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238弾 別パーティと交流しよう

「まずは他のパーティと合流することになるわね。」

「ええ、まずはそのために話し合いましょう。」


 ミヤンがせっかちにもそう言い出すがそれをミアンがたしなめる。


「じゃあ、ここはもちろん私の出番ね。」


 メムが積極的に言って、胸をクイッと反らせる。


「メム様、大丈夫ですか?。」


「ちょっと!、ダン。それどういう意味かしら。」


「いえね、しょうもないこと考えて他のパーティを感知せずに、狂獣とか強獣とかに俺たちを誘導しようとするんじゃないかって思ってまして。」


「……グッ、……まさか、そんな。ハハハハハハ……。」


「図星……のようですね。」


「そ、そんなことないじゃん。私もちゃんとやることやるじゃん。」


 どうやら狂獣や強獣のいるところに誘導しようとは考えていたようだ。語尾に『じゃん』がついている。しかしメムは強かだった。


「ひ、ひどいわ。ダンとは長い付き合いだけど、そんな風に私を見てたのね。ヨヨヨヨヨヨヨ。ヘルバティア、助けて。シクシクシク。」


 思いっきり嘘泣きの演技をするが、ヘルバティアがそれに見事に騙される。


「ちょっと!、ニシキさん。メムちゃんに対して酷すぎるわ。いいわよ、メムちゃんに私がついてあげるから。」


「え、それは……フォーメーションを崩しかねないのじゃないですか。」


「リーダー命令よ。私がメムちゃんと一緒に前に立つわ。ニシキさんは私とメムちゃんの後を歩いてなさい。」


 見事に騙されたようで、メムが俺をチラリと見てニヤリとする。やれやれ、後でどうなっても知らないぞ……。


「今回私とミヤンが魔法士剣士、ティア姉さんは硬堅回復士としての行動ですから、その役で前に出て先鋒役というのは危険ですよ。」


 ミアンがそう忠告するが、


「いいのよ、さあメムちゃーん、一緒に行きましょうね。こんな因業な飼い主の言うことは無視してほっときましょう。ささ、さあさあ。」


 メムちゃん可愛さでいろいろ眩んでいる。



 昼食休憩をとって2時間ほどすると、


「ご、ごめんなさい。やっぱりフォーメーションは崩しちゃダメね。交代、交代しましょ。」


 ヘルバティアが白旗をあげる。

 結局、このフォーメーションで運よく、いや運悪く、猛獣の襲撃を頻繁に受けることになり、


(ダン、私は無実よ。他パーティを探りつつ敵を感知しての結果だからね。)


(まあ、分かってますから……。)


 念話術でメムが故意に害獣に遭遇するようにしていないことを主張するが、


「や、やっぱり、この硬堅回復士として前に出過ぎるのは良くないわね。」


 ヘルバティアがあまり上手くない言い訳をして双子妹に白い目で見られる。

 襲撃のたびに俺が早めにヘルバティアをガードしながら、猛獣のウォルフ種であるアクアウォルフやランドウォルフを拳銃から魔弾をぶっ放して退治はしているが、リーダーが前にいることで指示が遅れてしまうこともあり、そこにダッシュでヘルバティアがミアンとミヤンの元に動くからか、ヘルバティアが妙に体力を消耗してしまう。


