237弾 協働戦の特訓しよう
魔道具については話も聞いたが、あまり3姉妹の方でも多くを使っているのでもないからか、そのうちに話は別の話になり、
「まあ、魔道具を使う者って魔導士とか魔導師とか研究者はよく使うのだけど……。」
「冒険者がそうそう使う物でもないしね。」
「まあ私たちがわかる限りでの魔道具の話はこれでおしまいにしましょうか。」
ということで、話し合いは終わり、夕食までの時間は各々思い思いに過ごすことになる。
夕食を届けにきた特訓所の所員と一緒に、ガーワンバーさんとトレガーマさんがやって来た。
「お待たせしました。次はパーティ協同での害獣退治になります。」
ガーワンバーさんがそう言って一枚の紙をヘルバティアに渡す。
「詳細については明日、また説明することになります。」
とトレガーマさん。
「まさか、また待機してもらうなんてことにはならないでしょうね。」
俺が皮肉たっぷりに聞くと
「いえ、もうそんなことは決してありませんから。」
ガーワンバーさんが恐縮し切って答える。
「「では、これで失礼します。また明日に。」」
2人は声を揃えてそう言って、夕食を届けにきた特訓所の所員と一緒に引き上げた。
「今度は何をするのかしら。」
メムがそう言って紙を見ようとする。
「メム様、まず夕食を終えましょう。それからでもいいじゃないですか。」
「そうね、まずは食事ね。」
夕食を終えてヘルバティアが紙に書かれたことを皆に知らせる。
「明日からのパーティ戦は、協同作戦よ。どこかに配置された他のパーティと合流して害獣を退治するのよ。」
「害獣の退治とは何を退治するのですか?。」
「ミアン、オラオライオンよ。」
「え、ティア姉さん、もう一度言って。」
「だからミアン、オラオライオンよ。」
「「えーーーーー。」」
退治する害獣の名を聞いて双子妹が驚きの声をあげる。
「えっと、オラオライオンっていうのはどんな害獣なのですか?。」
その驚きの声が収まるのを待って俺が質問する。
「狂獣ランクの獣よ。圧倒的な攻撃力、これに尽きるわ。」
「確かに複数パーティで退治することになるわね。攻撃をいかにかわすか若しくは防ぐかになるのだけど……。」
「あれの使ってくる魔法が厄介なのよね……。」
3姉妹が次々にそう言って教えてくれるが、ヘビースネークと比べるとどうなのだろうか。そう思って、
「そのオラオライオンはヘビースネークよりも厄介なのですか。」
俺が再度質問してみると
「同等ぐらいね。ただ放つ魔法が、みんなが『フルバースト』と言っている魔法の威力がかなりのもので。」
「体に当たれば爆裂して吹っ飛ぶ。地面に当たっても地面が吹き飛び付近に被害を及ぼす。」
「しかも結構連射するのよね……。」
また3姉妹が次々にそう言って詳しく教えてくれるが、何か嫌そうに話しているのが気になる。
「何か他にもありそうですね。」
「そうよ、やられそうになると、ウンコをぶっ放すのよ。尻を向けたら逃げることになるのだけど、そうすると退治する直前でオラオライオンが逃亡するということになるから……。」
ヘルバティアが心底嫌そうに言ってくる。
「それに、他の猛獣、強獣にも気をつけないといけないでしょう。」
とミアンが険しい表情で意見を述べてくる。
「数で押されるとこっちが不利よね。」
メムが不安そうな表情で呟いてくる。
「オラオライオンは攻撃に特化した感じ、ヘビースネークは防御に特化した感じか……。」
俺はオラオライオンについて聞いた感想を述べる。
「あとは脚部の毛色を見ておかないとですね。『フルバースト』が毛色によっては火か水か風か土かどれかの魔法属性を持ちますから。」
ミアンがため息まじりにそう情報を追加する。
「まあ、明日からね。しっかり休んで一眠りしてコンディションは整えておきましょう。」
