259弾 高難度試験開始しよう
翌日、手配したドラキャに乗り込み、ロトトロ山地に向かう。
「イダーゴンの葉の収集ってどんな感じで収集するのですか?。ヘビースネークのことだけ考えていたもので、収集のことをすっかり忘れていまして……。」
ミアンが操縦しているドラキャの車内でヘルバティアとミヤンにそう尋ねる。
「うーん、……幹に大きな葉がついていてその葉に棘が生えているので、その棘をはらうという形で収集するの。幹から葉をはがすのはまあ楽だけど、棘をはらうのが手間なのよね。」
メムを撫でながらヘルバティアが教えてくれる。
「やり方としては先に棘をはらってから幹から葉をはがすか、幹から葉をはがしてから棘をはらうかの二通りがあります。」
ミヤンが自分の右肩に留まったバンナを頬ずりしながら補足してくれる。
イダーゴンの葉については、まあ実物を見てみればわかるだろう。
しばらくドラキャを走らせて操縦を交代しながら山道を進む。この手配したドラキャは山道のような荒れた道でも走れるようにできているそうだが、どうやら目的地に着いたようである。
「ちょっと早いけれど先に昼食にしましょう。」
ヘルバティアがそう言って、昼食を済ませて、そのイダーゴンの葉の採集のため山の中を少し歩く。用心のため、バンナが高い目に飛んでいる。メムと俺が前に立ち、敵の有無を確認しながら進む。半刻ほど歩くと、
「さあ、あれがイダーゴンの木よ。」
ヘルバティアが俺とメムに声をかけ、指差す先にその木はあった。
「うーん、これって……。」
「なんかデジャブ感あるわね。さすが異世界ね……。」
その木を見た俺とメムはその木を見つめて交互に呟く。
指し示されたその木は、何だろう、まるで前世の地球の植物で、杉の木の幹にウチワサボテン、いや、センニンサボテンの平べったい茎節がくっついたような、しかし、そのセンニンサボテンの茎節に当たる部分が異様に大きい。
「もしかして、この緑色のこれを採集するのですか?。」
準備中の3姉妹に聞いてみる。
「ええ、そうですよ。これを刈り取ってしまうのです。」
「メム様、こうなったらしっかり警戒しておきましょう。」
「そうね、かなり集中しなきゃね。」
「バンナ様、警戒お願いします。」
「はーい。」
採集作業にかかり出そうとする3姉妹の周り20マータル周辺を警戒する感じで、数本生えたイダーゴンの木の周りをウロウロと周回することにする。
特訓の際に俺が3姉妹に話した体にあう武器についてはそれなりに調整はできたと聞いているが、まだ完璧に体にあうものまでは手に入れられなかったらしいが、その武器を使ってまず棘をはらいにかかるようだ。
「ねえ、これは、来たわよ。多分これがヘビースネーク。ゆっくり潜んで襲うつもりかしら。」
「来ましたか。」
正直ずいぶん早いタイミングである。
「こっちよ。」
メムが俺を誘導する。
「皆さーん、敵はっけーん。」
バンナも視認したようだ。3姉妹は作業の手を止めて早急に俺とメムのところに向かってくる。俺も拳銃を抜き撃針を起こす。
敵は、少し面食らったのか、いきなり、鎌首をもたげてきた。
「おおっ、これが……。」
初めてみるヘビースネークは、なるほど大きい。確かに見た目は白蛇だ。胴体の太さ、胴回りは3〜4マータルくらいか。鎌首をもたげた高さが5マータルぐらい。家の2階から見下ろされるような感じである。
しばらく睨み合う俺とメムとそのヘビースネーク。そこに3姉妹が駆けつける。
その瞬間、メム目掛けてそのヘビースネークが飛びかかる。
「集中。」
俺は呟き、一気に弾倉に込めていた魔弾【剛岩弾】を全弾ぶっ放す。
ドシュドシュドシュドシュドシュドシュ
ドギャドギャドギャドギャドギャドギャ
強烈な岩の弾丸がそのヘビースネークの顔面に全弾命中しまくり体勢が崩れる。ダメージがあったかどうかは定かではない。それを見ながら新たに魔弾【剛岩弾】を急ぎ装填する。
メムも素早く動き、体勢の崩れたヘビースネークから距離をとる。
そこへ、
「皆さーん、もう一匹接近中。かなり大きいやつですー。」
バンナの声が響く。なんというタイミングの悪さ。
「集中。」
