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225弾 ボーナスポイントゲットしよう

 階段に特段の罠もなくそのまま2階に着く。


「少し遅いけど昼食にしましょう。」


 とヘルバティアが言い、階段の近くで携帯食糧での昼食になる。まあ階段を椅子がわりにしての食事である。


「どうです、メム様。」


「そうね、この階にも異常はないわね。」


「わかりました。どうです、もう一つ。携帯食糧です。」


「ああ、ありがとう。……何か魂胆があってこれをくれるのかしら。」


「何もないですよ。探知、偵察役やってお疲れ様でしょうから勧めただけですので。」


「あら、そうなの。」


 そう会話していると、


「えー、今度は私がメムちゃんにあげるからね。ニシキさん、いいわね。」


 ヘルバティアが妬いてしまったようで、俺をジト目でにらみ付けながら言ってくる。



 昼食と休憩をしっかり取って2階の探索を開始する。


「何にもないけど、これって。」


「ええ、迷路みたいになってますね。メム様。」


 あちこちでカクカクと通路が曲がっていたり、分岐があったりである。


「この迷路らしきところにボーナスポイントに繋がる手がかりとかは、……なさそうね。」


「ヘルバティア、残念ながらそれらしきお宝っぽいものもなさそうだわ。」


「メムちゃん、教えてくれてありがとう。」


 迷路をあっち行ったりこっち行ったりしていると、時間だけが過ぎていく。


「多分、こっちにいくと奥に行けそうなのだけど……。」


 メムが鼻をクンクンさせて迷路を探っていると、


ドゴーン


ドゴーン


 外ですさまじい音がして、塔の中もミシミシと音を立てる。


「メム様、外の様子はわからないですよね。」


「そうね、残念ながらね。まあ、塔を攻撃したようね、魔法で。」


「もしや、他パーティが中にいる私たちを。」


 そう言ってミヤンが血相を変えるが、


「今更この塔の中から外に出てもこっちが不利になるかもしれないし、この迷路を戻るのもですしね。」


 とヘルバティア。泰然としたような物言いだが、実は膝が少し震えているのを俺はチラリと見てしまっている。


「まあ、多分、威嚇と誰かいるのかどうか確認のために、魔法でも発動させたのでしょうね。ね、ダンもそう思っているのでしょ。」


「ええ、今からこの迷路を戻るとしても迎撃するまでには時間がかかり過ぎることになるでしょうし、こっちが不利になりかねません。ここは、先に上の階を目指す方がいいでしょう。もし俺たちの後から来ても、この迷路攻略に時間はかかるでしょう。ですよね、メム様。」


