第28話 第3訓練場での修行
短かった第9話と第10話をくっつけました。それに伴って先日投稿した28話は27話になるというように、1つ数がずれました。急に変えてしまったことをお詫びいたします。
「お願いします! 助けてください!」
俺は他の生徒がいなくなった教室で、盛大に土下座をかましている。
相手は担任であるアリス校長先生だ。
昨日、試合をすることが決定してしまい、俺は寮にはいってから勝てる方法を考えに考えた。
結果校長に頼ることにしたのだった。
そもそも試合を受けることになってしまったのは、アリス校長のせいでもある。
それに外出許可がないので、王都の屋敷に滞在しているバハリスさんにも頼れない。
だから校長に頼るしかないのだ。
本日の授業はほぼガイダンスで終わり、午後は授業がないのでずっと練習ができる。
だからこの解散したタイミングで先生に声をかけたのだ。
「断る」
しかしさっきからこの調子で、一向に承諾してくれない。
だからこそ土下座までしたわけだが、意味がないようだ。
「何でもしますから。常識の範囲内でなら……」
「何でも?」
アリス先生が少し食ついてきた。
「常識の範囲内ならですけど」
俺がすかさず返すと、さすがに諦めたらしい。
「はあ。まあ練習のアドバイスくらいはしてやる」
アリス先生はため息混じりにそう言った。
俺とアリス先生は試合会場である第3訓練場に来た。
訓練場は学校の敷地外から見ても分かるくらい圧倒的な大きさだ。
天井はないが観客席がある。
簡単に言えばコロシアムのような形をしている。
その貸しきった広い訓練場の中央で、俺と先生は特別授業を開始した。
「そもそも試合はわかるな?」
先生がものすごく初歩的なことを尋ねてきた。
ただ初歩的と言っても俺はわからない。
「いいえ。わかりません」
「どのように戦うのかだぞ?」
先生が信じられないという目で俺を見てきた。
「知りません。試合なんて見たことも聞いたこともないので」
俺は淡々と返す。
先生の反応にわざわざ構えるほど、俺は時間があるわけじゃない。
早く情報をもらって練習し、アドバイスをもらいたい。
アリス先生は面倒臭そうにため息をついてから、説明を始めた。
「試合とは1対1で行う戦いだ。ルールは相手を殺すほどの攻撃と特殊能力を持った武器や装備、道具の使用禁止、試合への第3者の干渉が禁止で、相手を戦闘不能にさせるか降参させる、もしくは場外へ落とすことで勝利となる」
そのために舞台のように観客席に沿った端の部分が下がっているのか。
なんでもありの大乱闘だな。
そしてアリス先生は説明を続ける。
「主に使うのは剣、魔法だが、武器を使わない者も一定数存在する。ちなみに公女殿下は剣を使う」
――人の武器ってばらして言いものなのか?
まあありがたい情報ではあるけど。
「ありがとうございます」
「――おっと。肉体強化は忘れるなよ」
肉体強化?
魔法だろうか?
「肉体強化? なんですかそれ?」
俺がそう言うと、先生は目を見開いて固まった。
「まさか、知らないとでも――」
「はい。知りません」
アリス先生はまたため息をついて、肉体強化について教えてくれた。
そもそも魔力とは血液中に流れているもので、血液を流す心臓のように魔力にもそのような核と言うものがある。そこから魔法を発動させるために魔力をだす。
しかし肉体強化とは核の魔力を使わずに、血液中の魔力を使って肉体を強化することを言うそうだ。
しかも肉体強化は、核の魔力の感覚を掴む前に行うべき初歩的な魔法であるという。
やり方は簡単、強化したい部分に血液中の魔力を集中させるだけ。
と先生は言うが、俺は簡単にできるのだろうか?
と不安に思いながら取りあえずやってみる。
――核を使わずに、血液という血液から魔力を集めて……。
「足にやってジャンプしてみろ」
先生にそう言われ、俺はそれに従い足に集中しジャンプしてみる。
「ううああああああ!!」
途端視界が下に流れて行った。
そして、5メートルくらい上がったところで体は勢いを失った。
「足に集中しないと着地で死ぬぞ」
先生にそんなことを言われ、とっさに魔力を足に集中させる。
今度は視界がどんどん狭まっていき、衝撃とともに地面へと生還した。
怪我はなく、足も全く痛まない。
「それが試合には欠かせない肉体強化だ。それにしても……、初めてであそこまで飛べるとは、筋がいいな。後は自分でもできるだろう。私は会議があるのでこれで」
「ちょっ!」
俺が振り返ると、訓練場の入口付近で手を振っている先生がいた。
――はっや。
それが肉体強化の力か……。
というわけでボッチになった俺は、広い訓練場の中で練習を始めた。
「まずは魔法からだな」
そして炎魔法を空中に撃つ。
最近は一度コツをつかんだおかげか、かなり魔力操作が上達した。
1秒かかるかかからないかくらいだ。
魔法陣の構築にはかなり悩まされているが……。
なんせ奇妙な形の複雑なマークを、正確に脳内で構築しなければならないのだ。
鮮明に記憶し、そく頭の棚から引き出さなければならない。
だから多くの魔法を覚えられないでいる。
まあ時間がたてばたくさん覚えられるだろと、今は思い込んでいる。
ちなみに俺の中にあるもう1つの核さんは、何と全属性つかえてしまう。
クラリスさんに教えたら、しっかり怖い目で睨んできながら軽ーく褒められた。
そして俺は全属性の魔法を順番にこれでもかと空へ撃ちまくる。
無意識的に撃ち続けられるようになったら、その状態で肉体強化を足に施す。
頭がパンクしそうになりながらも、何とかこれも習得した。
そして今度は全身に肉体強化を施していく。
これもなんとかクリア。
その状態を継続しつつ猛スピードで訓練場を走りまわり、校内で帯刀が許されているので持ってきた日本刀を振る。
肉体強化のおかげか疲れはそんなに感じない。
が魔力が抜けていく感じがよくわかる。
全身肉体強化して走りながら、日本刀を木の枝のように振って、魔法を撃ち続けているのだから仕方はない。
5分程度そうしているとさすがに疲れてきて、俺はその場に座り込んだ。
疲れてきたと言っても息が上がっているとかではない、全身がピリピリと痛いのだ。
肉体強化のし過ぎだろうか。
でも俺はそんな痛みよりも、自分が今したことに感動して自然と頬を緩めていた。
試合まであと4日、自分のできる所まで追い込んで善戦できるように頑張ろう。
負けてもしょうがない。
でも、できる所まではあがいてやる!
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