です!」


「そうだよ、あんた。ちゃんと空気を読んでよ」


 ミナとミレイも雄一を叱って彼は肩を竦める。アヤがミナとミレイに話しかける。


「ミレイさんミナさん、大丈夫です……そうですよ、川宮雄一さん。わたしの両親も祖父母も友達も、わたしとわたしの弟と妹以外、ホンユジ部族のみんなが殺されたんです」


「…………偽精霊に?」


 雄一はそう聞くが早いかアヤの表情が明るさを失いつつ彼女が答えを出す。


「そうです……あのクソ野郎総偽精霊たちに」


「……えっと……アヤさん」


 アヤの顔でミツキがちょっと引っかかったけれど結局彼女の名前を呼ぶ。


「アヤちゃんと呼んでいいです」


「アヤちゃん、実は―」


 今回にちゃんをつけ、ミツキが総偽精霊に呪われたのはアヤに説明する。


 説明しきった後、陰った顔のまま言い返す。


「そうですか。ミツキさんがあの醜いやつらに呪われたんですか」


「そうだわ。だから、わたしたちはホンユジ部族、あなたたちを探しにキタノ森林に来たわ」


 ミツキがそれを宣言するとアヤがうなずきながら口を開く。


「……ホンユジ部族が呪いを解くには得意と聞いたからですよね」


「そうだわ。その通りなのよ」


 あらためてアヤが頷き、笑みを浮かべる。


「……わたしは呪いを解くのって出来るんですよ」


 アヤがそう言うなり、ミナとミレイがよかったと笑った。ミツキは泣きそうな表情で問いかける。


「解いてくれるの?」


「ミツキさんを助けたいんです」


 アヤがそう述べてニコニコと微笑む。


「本当に?」


「うん」


 ミレイの問いにアヤが頭を縦に振る。


「……でも」


 人差し指を立ててアヤは言い添える。


「代わりに、一つ頼んでいいんですか?」


「……いいわ」


 不適な笑みを浮かべてアヤが言葉を継ぐ。


「総偽精霊を殺したいんです。だが、一人でも弟と妹と一緒に三人でも無理だと思うんです。わたしは、あのクソ気持ち悪いクズの塊が死ねばいいんだと思っているですのであいつらを殺してやりたいんです。わたしと一緒に総偽精霊を殺しませんか?」


「…………」


 ミツキが躊躇しながら黙して語らない。ため息をつくと言い出す。


「良いのよ。アヤちゃんと一緒に総偽精霊を殺すと約束するわ」


 そう宣言するミツキに、ミレイとミナと雄一がじっと見る。


「ミツキちゃん……」


「あなたたちは?」


 アヤはそう聞きながらミレイたちの方に顔を向く。


「あたしは……」


「いやでも、あいつらを殺せるのか? 総偽精霊と戦ったら勝てる可能性でもあるのか?」


 頭を掻きつつ雄一はそう聞く。暗い表情のままでアヤが開口する。


「総偽精霊の六人が一緒にいれば無理です。けれど、一人一人に目指せばやれると思いますよ。だって、ミナさんとミレイさんとミツキさんと川宮雄一さんと妹と弟とわたしで七人でしょう。七対一ですよ。誰だって、強くても多いんだと思うんです」


「そうだっても無理そうだろ」


 雄一はアヤの説明を疑う。ミレイによって、総偽精霊は十倍程度で普通な精霊よりも強いのだ。精霊はどれおほど強いのか知らないけれどそれはとんでもない力なのだ。


「それに……そうですね。わたしの家に行きましょう。そこに皆で話し合って、そしてミツキさんの呪いを解くんです」


 アヤがそう言うと振り返り、森林の奥へ歩き出す。鼻歌を歌いながらアヤは踊るごとく歩き、雄一と三人の女子が交互に目を合わせ、アヤを追っていった。

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