266弾 次の試験の対策練ろう
ミアンの発言で自部屋内は騒然とした空気に包まれる。
「はあ、何、何。勝手にニシキさんとコンビ組むって。」
ミヤンが猛然とミアンに喰ってかかるが、
「ミヤンがそんなこと言うのだったら、そうせざるを得ないじゃない。」
毅然と言い返すミアン。
「勝手よ、勝手すぎるわ、ミアン。長姉として許しません。」
ヘルバティアも長姉としての威厳を無理くり示しながら言うが、
「お子ちゃま体型な長女が何言ってるのよ。」
「フガッ、ウガウガウガ……。」
ミアンの反撃にヘルバティア、あえなく撃沈する。
「全く、みなさん、もういい加減にして下さい!。一体なんでこんなことに俺は巻き込まれなきゃならないのですか!。何の戦いですか、これ。」
俺が声を大きくしてそう抗議して混沌を収束にかかる。
「何の戦いって、ねえ。」
メムが首を傾げバンナを見る。
「何の戦いと言われると……。」
バンナもメムを見返して首を傾げる。
「「絶対に負けられない戦い?。」」
「アホかーっ!!。なんでやねん!!。」
ポカッ、ポカッ
メムとバンナがハモってそう言うので俺はツッコミを入れながら、メムとバンナにゲンコツを喰らわす。
「いいですか、みなさん。ランクアップ試験の最終条件を満たすための戦いがもうすぐなんですよね。わかっていますか!。何でこんな3姉妹と益獣の訳分からん争いに俺は巻き込まれるのですか!。全くもう!!。」
俺は一気にまくし立てる。
「は、はい。」
「その通りです。」
「つい、負けん気が……。」
ヘルバティア、ミアン、ミヤンがそれぞれそう呟きながら、青菜に塩を思いっ切りかけられたような勢いでシュンとなる。
「で、メム様、バンナ様。精神修行についてはもう俺の方で勝手にやりますので、これ以上は余計なことはしないで下さい!。」
「「はぁーーい。」」
メムとバンナが俺の発言で大人しく寝床へ引き下がる。
メムとバンナは寝床でウトウトしているのを尻目に、3姉妹を自部屋から退室させて、俺は自部屋の隅で静かに座禅を組み瞑想にふける。まあ、推薦者がどんな者であろうと無心に書いてとやり合うしかない。そう思いながら瞑想にひたると、心が整ってくる感じはある。まあ、最初からここで精神修行したら良かったのかもしれない。
とはいえ、そうこうして座禅にふけっているうちに夕刻になる。
「そろそろ夕食じゃない。ダン。外で食事にするの?。さっきのこともあったしね。」
メムにそう声をかけられて、座禅を終えることになる。
「ウチは携帯食糧をいただければ十分ですから。」
バンナがそう遠慮がちに言う。
「ふぅ、もうそんな時間ですか。メム様の言う通り外で何か買って帰って部屋での夕食にしますか。」
俺はメムの意見に従い、外で何か買って帰り部屋で夕食にすることにするため、自部屋を出て買い物に行こうとすると、ノックの音が。
「はい、何か。」
ドアを開けると3姉妹が揃っていた。
「先程は失礼しました。ちょっと話し合いたいこともあるので夕食を一緒にお願いします。」
ミアンがそう言って3姉妹が一斉に頭を下げる。
「話し合いたいことって何ですか。まさかまたあなた方の喧嘩に巻き込まれる、とかじゃないでしょうね。」
俺が皮肉たっぷりにそう言うと、
「いえいえ、決してそんなことはありません。ちょっと方針の変更というか……。」
ヘルバティアがそう言い出すので、
「まあいいですよ。では一緒に行きますか。」
俺はそう言って、メムとバンナを促してリビングダイニングに向かうことにする。
リビングダイニングで夕食をとりながらヘルバティアが説明する。
「この前は各自の訓練でランクアップ試験の最後の条件に対応すると言ったのですが、……稽古台になってもらえませんか、ニシキさん。」
「稽古台ですか、俺が、みなさんの、ですか?。」
確かに方針を変えたのだな、そう思いながら俺は確認するように発言する。
「はい、やはりニシキさんを相手に稽古した方が能力向上に良さそうだと思いまして。」
「えらく過大な評価ですね。」