ヘルバティアがそう言って皆寝室に向かう。
「ねえ、ダンはそのオラオライオンとかいう害獣とどう戦って退治するつもりなの。」
入浴も終わり寝る前のひと時であるが、メムがずっと不安そうな表情で俺に問いかける。
「うーん、脚部の毛色で『フルバースト』やらの魔法属性が分かるというところが難題でしょうかね。魔弾を装填し直すのか、時間稼ぎも含めてとりあえずぶっ放してから装填するか。ちょうどいいじゃないですか、メム様の必殺技をぶつけてみては。」
「必殺技?、そんなのあったかしら……。ああ、あれね。」
「おい、なんで必殺技を忘れかけていたので?、せっかくこっちも苦労したのにその言い方はないでしょう。」
あまりものひどい反応に言葉が乱れてしまう。
「いやーねー、ちょっとしたジョークよ、……軽いボケよ。」
「まあ、いいですけど。今度はメム様の真の実力が発揮されることになるかもしれませんね。」
「あーら、そう。ニャハハハハハハハ。」
「じゃあもう寝ますか。」
「ニャハハハハ。」
メムはご機嫌な状態で高笑いしながら眠りについた。
翌日、朝食後に身支度を整えて、ドラキャに乗せられて2時間ほど走り続ける。
「この特訓所ってそんなに広いのか……。」
俺はそう呟きながら、ドラキャでウトウトしつついると、
「ダン、着いたわよ。」
メムに起こされる。
「ふう、よく寝た。昨夜メムの高笑いのようなイビキがうるさかったからな……。」
「イビキじゃないわよ!。戦闘前の私へのダンからの期待にテンションが上がっただけよ。それが寝てる時にちょっと漏れ出ただけよ。そう、寝言よ、寝言。」
「はあ、そうですか……。」
「ちょっとー、何よそのリアクション。」
俺とメムがギャンギャンと会話しているのを見ながら、
「この状況でもいつも通りだな。メムちゃんとニシキさんは。」
とミヤン。
「かえって落ち着きますね。」
とミアン。
「はいはい、メムちゃんもニシキさんもそこまでそこまで。特訓の開始なのだから。」
ヘルバティアがそう言って不毛な会話をやめさせて矢印の方向に向けて歩き出す。
少し歩くとガーワンバーさんとトレガーマさんが待ち構えていた。
「どうですか、体調は。これからパーティ協働戦を行いますから。」
そう言いながら前回のパーティ戦バトルロイヤルの時のように紙をヘルバティアに渡す。
『パーティによる協働戦。
・オラオライオン2頭の退治。
・退治したオラオライオンから回収した魔石を証拠として
取っておくこと。
・他のパーティは各々の配置についているため早めにそれ
を見つけ合流することを推奨。
詳 細
参加パーティ数 4
1 戦闘不能の判定は審判役による、パーティ総員の撤
退も可
2 魔術(魔道具、魔法)と武器による攻撃全部可
3 猛獣、強獣クラスの害獣の出現あり、これの排除は可
4 強獣クラスの害獣から回収した魔石はパーティのもの
として所有可
注 意
パーティの初期配置位置、構成等は一切当方から教え
ない。』
「要は、他の離れて配置されたパーティと合流して、このオラオライオンを退治するということか。ふーむ。期限はないのですね。」
紙を横合いからのぞき、俺はそう呟く。
「合流することを推奨といっても、他のパーティがどこにいるかは己で探せってことね。」
メムが不満げに言う。
「でも、これはこれで、この特訓は実戦的よね。」
「ええ、ニシキさんらはそんな経験はないかもしれませんが、パーティ協働で依頼の手伝いというのはハイランカーの依頼だとちょくちょくありますから。」
「そういうのを込みでの特訓ですね。」
3姉妹から次々そう言われて俺もメムも納得する。
「では、始めてください。」
トレガーマさんがそう言って、ガーワンバーさんと一緒にどこかに去っていった。