「なるほど、先にボーナスポイントの情報とあわよくばボーナスポイントもゲットすればですね。」


 俺とメムの意見にミアンも賛意を示す。


「そうねニシキさんもメムちゃんも話はもっともだわ。で、どうなのかしら。メムちゃん、出口は見つかりそう。」


 そう言ってヘルバティアが少し焦りの色を出す。


「……クンクン、ああ、もうすぐだと思うわ。」


 メムはそう言いながら先頭に立って迷路を進んでいく。間も無く出口と思われる扉が見えて、同時にその前に2つの箱が左右の壁に沿って置かれているのも発見したのだった。


「ようし、両方の箱を開けてしまえば、ミアン姉さん、一緒に2つとも開けてしまいましょう。」


 ミヤンがそう言うが、ミアンが首を左右に振る。そして、


「メムちゃん、あの箱の中に何があるか分かりますか。」


 メムにミアンが聞いてくるが、


「……クンクン、……少なくとも食べ物ではないようだけど。ダン、魔弾を撃って魔法を発動させて箱を壊しちゃえばいいのじゃないかしら。」


 メムが大胆なことを言い出した。


「いいのですか、中身がぶっ飛んでも知りませんよ。」


「うまく狙いを外せばいいのじゃない。」


「メム様、そんな無茶なこと言わないでください。」


「大丈夫、ダンの腕ならもうバッチリよ。」


 メムが随分と気楽に言ってくれるが……。


「いいわよ、やってみましょう。ニシキさん、発動させてみて。」


 ヘルバティアがそう言って俺に魔法の発動を促す。


「じゃあ、ちょっと………、これで。」


 装填する魔弾を交換して、【岩弾】の魔弾を発動させよう。

 拳銃を構えて狙いを箱の上蓋部分に定めて、


 ドシュッ

 ドシュッ


 立て続けに箱の上蓋部分を狙い【岩弾】を魔弾をぶっ放して魔法を発動させる。

 拳大の岩がヒュッと箱の上部にぶち当たり、箱が壊れる。


「どっちも何か入っているのかわかりませんが用心のためちょっと様子を、あれメム様。」


 俺がそう言ってる間にメムが箱に接近して、左右の箱を次々にのぞき込む。


「大丈夫よ、中に紙が入っているだけね。」


 メムの強引な確認を聞いてミヤンが左右の箱の中から紙を取り出す。


「よし、ここにボーナスポイントのヒントが………、何ぃーー!!。」


 ミヤンが紙を見て大声で叫ぶ。


「ミヤン、うるさいわよ。静かになさい。」


 ミアンが妹をたしなめる。


「だって、だって、これは……あんまりよ。」


 そう言って皆に見せた紙には両方とも


『スカ、とさわやか。』


 と書かれていただけであった。


「ねえ、私こんなオチ、前にどこかで見たような気がするの。」


 とメム。


「あー、偶然ですね。俺もどこかで見かけた記憶が。」


 確か、白粉石の鉱脈発見に至るまででそんなことがあったっけ……。


「箱の中にはあとは何もないようですね。」


 ミアンがそう言いながらミヤンが取り出した箱を確認する。


「あぶり出しかもしれません。その紙は持って行って、先に上の階に進みましょう、リーダー。」


 俺がそう言うと、


「そうね、多分扉の向こうに階段があるはずだわ。3階にいくわよ。」


 ヘルバティアがそう言って皆を先へ進ませる。

 扉を開けると予想通り上への階段があった。

 そのまま階段を登っていき3階に着く。その目の前にはまた扉がある。


「ここも何もおかしなものはなさそうだわ。」


 そう言って扉をチェックするメム。ゆっくりと扉を開けると、がらんとした大きな部屋、俺の感覚ではまるで学校の体育館兼講堂みたいな部屋、奥には舞台のように高くなっているところがある。しかし、天井はそんな高くはない。


(ねえ、ダン。この部屋の奥に、奥の上の階に誰かいるみたい。多分審判役かしら、敵の気配じゃないわ。トレガーマさんっぽい感じね、それとあともう一人ね。)


 念話術で伝えてくれる。まあ審判役なら問題ないだろうし、それもあってメムも念話術で伝えたのだろう。

 メムの感知は気にせずに、皆そのまま、その大部屋を舞台のようなところまで進み、舞台上にある机らしきものに近づいてみると、何やら書かれた紙が一枚置かれている。


『塔内で入手した回復ポーションを一つ、この紙の上に置かれたし。』


 ヘルバティアが、紙に書かれた文字を黙読して、回復ポーションを無言でその紙の上に置いてみる。

 妙な気配がしてマジックハンドみたいなものが天井から降りてくる。と、天井で妙な音がして最後はメキメキと言う音がして、


「おわーーっ。」


 と悲鳴とともに人が降ってきた。



 その降ってきた者は黒ずくめな格好をしているが、太り気味な男であった。


「おお、ふう、ふう、ふう。いてててて、ああ、失礼しました。」


「えーっと、大丈夫ですか。」


「ああ、大丈夫です。審判役です。怪しい者ではありません。」


「……どう見たってそうは見えませんが。」


 俺たちが訝しんでいると、天井の方から声がする。見上げると、


「迷惑かけてすみません。天井が古いのと、その審判役の体重が重かったせいもあるのでしょう。その方は審判役です。ということで、華束舞踏《ブゥケサルターレ》のパーティがボーナスポイントを獲得しました。」


 そう言いながら、トレガーマさんが穴の空いた天井から覗き込んでいたのだった。


「え、じゃあまず私たちのパーティがボーナスポイント獲得したのですか。」


 ヘルバティアがそう言いながら、落下してきた審判役と天井のトレガーマさんを交互に見ながら確認する。


「はい、ボーナスポイント条件を満たしました。ということで、私の存在と落ちてきたことは、見なかったことにしてください。」


 その落下した審判役はそう言いながら俺たちに頭を下げる。


「これがボーナスポイントの証になります。持っていてください。」


 そう言って落下した審判役は『◎◎』と彫られた木札と何か書かれた紙をヘルバティアに渡した。ヘルバティアは木札を受け取り、その紙を黙読する。

 その直後、塔の上の方から鐘のなる音がする。


 カーン、カーン、カーン、カーン


「華束舞踏《ブゥケサルターレ》のパーティがボーナスポイントを獲得したことを知らせる鐘です。これからは、このボーナスポイントを狙ってきますので、用心して他パーティに当たってください。」


 落下した審判役はそう言って、天井から下ろされた縄梯子をフラフラしながら登って姿を消していった。

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