ミアンがそう補足説明するのに俺がそう答えるが、少し驚きである。そんな評価されてもな。
「いや、やっぱりニシキさんに手伝ってもらわないと、10級ランクアップ試験に合格したいからね。能力を上げないと私たちだけじゃ難しい。」
ミヤンが正直に内心を吐露してくれる。
「まあ、わかりました。稽古台になりますか。」
「いいの?、ダン。」
俺が了承するとメムが心配そうに聞いてくる。
「そうでんな、ニシキはん一人でこの3人を相手するのでっしゃろ。ニシキはんの体力が持つのかどうか。」
バンナもメムと同じ考えのようだ。
「稽古台、と言いましたが、もしかして特訓所でやっていたような魔法も使って、みなさんとやり合うのですか?。」
この街でそんな魔法を撃ち合うような稽古はできないはずだしな、そう思いながらヘルバティアに聞いてみる。
「うーん、それもいいのですが、素手格闘のみで稽古しておきたいのです。一番元となるのは武器なし素手のみの戦いでしょうから。」
へー、意外に考えているな。俺がヘルバティアの答えに納得して頷くと、
「あと、コンビ戦も稽古してもらいたくて。メムちゃん、バンナちゃんも含めて。」
ミアンの発言に俺は首を傾げて、
「そこまでやってもいいのですか?。うーん。」
と疑問を呈する。
「私はやってみるから。」
「ウチも構いまへんで。」
メムとバンナがそう言って了承するが、
「俺が3姉妹との稽古台になるのはいいのですが……。」
「何か不安なことでも。」
口ごもる俺にミヤンがすかさず聞いてくる。
「……うーむ、まあ、やってみますか。」
俺は腹をくくって3姉妹、メム、バンナを含んだ稽古について了解したのだった。
「いいのかしら、ダンとしてはメリットが皆無なのじゃ?。」
入浴を終えたメムが否定的な言い方で自部屋に戻るなり開口一番、俺にそう聞いてくる。
「うーん、まあ、メリットといえば、ランクアップ試験に合格できる可能性が上がることでしょうね。」
バンナが首を傾げて俺に聞く。
「それでいいのでっか?。」
「まあ彼女たちの能力が上がるのならいいのですがね。」
メムもバンナも微妙に納得できないといった空気をまとわせている。
「メムはんが聞きますか?。」
「いや、バンナ、あなたが聞いたら。」
メムとバンナが何やら押し付け合いを始める。
「メム様もバンナ様も、聞きたいのは、俺が了解する前に口ごもったことですよね。まあ、推薦者との戦闘まで時間がないので、メム様やバンナ様を交えた稽古は時間的に難しいかもな、と思ったからですよ。」
俺が先にそう答えると、
「「ああ、なるほど。」」
メムとバンナがハモって納得する。
「実際、稽古に割ける時間は思ったほどないと思いますよ。実際思いっきりできるのは残り5日位でしょう。そのあとはコンディションも整えて万全の体調にした方がいいですから。そう考えると、俺が稽古台になって教えられることを教えて、となると。」
俺がさらに補足説明する。続けて
「それに、俺より、メム様が3姉妹と稽古した方がいいでしょうから。」
「えっ。ウチは戦力外。」
バンナが俺の発言でショックを受けたようで、しょげかえるが、
「バンナ様が通常モード体型で戦える場所は外しかなさそうだからですよ。俺個人としては一度バンナ様と稽古でいいので手合わせしてみたいのですが。」
「ああ、なるほど。言われてみれば……確かに。」
思い当たる節があるのかバンナはあっという間に立ち直った。
「バンナにそんな能力あるのかしら。」
メムが疑問を示すが、
「いや、あのヘビースネークとの戦闘で高い能力の片鱗は示していますよ。」
「あらそう、じゃあ今ここで私がバンナとやり合ったら……。」
俺の回答に対してそう言いながらメムが好戦的な気を出すと、バンナも負けじとメムを睨みつける。
「本当にやりあわないで下さいね。多分この部屋が吹き飛びますし、近所にも大迷惑となりますから。」
「「はぁーい。」」
俺がそう言ってたしなめると両者大人しく従って静かになる。
「はいじゃあ、メム様、バンナ様、もう寝ましょう。」




