第12話 知らない天井
何日たったのだろう、目覚めは縁起でもなくよかった。
ふっかふかの中に身を任せ、至福の感触に身を包まれている。久しぶりの感触だ。
目を開けるとやはりそこには知らない天井。その天井は高く、シンプルな色の壁紙もしっかりと貼ってある。
朝日が薄いカーテン越しに優しく部屋を照らしている
しかし俺の頭の中に忘れられない光景がよぎり続けている。
死んだファイルとラミリア。力の入っていない転がっているだけの冷たくなっている2人。
「ごめん……。俺だけが生き残って……」
そして自然と湧き出る涙を拭い、俺は起き上がり周りを見渡す。
どうやら俺は知らない部屋のベッドに寝ていたようだ。
部屋は20畳を超えるくらいで、天井も高い。壁紙にカーペットも完璧だ。
部屋には大きなベッドと勉強机に椅子、ロッカーとおいてあるものは多くない。
「この世界にもこんないい家があるもんなのか」
俺は病人が着るような薄いパジャマのようなものを着ていた。
そして体の状態を確認して俺は驚いた。外れたはずの肩が治っているのだ。
そして他に異常がないか確かめ、ベッドから降りて部屋を回ってみた。
「きれいだな」
悪いがフィリムやラミリアの家とは格段に違った。
「んで、ここはどちら?」
最後のおっさんとエルフの人の家なのだろうか。
――まぁどちらにせよ外に出てみないとわからないか。
俺はドアノブに手をかけ勢いよく開けた。いや、勢いよく開いてしまった。
そして俺は息をのんだ。
ドアの開きさえもフィリムやラミリアの家とは格段に違ったのだ。
よって滑らない重たいドアに慣れてしまっていた俺は、その滑らかさに対応できず盛大に音を立てて開けてしまったのだ。
息をのんだのはそれだけのせいではない。
部屋を出ても長々と廊下が続いているからである。
右を見ても、無限に廊下。左を見ても無限に廊下。
下も無限にカーペット。上も蛍光灯とは比べるのもおこがましい、大きすぎない見事なシャンデリアが連なっている。
さらにほこりが1つも見つからない。
壁紙にも微塵の汚れもない。
――これなら舐めろと言われても……、さすがに無理だわ。
そして俺はあたりを見渡しながら、人気のない廊下を歩きだした。
廊下には俺の足音が響くだけだった。
少し歩いた後大きならせん状の階段を見つけたので、下ってみることにした。
1階下ると玄関らしきところが視界に入った。
どうやら玄関部分は吹き抜けのようで、俺のいる上の階――2階と1階がつながっているらしい。
そして玄関の両脇に向かい立派な階段が伸びている。
俺は初めての屋敷に好奇心がゆすられ、その階段をゆっくりと一歩一歩踏みしめながら降りた。
と、突然大きな玄関の扉が開いた。
俺は反射的にとっさに階段の陰に隠れ、そっと扉のほうを覗いた。
そして入ってきた人物に俺は目を疑った。
――フィリムとラミリアだ……。
俺の体は、勝手に彼女たちの方へ駆け出していた。
しかし、なぜ生きているのか謎でしかなかった。
でもその謎よりも、彼女たちに飛び込むことの方が俺にとって優先だった。
そして俺は何も言えず訳の分からないまま彼女たちに抱き着き、強く強く抱くのだった。
抱き着く俺の目には涙が浮かんでいるが、混乱の色も顔には出ている。
でも、混乱の色を見せているのはフィリムとラミリアも同じだった。
「「――ふぇ!?」」
かわいらしい声を漏らし、一瞬固まる彼女たち。
俺はそんな二人にかまわずひたすら抱き続けた。
「――ちょっ! 何してるんですか?」
すぐにフィリムが口を開いた。
「そんな……、こんな……、だめです――」
ラミリアもフィリムのように混乱したのかおどおどしている。
二人とも、もぞもぞ動くがそれでも俺は抱き続けた。
俺がやっと顔を上げ、2人を見ると2人とも顔を風呂上がりのように茹で上げて真っ赤にしていた。
すると後ろから肩に手を置かれ、離すように促された。
見ると、メイド服を着たエルフの女性だ。
背は俺と同じくらいある。女性にしては高いくらいだろう。
胸は……、うんばっちり。素晴らしい。
顔はやはり整いすぎて怖いくらいで、すっとしており髪は金髪で短い。
俺は素直に従い2人を腕から解放した。
その後俺とフィリム、ラミリアとエルフメイドさんの一同は1階にある割と大き目な部屋に案内された。
フィリムとラミリアはすでに場所を知っているかのような歩みをしていた。
部屋の扉をメイドさんが開けてくれ、俺たちは中に入った。
部屋には少し模様の入った壁紙が貼ってあり、椅子もお金のかかっていそうなものが置いてあった。
しばらく待つように言われ、いまだ混乱の収まる気配がしない中俺は黙って待つのだった。
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