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第25話 王立学校高等部

 しばらくゆっくりと進んだ後大きな建物の前で犬車は止まった。


「到着いたしました。王都にありますホールメス家の屋敷でございます」


 バハリスさんは扉を開けて手で屋敷を指しながら言った。


「でけえな……。王都にもこんなの持ってるとか、さすがはお貴族様だな」


「ありがとうございます」


 別にほめたかったわけではないが、まあいいか。


 そしてバハリスさんに連れられ、俺とノークラスはそのまま屋敷の中へと案内された。

 食堂やらを案内された後、用意された部屋へ案内された。


 屋敷の部屋よりも少し豪華で広いのは、俺がホールメス家の人間という設定だからか。

 それともここが王都だからか。


 どちらでもいいが、1人で止まるには広すぎるほどだ。


 荷物は例のごとく、既に部屋の隅に置いてある。


「お気に召されましたか?」


 バハリスさんは恭しく俺に尋ねる。


 こういうの慣れてないし、バハリスさんの恭しさも日ごろそんなに感じないので、気持ちが悪い。


「そういうのやめて。気持ち悪いから。……部屋は広すぎるくらいだし、文句なしだ」


 俺のその返答に満足したのか、バハリスさんの頬が少し緩んだ。


「それよりも今日は訪れるべき場所へ行かなくてはなりません」


「訪れるべき場所?」


「学校長様のところでございます。ノークラス様が王都までいらっしゃったのは、校長様と会うためでもありますから」


 高等部とやらの校長か。

 どんな人なのだろうか。

 もしかしたら俺を入学させるためのツテだった人なのかもな。


 俺とバハリスさん、そしてノークラスはそうして再び犬車に乗り、校長とやらの場所を目指すのだった。



「でかすぎるだろ……」


 俺は窓から高等部だと言われた方を見て戦慄した。


 敷地は馬鹿みたいに広く、端に先程の屋敷と同じかそれ以上の大きさの建物1つと訓練場のような場所が5つほど、それに何より中央にそびえる校舎が何よりも大きい。


 そして犬車は校門の前で止まった。

 俺とバハリスさんは犬車から降り、閉められている鉄格子でできた白い校門に近づく。


 すると何かを言うでもなく警備の人が校門を開け、恭しく頭を下げた。

 バハリスさんとノークラスは慣れた動きで、警備員の指示に従って校門を抜けて進んでいった。


 俺は特に何も言わずにそれについて行った。


 校門を抜け校舎までの長く広い道は、背の低い隅々まで整えられている草の柵に囲われている。

 俺とバハリスさん、ノークラス、警備員のおじさんはその道を歩き校舎へと向かった。


 校舎へ入ると俺はその美しさで満ちた空間に思わず足を止めた。


 大理石だろうか。

 床が白を基調にした磨き上げられた岩石で埋め尽されている。


 壁も白く、それは塗りたてのペンキのように真っ白で美しい。


 校舎入り口の扉を抜けた先には、中央奥に天使を模したような彫刻。

 その横を緩やかに曲がった階段が通っている。


 入口正面の彫刻の奥には、先程門で見た国旗のような色合いのステンドグラスがある。


 それらの造形物たちはその美しいステンドグラスを通して差し込む優し気な日光によって淡く照らされている。

 この空間を照らす光は吊るされているシャンデリアとその光のみであり、それがまた一層魅力を引き立てている。


 俺はその空間の形、色、明るさのすべてにおいて感動し、ただただこの聖域を口を開けて眺めるのだった。


「ミナト君? 見とれるのはわかりますけど、早く行きますよ」


 俺の前を歩いていたノークラスが、足を止めて俺を急かした。


「あ、ああ」


 さっきも同じような天使像を見た気がする。

 そう思い像を見ながら速足で一行の元へ寄った。



 校長室までの道はとにかく長い。

 そりゃそうかと思う気持ちはあるものの、もうちょい近くに作ってくれないものかと思ってしまう。


 行くまでに疲れたら意味がないというか……、まあ意味はあるんだろうけど。


 それに廊下という廊下がきれいすぎる。

 公立の創立百年近くの高校に通っていた俺だからそう思うのだろうか。


 いや違うな。

 きっと私立高校よりもきれいなのだろう。

 汚れを魔法できれいにできるとすれば当然のことだ。


 すると一行が足を止めた。


 俺が壁を凝視し過ぎて俺の前を歩くノークラスに突進しそうになったのはいいとして、俺は一行の見つめる方に視線をやる。


「こりゃまた大層な扉だな」


 一行の視線を集めるその扉は、濃茶色の暗くずっしりとした大きな扉だ。

 しかも扉にはその大きさとは対照的に細かな彫刻が施されている。


 俺がその扉の重圧に足を進ませられないでいると、間髪入れずに警備のおっさんが扉を叩いた。


「さあ、校長先生ですよ。あまり余計なことは言わないでくださいね」


 ノークラスに注意され、緊張が倍増してきた俺は息を呑んで対面の瞬間を震えだした足とともに待った。


「入れ」


 校長先生と思われる人物の落ち着いた声が、扉の中から聞こえた。


 そして、ゆっくりと扉の開閉音が廊下に響きわたる。


 扉が完全に広くと、扉を押さえる警備員のおっさんを除いてバハリスさんとノークラス、俺は校長室に入っていった。


 最後に警備員のおっさんが入ってくることはなく、俺が入ると扉は閉められた。


 校長室の中は簡素な感じでソファとテーブル、本棚に校長の席に机。

 そのほかには特に目立ったものはなく、部屋もきれいで落ち着いたイメージを持った。


 校長席には女性が座っていた。


 髪は黒と茶色の中間くらいで、伸ばしている。

 座高はそこそこ高く、高身長を想像させる。俺よりも高そうだ。

 目の色も髪の色と同じで様で少し茶色が強いくらいだろうか。


 彼女は書類の作業をしている手を止めて、俺たちを見た。


 顔は言うまでもないが、かなり若そうだ。

 現代日本ではおじさんが校長をやっているイメージしかないので、かなり新鮮だ。


「王立学校高等部へようこそ。ノークラスは久しぶりだな。……ミナトとは君のことか。初めまして、校長のアリス・フォーレットだ」


 そう言って立ち上がった彼女の身長は俺を少し超すくらいで、女性にしては高身長な人だった。


 ――ノークラスとは知り合いだったのか。

 そりゃツテと言ったら知り合いか。


「初めましてサツキ・ミナトです。ミナトの方が名前です。よろしくお願いします」


「不思議な名前だな。こちらこそよろしく」


 そういって彼女は少しだけ表情をやわらげた。


最近投稿時刻が遅くなってしまって、申し訳ないです。

リアルのことが夕方まであるので、この作者はそんなもんだと思っていただければいいかと思います。

早く投稿出来たら、早く出したいと思うのでよろしくお願いします。

さて、今回もお読みいただきありがとうございます。

できましたら☆☆☆☆☆をポチってください。

ブクマもぜひぜひ。今後ともよろしくお願いいたします。

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