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勝負の分岐点

死屍累々の砂漠。果たして生きて出られるのは誰?



 「ん?……おぉ!!ハジメさん立ち上がりました!!……で、でも……横に知らない人が二人も居ます……おまけに……カッ、カップル……な人達……ですか?」


マニトバはしどろもどろになりながら、目の当たりにしている光景を何とかクァイナに伝えようとしていたが、


「ゴメン……マニトバさん、言ってる意味の半分くらいは判らないわぁ……ちょっち貸してみて?……ふんふん、ハジメぺこぺこボンキュッボン……?……いやいや違うそーじゃない!!」


マニトバから手渡された双眼鏡を手にして暫く後、眺めた様子を理解する為に口に出しながら小首を傾げて顎に人差し指を付け、何故か舞い降りたフレーズの小気味良さに少しだけ戸惑いつつ、しかし即座に一旦リセットして、


「……ハジメは、目の前のナイスバディな女性に何度か頭を下げて……相手は腕組みしながら様子を見ていて……傍らにあら、結構スタイルの良さげな男が居て……だから、ハジメぺこぺこボンキュッボン……うん、上手い上手い……っていやいや違うそーじゃないそーじゃない!!」


軽く天丼(※①)しながらクァイナは傍らのシャルロットに、


「ねぇシャルロットさん!!その……デフネって人、私達と何が違うの?」


思わず訊ねるその様子を、ニヤニヤしながら返答するシャルロットだったが、


「……ん?ブラのサイズだろ?」


「や、いやいやそーじゃなくてぇ~ッ!!もぅ!!」


我知らず胸元を隠すようにしながら身を捩るクァイナをからかってみたシャルロットさんでした。しかし、直ぐにニヤニヤ笑いは止めないながらも、


「ありゃまぁ……判りやすい嫉妬って奴か?ま、ブラに負けずに恋せよ乙女、だな!うんうん、実に芳ばしいなぁ~♪」


「うにゃ~ッ!!みんなしてイジめるよぅ……キィーーッ!!……マ、マニトバさぁ~ん……って、にゃあぁ~ッ!!こ、この裏切り者ぉ~ッ!!」


追い打ちされたクァイナはマニトバに駆け寄り抱き付こうとしたが、その目の前に現れたフリル付きシャツのボタンがちょっぴり引っ張られ気味な事に気付き、そして……その形状が見るも立派な山脈(※②)だったので……思わず叫んじゃってましたとさ。



(※①)→天丼。ボケに更にボケを重ねること。


(※②)→クァイナBマニトバDシャルロットFデフネGマイクロビキニKモルフィスA+ですが何か?


✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳



「いやその危ない所が危なくて有り難う御座いました!!一時はうっとりとしてましたそして今もうっとりとしてしまってました!!」


「……う、うぉぅ……まぁ、元気そうでよかったなぁ……あと、アンタ何で火砕流食らって平気なの?熱くなかったのか?」


全く噛み合わないハジメと、それなりに応対する大人なデフネの二人は、しかし急速に、砂漠鯨による包囲網が作られていくそのこと自体は理解していた。


「……デフネ、今更だが包囲網が完成したようだ。君だけなら脱出は容易だが……そうはしないだろう?」


ギルガメッシュの言葉を軽く笑いながら受け流すデフネと、そんな彼女をうっとりと見つめる気持ち悪いハジメ……本当に主人公なのかコイツは?


「そんなつまんないこと、この私が選ぶ訳ないでしょーに!!私の進んだ後に勝利へ続く道(ビクトリーロード)が出来上がるのっ!!判った!?判ったら()()()()()()()()()()()()()()()()()()


叫ぶデフネにやれやれ……的ポーズを取りながらも、腰に差した二本目の剣をポーン、と投げて寄越すギルガメッシュ。


それを宙でがっしりと受け取りながら、チャキ……と鞘鳴りを響かせつつ引き抜くデフネ。


「さーて……コイツの真価を知ったら……奴等きっと悔しくて吼えるわよ?ウフフ……♪」


蒼白く光を跳ね返すその剣は、やや緩やかにカーブを描く曲刀……勿論、魔剣なのだが、果たして……その実力や如何に……?



✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳✳



【……包囲網は完成したわ……確かにね……でも、何でなんでしょうか?……この不安感は……】


リーダー格のサンド・クィーンは、配下の鯨達の素早い展開に満足しながらも、拭い切れぬ思いが頭から離れなかった。


何故なら、何回探知しても相手の二人(もう一人は出たり消えたりを繰り返していたので気にしないことにした)は動かずに迎え撃つ算段のようだが、それが余りにも稚屈な選択に思えるにも関わらず、二人は動かないのだ。


【万策尽きて……なのか、それとも……まだ何か考えて講じてるのか……ううん、なら……こちらから動いて揺さぶってやるしかないわね……】

【……動きました!!いや、()()()()()()()()()()()()


絶叫に近い声で報告する配下の鯨に、ついに彼女は決断した。


【全員距離を保ちながら浮上、即座に包囲しながらサンドブラストよ!】


無言で浮上する三百頭の砂漠鯨達。その様は地上に伝わり微震動でハジメは思わず浮き足立ちそうになるのだが、


(落ち着きなさいな……()()()()()()()()()()()())


デフネの言葉を胸に秘め、ハジメは地に足をしっかりと踏ん張って、砂漠鯨達の到達を待ち構えた。


……ドドドドドドドドゥッ!!!


一瞬の間にその身を宙へと舞い上げながら現した砂漠鯨、その様は正に圧巻……全方位から圧倒的質量を誇る、巨大な塊が重力に逆らいながら砂漠上へと出現し、即座に頭部をハジメに向けて狙いを定める……が、


【な、何で()()()()()()()()()()()()()()()()


……そこには、ハジメに肩車されたデフネが満面の笑みを浮かべながら、蒼白く光る妖刀《娥者髑髏(がしゃどくろ)》(※①)を構えたまま、


「いやはや……こうもチョロく騙されてくれるとはね~!」


両手持ちのその刀を振りかざし、全ての砂漠鯨に伝え聞かせるように声を張り上げながら、


「そんじゃまぁ、景気よく決めちゃいますか!!やっちまいな、()()()()()


デフネが声をあげた瞬間、手にした刀から黄色い声が発せられ、彼女の身体が肩に触れることにより生じる様々な情報を、鼻の下を伸ばしつつ貧欲に収集していたハジメは面食らってしまう。それは正に「ちょっと!ノックしてから開けてっていっつも言ってんじゃん!」状態なのだった。


《やっほ~いッ!!待ってました~♪そんじゃ、イッちゃいますよ~!》


対してアジサイ、と呼ばれた妖刀は、軽く鳴動しながらその身に付けた彼女固有のユニーク極まりない能力を遺憾無く発揮させ始める。



……ピキッ、と何かが割れるような音を響かせた瞬間、デフネの周りに蒼白い靄が掛かったかと思うと、その靄は急速に膨張拡散しながら辺りを包み込む。


瞬間的に広がったその靄が通過していったのだが、肝心な砂漠鯨達に特に異変はなかった。最初のうちは毒や強力な破壊作用でも有ったのか、と疑っていたのだが、まるで波が広がるように周囲を取り囲んでいた鯨達は我に返りつつ気を取り直し、


【……………………、……っ!?……!……!!…………ッ!?】


……自分達の意思伝達が全く行えなくなっていることに初めて気付き、狼狽し始める。



「よしよし慌てとる慌てとる!アジサイ!よくやったぜ!!」


《当~然よ~♪こんなの私に掛かればお茶の子サイサイだもん!》


「あの、これって一体何が何なんですか……?あと……彼女、誰?」


ハジメは肩から(不本意ながら)デフネを降ろしつつ、目の前に突然現れたおかっぱ頭の可愛らしい着物姿の娘とハイタッチする彼女に尋ねたのだけれど、


「ん?この娘?アジサイよ?……あ、アンタもしかして魔剣見たことない人?こっちのギルガメッシュと同じ、擬人化する魔剣さ!」


「……はじめまして!アジサイ、って呼ばれてる《娥者髑髏》の()()()()()()()


……正直、アジサイのノリに付いていけなかったハジメでした。



(※①)→《娥者髑髏》(がしゃどくろ)。本来はがしゃ、に漢字表記は無いが、中の人が女の子と言う設定に合わせて娥者、を当てました。がしゃの意味は骸骨が立てる擬音の説が有力なようです。そして中の人はうら若き乙女で黄色く丈の短い赤い帯の着物姿です。やや萌えポジション維持。




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