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第15話 解明されない俺の能力

 ニコニコと俺とバハリスさんを見ていたノークラスが口を開いた。


「話がだいぶそれてしまいましたね。長くなりそうなので初めにラミリア様のお話にいきましょう」


 ――そらしたのお前だけどね。


「早速ですが……、ラミリア様には魔王になっていただきたいと思います」


 そのノークラスの言葉に俺とフィリムは困惑の色を隠せなかった。

 しかしラミリアは決意の意が感じられるような硬い顔をしていた。


「ラミリア様には前もってこのことを検討なさるように伝えておきましたので、本日はそのご返答を聞きたいと思います」


 ラミリアは一息つきつつ力強い眼差しでノークラスを見て言った。


「はい、魔王になろうと思います」


 俺は断るものだと思っていたので、ラミリアの選択に耳を疑った。


「ラミリア? 魔王になりたいのか……?」


「ええ。私は……、みんなから指示される自信なんてない。理由も自分勝手で……。でも、私が魔王になってこの酷い世界を変えたいの」


 俺を見るラミリアの眼差しには純粋でまっすぐな彼女の思いが込められていた。

 

 そんなラミリアの思いを俺がここで否定することなんてできない。たとえ彼女のためであっても。

 俺にできるのは彼女のことを思うこと、ただそれだけなのだから。

 彼女の考えた末に出した答えに俺がとやかく言えることはないのだ。


「そうか……。魔王か、応援してるよ」


 俺はできるだけ微笑んでそう言った。


 ノークラスはラミリアの回答に微笑んではいるものの、喜びの色をあまり感じられなかった。


「よい返事を聞けて何よりです。さて……、それではミナト君についての話をしましょうか」


 やっと俺の番が来たようだ。

 落ち着いてはいるが、そもそも死んだ人が今ここでお話してる時点で混乱するのには十分な要素なのだ。


 しかも彼女たちを生き返らせたのが自分と言われりゃ、わけにワカメが生えてきても当然だろう。


「まずは生き返りについて、私の知っていることをお伝えします」


 そうしてノークラスは語り始めた。


「初めに気付いたのはミナト君が気を失った後です。ミナト君が抱えているはずのラミリア様が衣服だけになって遺体が消えていたのです。そうしたらベッドの上で眠る無傷のラミリア様を発見しました。フィリム様のことも調べていたのでフィリム様のお宅にも行ったところ、同じようにしてベッドの上で眠っていました。その後私の屋敷に引き取り、お2人が目覚めたのが3日前で約1日眠っていました。体はもとに戻ったかのようでしたが、死ぬまでの記憶は残っているらしく初めは混乱していました。そしてその日にわかる範囲で情報を出し合い、ラミリア様には魔王の件をお話ししたということです」


 ノークラスは説明し終わった後一呼吸ついた。


「なるほど、詳しくどうも。……生き返ったのに関係ないかもしれないが、ちょうど服だけになった時だと思う。ひどく疲れて急に何も考えられなくなった気がする……。あと、どこからか誰かの声が聞こえた気がした。俺の分かる情報はそれだけしかないな」


 俺が必死に思い出して語ると、ノークラスは考え込むようなポーズをとりながら言った。


「なるほど、やはり魔力の過度な枯渇が原因の症状が出ているので、生き返らせるには魔力が必要なのでしょう。しかし声ですか……。それは誰の声かわかりますか?」


「いや、分からない。だけど女の声だった」


 ノークラスは眉を寄せ顎に片手を添えて考えているようだ。


「…………。私が生きている間に人を生き返らせる魔法は聞いたことがないので、もしかするとその声に秘密があるかもしれませんね」


 ノークラスはまた考え込む姿勢になり黙ったが、俺たち全員を見回しながら言った。


「あ、ここで話したことは内密にお願いしますよ。魔王の件もミナト君のこともラミリア様とフィリム様の存在も」


 ラミリアの存在を隠すのはまた狙われないようにするためだろうか。だとしたら口が裂けても言えないな。


「ところで、なんでラミリアが魔王なんだ?」


 俺が疑問に忠実に質問すると、ノークラスは一瞬驚いた顔をした後ラミリアの顔を見た。その視線にラミリアは頷いた後申し訳なさそうに俺を見た。


「ラミリア様は前王女のただ1人のご子孫なのです――」


「――はい? おうじょのむすめ? えらいひと?」


 ――わーお。ここにきてラミリア王族宣言――。

 かわいくて性格よくて天使で王族ですかー、俺この子に一生ついていくわ。


 俺はそこでようやくラミリアが襲われた理由が分かった。

 そりゃ元王族で吸血族なら狙われるよな。


「ごめんなさい、ミナト。打ち明けられなくて……」


 目を細めて謝るラミリアは抱きしめたくなるほど可愛く、ちょっとした不満は頭の中から吹っ飛んでいった。

 

「いや、さすがに王族ですなんて普通言えないだろうから怒ってないよ」


「でも王族でいたのは昔の話で、吸血族として生まれてしまった私は追い出されたの……」


 ラミリアの語る顔は俺に初めに名乗った時と同じような――いやそれ以上の、霧がかかったような物悲しい表情をしていた。

 それは今にも泣きだしそうで、でも無理に我慢しているようだった。


 俺は話題を変えてあげようとノークラスに問いかけた。


「ところで、今の王様って女の人か?」


「そんなことも知らないんですか……。王女様は女性です」


 違う世界からくればそりゃ知らないだろ。

 まぁこんなこと言えないけど。


 ということはつまり、この世界は女性の方が権力が上なのかな?

 男尊女卑がない世界っていいね。……女尊男卑がなきゃいいけど。


 そうして、俺はまた1つこの世界の情報を手に入れたのだった。

読んでいただきありがとうございます。

作者は執筆時間があるようでないのが悩みです。

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