「本日の猛獣の襲撃は、もうこれで6回目ですか。」


「昼食前に2回、昼食後に4回、ニシキさんに奮闘してもらってますが。」


 ミヤンとミアンがそう言いながらヘルバティアをガードするように並ぶ。


「ねえ、私も悪かったから、ダン、先鋒役よろしくね。」


 メムもそう言ってフォーメーションを元に戻すように頼んでくる。どうやらメムもちょっと勝手が違いやりにくいようだ。


「ええ、わかりました。」


 言葉少なく俺はそう言って元のフォーメーションに。


「前方にティア姉さんだと、やっぱり襲いやすそうにみえるのでしょうか、害獣から見ても。」


 とミアンが俺に聞いてくる。


「いや、単に偶然でしょう。」


 襲いやすそうにみえると言う証拠もないしな。俺は言葉を濁し気味にそう答える。


「よし、さあ出発よ。」


「でもこのままだと、他のパーティは見つからないままですよ。」


 ミアンがヘルバティアにそう問いかける。


「大丈夫よ、この地図によれば、このまま先を進むと小屋があるのよ。そこに行ってみましょう。」


 ヘルバティアがそう言って行き先を示す。

 ふーん、もしかしてリーダーとして安心して休めるところを目星つけていたのかな。



 その後は順調に進んで目指す小屋に到着する。


「ああ、造りはしっかりしてますね。でもこの小屋は何の目的で建てられたのでしょうかね。」


 俺がそう言いながら小屋周りを見回る。大きめの山小屋といったところか。


「この大きさなら、後で他にパーティが来ても十分な広さね。」


 ヘルバティアがドアを開けて小屋の中を見渡しながら一人得心がいったようにうなずく。

 俺はヘルバティアの発言を聞きながら、ミアンと目を合わせて互いに首をかしげる。とはいえさっさと小屋に入ってみよう。


「ティア姉さんはこの小屋を最初から目的地にしていたのですか。」


 小屋に入ってミヤンがヘルバティアに尋ねると、


「まあ、状況によっては別の場所も考えていたけど、宿泊する場所を押さえておいた方がいいと考えたからね。」


 快活な口調でそう答える。


「なるほど、しかしそれは教えてくれてもよかったのじゃないでしょうか。」


「ニシキさんの言うことももっともなのだけど、他のパーティに合流する可能性もあったからね。それ次第で目的地を変えることも考えていたから。


「じゃあ最終的にこの小屋にしたのは、他のパーティも目指していることを考えてですか。」


 もしかすると今このリーダーは、急激に成長しているのかもしれない。外見はともかくとして。


「そうよ、ニシキさんは今気づいたのかしら。」


「恐れ入りました。」


 俺は思わずヘルバティアに敬意を込めて頭を下げる。


「ねえ、ダン。この広い小屋内で私たちだけだと結構広いスペースが使えるわね。」


「メム様、他のパーティがここにやって来るかもしれませんから、それは控えましょう。」


 俺がメムにそう言うとヘルバティアがニッコリして、


「メムちゃん、ニシキさんの言う通りですから、私と一緒に寝ましょうね。」


 そう言われてメムも


「はーい。」


 と素直に従う。

 そして携帯食糧のあっさりとした夕食が終わり、この小屋に意外としっかりとした水回りが備わっていることを確認して、みんな灌水浴で体を洗い終えた頃、メムが急に頭を上げる。


(どうかしましたか。)


(人の気配ね。敵ではないと思うけども。)


 用心のため戦闘態勢をとって、俺はショートソードを抜きドアの前で身構える。

 ノックの音がして


「誰がいませんか、特訓中のものです。小屋を見つけましたので一夜をここで過ごぞうかと思うのですが、よろしいでしょうか。」


 と訛りを含み気味に言うので、俺が


「先にこの小屋に来ていたものです。あなたたちと同様特訓中です。ゆっくりドアを開けますので、一人ずつゆっくり入ってください。」


 と言うと、


「……わがりました。ではまず用心のため、わーが先に入らせてもらいます。」


 そう言ってゆっくりと一人の若い男が小屋に入ってきたのだった。

 その後ゆっくりと一人ずつ5人が入ってきた。


「もう先に来ておられたとは、こりゃ運がいいのでじょう。」


 男3人女3人のパーティのようだった。



「では、先にこの小屋にいた当方から自己紹介をいたします。パーティ名、華束舞踏《ブゥケサルターレ》のリーダー、姓はチャティーア、名はヘルバティアと申します。」


 ヘルバティアがそう言ったの聞いて、6人の表情がおおっといった感じの表情になる。


「続けて、私はリーダーの妹、姓はチャティーア、名はミアンと申します。」


「同じく、名はミヤンと申します。」


 双子妹が自己紹介をする。


「姓はニシキ、名はダンと申します。こちらは益獣のメムと言います。」


 俺がそう自己紹介をすると、次は、


「当方はパーティ名、純朴準星《ナイブティクェーサー》、わーは姓はベンナ、名をホルトノボと申します。」


「姓はモベルバン、名をズベリーと申します。」


「姓はナツボワ、名をハボロネと申します。」


「あたしは姓をオンリユニ、名をドサンニと申します。」


「あたじは姓をトレソ、名はセルマと申します。」


「私、姓はアニエスト、名をリタンと申します。」


 純朴準星《ナイブティクェーサー》の皆さんは結構訛りが感じられるなあ。


「華束舞踏《ブゥケサルターレ》の皆さんのことは審判役の方から話を聞いています。この前のパーティ戦バトルロイヤルで、もーのすごい勝ち方をしたとか。この特訓、協働戦に参加という話で聞いてましたので、実際に会って嬉じいです。」


 ベンナさんがそう言うと純朴準星《ナイブティクェーサー》の他のメンバーが一斉にウンウンとうなずく。


「あれ?、パーティの初期配置位置、構成等は一切当方から教えないと注意事項にあったようだけど、いいのですか。」


「ああ、審判役の方がポロリとわー等に言っちゃったので。」


 俺の問いにあっさりモベルバンさんがそう答えてくれる。こりゃポロリと喋った審判役の方、後で怒られるかな……。

 俺がそう思ったその時、微かにどこからか、


「ああ、すみません、すみません。」


 と言う声と、何かドズドズと音がしたが、すぐに聞こえなくなった。

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