再度呟き、もう一度、一気に弾倉に込めていた魔弾【剛岩弾】を全弾ぶっ放す。
ドシュドシュドシュドシュドシュドシュ
ドギャドギャドギャドギャドギャドギャ
再び強烈な岩の弾丸がそのヘビースネークの顔面に全弾命中しまくり苦悶の声を上げる。
「間も無く、もう一匹が。これからウチが突貫しまーす。」
バンナの切迫した声が響く。
「リーダー、こいつの相手を。ダメージは与えたはずです。」
ヘルバティアにそう言うと、
「バンナが時間稼ぎする奴を相手するのね。気をつけて。こっちは何とかするわ。」
ピィィィィィ
鳴き声が響き渡る。バンナが威嚇をしてもう一匹のヘビースネークの動きを止めにかかるようだ。
「こいつは任せてください。こちらで私たちが倒します。」
とミアン。
「バンナちゃんに加勢して。」
とミヤン。
「アレをやるから。」
ヘルバティアがそう言って俺とメムの前に立つ。
「任せます。」
言葉少なくそう言って、バンナの様子を目で探す。見つけた。
いつの間にかバンナは通常モード体型に変化していた。
素早く30マータルほど走りながら装填をして、バンナのいるところまで一気に駆けていく。バンナが飛行しながらヘビースネークの頭を突いては飛び、突いては飛びを繰り返して、ヘビースネークにとってはちまちまと鬱陶しい攻撃をしてくれている。
しかしこれは……、さっきのヘビースネークの1.5倍ぐらいの体の大きさなのだが、それ以上に強者感が濃厚に滲み出しているように感じられる。なんて大きさだ、そしてなんて圧だ。
「ねえ、これがもしかして話にあったという……。」
「ここで弱気は禁物ですよ、メム様。」
そう小声で会話している俺とメムの背後で
「ガイドライティング!。」
「フローズンケージ!。」
「フレイムフラワーガーデン!。」
魔法の詠唱が終わって3姉妹のアレが炸裂したようだ。
シャーッ
背後で多分断末魔の声が聞こえてくる。
ではこっちも、そう思った瞬間に、バンナと戦っていたその大型のヘビースネークは急にメムを見て飛びかかってきたのだった。
チィッ、間に合わないか。でも
「集中。」
三度そう呟いて一気に加速してメムの前に立つ形になりながら、魔弾を全弾一気にぶっ放す。無我夢中で戦っているため魔弾の種類がわからなくなっている。
ドシュドシュドシュドシュドシュドシュ
ドバッドバッドバッドバッドバッドバッ
これは【火炎弾】を装填していたのか。奴の顔面に濃密で小柄な火の玉が飛び、全弾顔面に命中して爆ぜる。大型ヘビースネークは素早く身を引き、俺から間合いをとる。
メムは無事か、そう思ったところで、バンナがメムを背中に乗せて飛んでいる。バンナも急降下してメムを拾ったようだ。
背後から熱気と冷気が漂ってくる。3姉妹のことも心配だが俺もそこまで気にする余裕がない。大型ヘビースネークを睨みつける。奴は俺を見て、空中を飛ぶバンナとその背に乗っているメムを見て、意を決したかのように鎌首をもたげる。
奴を睨みながら急ぎ装填をする。気が急いているせいか、何の魔弾か確認する余裕がない。
「ええ、ままよ。」
メムとバンナが急速上昇している。何をするつもりだ。奴もそっちに気を取られる。今か。よし。引き金を引き、またまた魔弾を全弾ぶっ放す。
ドシュドシュドシュドシュドシュドシュ
ビシュビシュビシュビシュビシュビシュ
これは【氷結弾】だ。顔面に全弾命中、しまった。火炎弾の後じゃ冷やしてあげるようなものか。俺は焦ってしまう。
その時、
「こっちは終わったわ、加勢するわよ。」
ヘルバティアの声がする。そのタイミングでバンナが急降下して、……え、メムが奴の顔面めがけて急降下頭突きをする気か、おい。
メムの頭突きが奴に命中する。効果があるかどうかは不明だ。 メムが勢いよく跳ねる。
フッシュー
と奴の声らしき音がして、口が開く。
おい、まずい。それは、まずい。
まるでスローモーションのように動いていく。
「メムちゃーん!!。」
ヘルバティアが悲鳴をあげる。バンナが間に合えとばかりにメムのところに文字通りすっ飛んでいくが……。
奴の口の中にメムが。
メムが呑まれていった………。




