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第14話 とんでもない魔族フェチ

 俺とラミリアの和やかな時間の区切りがついたところで、ニコニコしながら俺たちを見ていたノークラスが口を開いた。


「ミナト君はやはり常識も含めて何も知らないようなので、一通りご説明しましょう」


「そういう言い方されると、俺が常識を持ち合わせていないように聞こえるじゃねぇか」


「実際そうでしょう」


 ……なかなかに痛かったぞ今の。


 それから長々と、この世界の常識を埋め込まされ続けた。


 よく考えれば、世界観紹介+チュートリアルと本プレイの順番おかしいよね。うん、俺なんも知らんまま死にかけたぞ。


 どうやら、この世界には魔族と人間、獣人族がいるらしい。まさにファンタジーー!!

 で、吸血族やエルフ等々が魔族なんだそうだ。


 ――エルフも魔族に入るんか。まぁ人間と獣人以外って考えたらそりゃそうか。


 人間が1番数が多く力を持っている現状は魔族と獣人族が差別され、特に吸血族への差別が1番ひどいそうだ。

 ちなみに吸血族は誕生日になると、血への欲求が出るらしい。

 そして昔の吸血族が成人の儀式に人間の子をさらって血を飲みつくすという、恐ろしいことをしていたために、現在の吸血族が迫害されている。

 それに吸血族は吸血族同士の子供の他に、まれにランダムに族関係なく吸血族が生まれることがあるそうだ。


 まれに生まれてくる人殺し種族の子供。ひどい扱いをされるのもわかる。


 一通りその辺の常識を教えられたところで、ノークラスが力強い口調で言い放った。


「でも、こんなに可愛くて愛らしい魔族たちを蔑むなんてあってはならないことだと思わないですか?」


 ノークラスはそっとそばにいたメイドさんたちに手を伸ばしたが、しっかりメイドさんたちは遠ざかった。


 ノークラスは不服そうにしつつも輝いた目で力説してきた。


「こんなに可愛いんですよ? だめですよね、いじめては。愛の前に差別も何もないんですよ!!」


 ――あ、こいつはだめだ。救いようのない魔族フェチだ。一視同仁だと一瞬でも思った俺が馬鹿だったわ。


「――そ、そうですねーー。可愛いですよねー」


 さすがに引き、顔を引きつらせながら言ったが、可愛いのは本当だし差別意識は俺にはないので本心だと言えるだろう。


 しかしそこまで魔族が大好きというわけでもないのだが……。


 そう思いつつ俺はフィリムとラミリアに視線を送る。


 ――前言撤回いたします。

 魔族大好きです。最高です。食べちゃいたいです。

 異世界万歳!!

 

 やはりフィリムとラミリアに勝るものはいないと思ってしまう。

 しかも今まで見てきたこの世界の人ってみんな美形で、価値観狂ってまうわ。

 悔しながらフォルミドでさえも素質がいいのだ。ただ言ってることと頭と表情は、気持ち悪い一言でまとめられるが……。


「いや、分かっていただいて何よりです。何せこの国には差別が常識になっていますから、ミナト君のような方はいないに等しいくらいなんですよ」


「いやいや、こちとら差別ダメ教育を骨の髄まで叩き込まれてるんで。――そもそも女性をしかも美女をいじめるとか男が廃ると思うんですけど」


 と言いつつ視線をノークラスから横へずらすと……、またダメなものを見てしまった。


 執事のおっさんバハリスさんが全身全霊で首を縦に振っているのだ。

 その眼には涙まで浮かんでいる。


 ――まさかこの人も……。


「申し訳ございません……。お言葉に激しく共感いたしまして……。これからは同胞とお呼びしてもよろしいでしょうか?」


「やめてください」


 案の定しっかり魔族愛好家だった。

 よくあれで泣けるな。


 おっさんは涙を拭いながら軽く笑った。

 冗談だったのなら本当に良かった。

 バハリスさんとノークラスと一緒にされてはたまったもんじゃない。


 そして俺はバハリスさんに苦笑いを浮かべるのだった。

読んでくださりありがとうございます。

文字数少なくて動きゼロですみません。

もうしばらくで新しい編に突入いたしますので、それまでご容赦ください。

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