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第13話 ラミリアの正体

 静かな部屋の中フィリムとラミリアは、俺にかまわず何かを話している。

 フィリムの信用しきった顔から2人は情報を売ったことについてきちんと話したんだろう。


 この部屋には彼女たちの声以外、音は流れていない。

 しかしだから、現状がどうなっているのか分からない混乱した俺の頭の中をめぐる思考が、余計にうるさく感じられるのだった。


 しばらくして扉が開いた。入って来たのはおっさんと先程のメイドさんともう1人のメイドさんとおっさんだ。


 初めに入って来たおっさんは、小さいメイドさんがいたるところにいくつも描かれたパジャマを着こんでいる。ひげは蓄えられていないものの、髪は短いところもあれば長いところもある、理解できない髪型で、ところどころ跳ねている。


 正直、キモい。

 心の中で混乱が吹っ飛び、つい突っ込みを入れてしまう。


 ――変態だーーー!!


 新しく出てきたメイドさん。

 この人……、いやこの子と言いたくなるくらい小さく可愛らしい。

 フィリムと同じくらいに見える。

 まだ子供に見えるが怖じ気づく様子がかけらも見られない。


 髪は薄い赤色で肩くらいまで伸ばしている。

 目は赤色だ。

 幼さがほんのりと顔に残っている。


 ――ん? 待てよ、よく見たらおっさんのパジャマにいんのこのメイドさんじゃねぇか? まじか……。

 メイドに手出してんじゃねぇか。

 変態だ!


 俺がごみでも見るような目で見ていると、最後のおっさんが入ってきて扉をゆっくりと閉めた。


 ――あのおっさん俺をフォルミドから守ってくれた人だ。


 俺が気付きそちらを見ていると、すでにメイドと執事のおっさん以外全員席に着いていた。

 そして変態おっさんが俺を見て口を開いた。


「ようやく目を覚ましたのですか」


 その声は不覚にも聞き入ってしまうほどに美しく、まさに美声だった。

 話し方も風格も育ちの良い貴族のそれだ。

 だが顔と声と態度がよくても周りが悪いからノーカンということにしておこう。


「あ――、はい」


 俺は考えていることがバレないよう、なるべく自然に答えた。


「それでは、現状についてお話させていただきます」


 そういった変態おっさんの声は穏やかだが、真剣なまなざしを放っていた。


「と、その前に自己紹介からですね。私はノークラス・L・ホールメス。ここら一体の領主をしています」


 ――りょーしゅ? この変態が? 詰みやんこの領地。


 俺は無駄な考えを脳の奥に押しやり、自己紹介をした。


「俺の名前はサツキ・ミナト。17歳です☆」


 無駄なものが語尾についてしまった。

 幸いなのか、誰も何も言わず部屋が静かになった。

 

 ――幸いじゃねぇーー!! 引かれたよ!! 死にてぇーー!!


 しかし、静寂をいとも簡単に吹き飛ばす笑い声が部屋に響いた。

 笑い声をあげているのは、ノークラスとやらだった。


「面白いのですね、あなたは。気が合いそうです」

 

 ――まじか、気持ち悪いな。オタクという面では合うかもしれないが……。


 その後すぐに執事のおっさんとメイドの人たちも順に名乗っていった。


 どうやら執事の恩人は人間でバハリスさん、短い金髪の方のエルフメイドさんはクラリスさん、薄い赤色の髪の小さいメイドさんはフィアリスさんというそうだ。

 みんな最後にリスがついている。まぁ偶然だろう。


「さて、何から話すべきだろうか……。とりあえず、ミナト君から聞きましょうか」


 ノークラスは俺を再び向き直して尋ねた。


「ミナト君は人を生き返らせることができるのですか?」


「――は?」


 何言ってんだこいつ、と思ったがよく考えれば実際人が生き返っている。それが俺の力かどうかはわからないが可能性はあるのかもしれない。


「ミナト君? まさか知らないとでも言うつもりな――」


「――もちろん知りませんけど?」


「隠し通すつもりですか……」


「いやいやいや、知らないものは知らないから」


 俺を見るノークラスは疑いの色がにじみ出ている。


「そもそも、なんでラミリアは狙われてたんだ? なんで生き返ってんだ?」


 俺の頭は再度『なんで』で埋めつくされた。


「ほんとうに何も知らないようですね」


 ノークラスは1つため息をついて、ラミリアに視線を向けた。

 視線に気づいたラミリアは頷いた。

 そしてノークラスは説明を始めた。


「初めから説明しましょう。まず、ラミリア様の正体は、吸血族です」


 俺は様という呼び方に違和感を覚えたが、最後の発言に違和感が消し飛ばされた。


「吸血族? だったのか……」


 ラミリアは俺には教えてくれなかった。

 そう考えると胸が痛くなって俺は俯いた。


 ラミリアは俯く俺を見て慌てて言った。


「違うの! ミナトに悲しい思いさせたくなかったの。でもフィリムの話を聞いて、今では言えばよかったって思ってる。私吸血族を認めてくれる人なんていないと思ってたから、打ち明ける勇気がなかったの。その、だから……、ごめんなさい」


「いいよラミリア、俺は怒ってないよ」


 俺は視線を上げて慌てるラミリアに微笑みかけた。


「そういえば、ラミリアの目って赤だっけ……?」


「こっちが本来の目よ。吸血族だもの」


「そうか、……赤もすごく似合ってるよ」


 我ながらこういうことを言うのは恥ずかしい、人生初だし。


 ラミリアは赤くなりつつも、


「そういうのはもっともっと親しい人に言うの」

 

 と頬を膨らませている。


「けど呼び捨てってことは親しくなったってことだよな?」


 ラミリアは白い顔を真っ赤に染めて、


「――ッ、――それはいいの!」


 と顔を横にそらして言った。


 ――吸血族って目赤かったんだな。初めて知った。てことは、あの小さい赤髪メイドさんも吸血族か。


 そう考えているとフィリムから視線を感じた。

 向いてみると、フィリムはすぐに俺から視線をそらした。

 その顔には物悲しいような寂しいような、暗い感情が映っているように感じられた。


読んでくださりありがとうございます。

最近になってやっとアクセス解析とやらを知った、なろう初心者の作者は読んでいただいていることを実感して驚きつつにやけてしまいました。……はい。

ぜひ評価、コメント等お願いします。

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