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ハジメの中のヒト

久々過ぎて何を書いてよいのやら



 「……つまり、あんたたちの目的は、この娘の調査と保護……って訳?」


ハジメは後ろで小さく身を縮ませている少女を見ながら、三人の男達と対峙していた。


最初は何の狼藉かと身構えていたが、相手が一向に強硬な態度も取らずに距離を取っていたので話してみた。

すると、彼等は【役の神】達からの依頼を受託した面々で、かなり実力のある探索者だとかで、


「……我々とて、幼い少女を拐かすような真似はするつもりはない。出来れば穏便に事を終わらせたいのだ」


と生真面目に答えて、少女の返答如何では調査報告のみで撤収することもある、と言ったのだ。


「ふ~ん、そうなの?……そんならキミは大人しくこの人達に付いて行きたいの?」


単刀直入に問うハジメを苦い顔のモルフィスが肘の先で突つくと、わざとらしく咳払いをしながら、


「……んっうん、いや……そうだな「……いつまでそんな茶番劇に付き合うつもりだ?」……はいぃ!?」


その口から全く同じ声なのに、口調の全く違う言葉が漏れ、慌てるハジメ。

その様子は人格乖離(かいり)、つまり二重人格を彷彿とさせるような違った言い方だったので、彼自身も驚きの声を上げる。


「……ハジメ、今回はちょっと()()()()()()()()


男性のハジメが発した声なのに、その抑揚の効いた声質は女性的なのだが、口調は上段に構えた強気の姿勢がありありと感じられ、普段の彼とは比べ物にならない。


「ち、ちょっとハジメ……いや、ハジメ……じゃないんだな?」


モルフィスはその身体に浴びせられる、強烈な圧迫感で否応なく悟らされる。……目の前に居るのは、いつもの見慣れたお気楽能天気なハジメとは全く違う……太陽の黒点同様の異質な存在。一度見れば決して眼を逸らせず、意識の中に居続ける異物。


「……ん~、聞いて覚えるのも面倒だな……ちょちょっとハジメの記憶野を……っと。……モルフィスって名前かい?そっちの蛾人間(モス・メン)は……実物見るのは初めてだぞ?……宇宙初の知的生命と会えるとは正に宇宙の神秘だなぁ♪」


大胆不敵にハジメの脳内を引っ掻き回したソイツは、そう言いながらウンウンと頷きつつ、三人の男をチラッと見てから落胆しきった表情を浮かべ、更に盛大な溜め息のオマケ付きで、


「…………ふむぅ……、はああああぁ~……、あぁ、呆れるわぁ……この世界の【神様】ってのは、宇宙の(ことわり)を語り合える貴重な存在を前にしても、やっぱり化けの皮を剥がされたくないみたいねぇ…………ちょっと、」





「…………舐めてんじゃないの?ああぁ~ん!?」


ハジメの格好をしたソイツは、突然下衆な啖呵を切った瞬間、唐突に苛立ちを顕にしつつ本気の怒りを迸らせる。


……ごずん、と建物が揺れて、瞬間的に室内も縮んだように感じたモルフィスは、急速に視野が狭まる感覚に襲われる。それは……極稀にブラックホール化した恒星の近くを通過する時に体感した、重力や磁場に捕らわれる感触と同じだった。



「……ま、まさか……過重力なんて……もしかして……()()()()()()()()()……ここに顕れた……って、事なの……!?」


……ビキキッ!!と足に懸かる重力に変化があり、一瞬で身が軽くなる。唐突に軽減されることにより、身体が宙に飛び出すような錯覚に陥るが、即座に意識が修正をかけ落ち着いていく。


「アハハァ~ッ♪ゴメンねぇ?すっかり忘れてたわぁ!!……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ってこと!!」


悪びれずに笑いながら語りかける、ハジメの姿を借りたソイツはガラリと態度を変えながら、


「……さて、ふざけたあんたら……まさか、役の神のパシリって役回りをただ黙ってやる気?本気なら……【消し去る】つもりだけど?私はハジメの《中身》……『超時空戦艦のマザーコンピュータ』よ。私が白いと言ったら……ハジメが黒く見えても、白くなるわよ?」


言い終わった瞬間、三人居た男の二人が唐突に消える……それは正に一瞬だった。巨大な手で掴まれ握り潰されるように。


「……分身だって、判っちゃいました?う~ん手の内がバレてるなら、俺は何も出来ませんよ……降参……「お前も分身だろ?チートって奴か」ッ!?」


前に進み顎を鷲掴みにし、眼を逸らせないようにしながら直視する。その視線は眼窩の奥の奥……言葉通りなら、その先に居るだろう本体を射抜く鋭さと、その存在を逃さぬ力強さを持たせながら。


「私は《ガーディアン》……超時空戦艦のマザーコンピュータにして、対峙する二者の調停者。私が本気で捻り潰す……と言ったら、全次元隈無く捻り潰す。徹底的に……実行する。なんならお前の身で試してみるか?超時空、の言葉の真の意味を……なぁ?」


そこまで語ると不意にハジメはバランスを失いかけ、脚を踏み出したたらを踏むが、何とか安定させながら上体を起こし、


「……あれ?…………二人は?……モルフィスさん、あと、あぁ、まだ名前聞いてなかったよね?君のこと」


後ろの少女に向かい、優しげに笑いながら尋ねるハジメだったが、問われた彼女はモルフィスの後ろに隠れ、ハジメの視線から逃れるように身を縮めてしまった。



それではまた。

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