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第十一話 ミツキとミレイ

 ミツキが腕を組むと雄一からミレイに顔を向け、話しかける。


「カワタおばあさんから聞いたわ。あの宿屋はミレイちゃんのということよ」


「ばあさん、なんであたしを裏切ったの」


 そう言われるとミレイは微苦笑をして弱く頭を振る。ミツキは呆れたごとくため息をつく。


「カワタおばあさんは裏切ったなんてないよ。ただ親切だもの」


「ばあさんあますぎ~」


 それはバレたことが変わらないのでミレイに微苦笑のまままた頭を振り、ミツキの真似をしているように彼女もため息つく。ミツキが焦りもなく様子で真剣な表情でミレイに問いかける。


「で、いつからわたしを追いかけているの」


「別れた日から」


「そう」


 ミレイの答えにミツキは目を瞑った途端彼女の顔はどんどん無表情に変わっていった。ミレイはミツキの幼馴染でミツキのこと全部分かっていても、嬉しい顔も、がっかりしそうな顔も悲しい顔も、そのミツキの無表情な顔を今まで見たことはなかった。昔のミツキちゃんのこと全部分かるとしてもこのミツキちゃんのこと何も分からないと、ミレイが思うと涙を抑えた。


「ごめん、あたしはね、心配だけだった……怒らないで」


「……怒ってなんてないわ」


 ミレイがミツキの回答に目を見張り、言葉にならない音を出す。


「え?」


「わたしのこと、いつも心配してくれてありがとう、ミレイちゃん」


 そう言うミツキの目角から一粒の涙が流れ出す。そこまで自覚してないミレイが、ミツキの涙を見ると彼女も泣いているのを気がつき、声涙ともに下る。


「それはあたしの精霊としての役目だけだ……いや、そうじゃない……ミツキちゃんはあたしの一番大切な友達だからいつだって心配でミツキちゃんを守りたいんだっっ」


 ミレイがセリフを言い切る待たずにミツキがミレイを抱きしめて、ミレイも戸惑いながらミツキを抱きしめ返す。


「わたしの友達でいてくれてありがとう」


「うん」


 呟くようにそう言うミツキにミレイが頷き、お互いに髪を撫でる。


 雄一はミツキとミレイを見、よかったなと自分に言いつつ守る精霊と守られている者の関係について考えた。精霊には役目として決まっていても守らなければならない者と仲良くなることは無理もない。例えば、ミナと雄一の関係。ミナが雄一の守る精霊であろうとも雄一も彼女のこと守りたいのだ。いつか、ミナとのつながりがなくなれば、その時にミナの役目でなくても、きっと雄一が困るたびに彼を助けたいとミナが思ったりする。


 後ろからミナ髪がか黒くてキラキラと光るのを見、雄一はミナの顔を伺うと、ミツキとミレイが抱きしめ合う姿で彼女の目を輝かす。


「それにミレイちゃんは上手だわ。ずっとわたしを追いかけたけどわたしは気づかなかった」


「ありがとう」


 ミツキとミレイが少し離れて、褒め言葉を言うミツキにミレイがお礼を言い返し、交互に微笑む。ミツキがまたミナと雄一の方へ視線をし、頭を下げながら口を開く。


「わたしはミツキと言うわ。ミレイちゃんはお世話になったのね」


「こちらこそ、ミレイちゃんは私たちのこと助けてくれました……あー、そうです。私はミナといいます。よろしくお願いします」


 ミナがお辞儀しながら彼女も自己紹介してにっこりと笑む。雄一はそれを見ると、自分の出番だと分かった。


「俺は川宮雄一だ。よろしくな」


 落ち着き払う雄一はそう言うとミツキが怪訝そうな眼差しで彼を見て問いかける。


「あなたは、もしかして、あの世界の人なの?」


「そうだ。こいつはあっちの世界の人なんだ」


 雄一かわりにミレイがそう宣言する。ミツキが何か分かったのように頷くとミナに目線を向けた。


「そう……精霊に守られているのはそういうことでなのね」


 ミツキがそう言いながら彼女の顎に右手を当て、もういいわと言わんばかりため息をつくと口を開く。 


「実はわたしは見たわ」


「何を?」


「偽精霊との戦いよ」


 そう宣言するミツキを雄一たちが愕き交じりの顔で見つめてやっとミナが話す。


「そうですか」


 ミツキがこっくりと頷いて開口をする。


「わたしの部屋の窓から見れた……ミレイちゃんとミナさんは凄かったわ」


「ありがと~」


「ありがとうございます」


 女子三人が相互に笑い合うけれど雄一が怪訝そうな表情を浮かべてミツキを話しかける。


「……見た、か。でもなんで助けなかったのか」


「助けようとした、けれど、その瞬間にあの青い光がミナさんを包んだのよ」


 ミツキがそう言うと雄一があの青い光を思い出した。ミナと彼を包み偽精霊をぶっ飛ばした。本当に変な出来事であってもその時に雄一たちの助け船だった。でも雄一がそれについて後で聞くことにした。


「ミツキちゃんがあの時にいればもっと速く勝ったのよね~」


「……こいつ、強いのか?」 


 自慢たらしい顔でそう言うミレイに雄一がそう聞くとミレイが言葉を継ぐ。


「めっちゃ強いよ……でもね、あたしとともに戦うときだけに」


「お前とともに戦うときだけに? どうして?」


 雄一は首を傾げながら数秒前にミレイが言った言葉を繰り返して、ミレイではなくミツキが雄一の質問を答える。


「当たり前でしょう。守る精霊との連携よ」


「守る精霊との連携?」


 守る精霊との連携という意味の知らない単語を聞く雄一がまた首をひねる。ミレイが何か思い出したらしい身振りをして話す。


「そうだ! ミツキちゃんがドアをノックする前、こいつにそれを説明するつもり」


「そうだったか」


 雄一は偽精霊との戦いの後で、宿屋に歩いてきたときに、雄一がミナの力になるためなにできるのかとミレイが「できることあるよ……でも、後で説明する」と述べた。ミレイが咳払いをし、自分のベッドに腰を下ろすとミツキとミナがミレイの両側で座り、雄一が自分のベッドに腰掛ける。ミレイが守る精霊との連携について語り始めた。

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