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魔龍皇将士団の紋章  作者: 尾岐多聞
第3章 王家の森に果てし者よ……

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第53話 闘主軍出現す!

 龍氣師ニミルドの薄氷を踏むかのごとき辛勝に終わった死闘──だが異変はその直後に発生した!


 地上からおよそ60ヤーン(約100m)ほど上空の空間が白く発光したかと思うと、直径20ヤーン(約30m)ほどの円盤が音もなく出現し、ゆっくりと降下を開始したのである!


「こッ、これは……闘主軍の宇宙機かッ!?」


 魔少年の叫びにズザ・ビラドも小さく頷きながら宣う。


「実はネウェスがここに到着するとほぼ同時にあやつは空中(そこ)にあった──グローメズを戻したのはそのためでもあったのだが、予想に反して最後まで介入してくることはなかったな……」


「……」


 片やその存在を全く察知できなかった念殺士は、自身の不明に恥じ入りながらもグロッキー状態の龍氣師の身を案じずにはいられない。


「いわば身内のネウェスの苦境を一顧だにすることなくここで姿を現したということにどんな意味があるのでしょう!?

 そしてこのままだとニミルド氏はあまりに危険では!?」


 しかし「まあ、そうなるかな」と応じる魔龍皇の声色は平静そのもので、「とにかく彼奴らの出方を窺うしかあるまい」とあくまで静観の構えである──しかも目下鏡晶珠は龍氣師を画面から外して降りてくる円盤とそれを睨め上げる地に伏した凶霊龍のみを映し出しており、首領の部下に対する冷淡さに今更ながら戦慄を禁じ得ない魔少年であった。


「ふふふ…いい機会であるから、グローメズを宇宙機にぶつけてお手並み拝見といくか。

 ニミルドの安否については奴が自力で対処すべきだな──もし巻き添えを食って息絶えるようであれば、しょせん宿願を果たすまでがあやつの寿命であったのであろう」


 あたかも自身が非情な宣告を受けたかのように悄然とするシェリスであったが、そんな感情はついに実現した魔龍皇と闘主軍の直接対決を目の当たりにした興奮によってたちまち霧散するのであった。


「くっくく…シェリスよ、もとより龍氣師ではないおまえに手本を見せるつもりもないが、凶霊龍の真の力というものだけは瞼に焼き付けておくがいい……!」


 ──ギガクシュアアアアアアッッッ!!!


 首を直立させ、天に向かって咆哮した紫色の巨龍は翼を有せぬにもかかわらず、姉貴分のべジュネオスがそうしたように尻尾で大地を叩いて大跳躍を敢行して白い発光体に襲いかかる!


「“見えざる悪鬼の軍団”よ、“霊法光星最強勢力”星覇獣国首領として大いに歓迎するぞッ!

 まずは挨拶代わりにこれを受け取ってもらおうかッ!」


 あたかも鞭のごとく尾っぽを大きく撓(しな)らせたグローメズが猛スピードで円盤を打ち据えようとするが、ヒットする寸前に消滅されて虚しく空振りに終わる──されど予めそれを計算していた魔龍皇はまるで航跡を読んでいたかのように確信を持って猛焔弾を発射した!


 ──ズガシャァッッ!!!


 毒々しいまでに鮮やかな紫炎の塊がみごとに怪円盤を直撃したことが凄まじい炸裂音によって明らかになったが、神速で接近した凶霊龍による尻尾の猛撃が浴びせられる。


「や、やったッ!あれほど烈しい打撃を食らえば、あの宇宙機のメカニズムが精密であればあるほど致命的な故障を生じているはずッ!!」


 拳を握りしめて叫ぶ最側近に「はたしてそうかな?」と冷ややかに応じた魔龍皇は、

更にグローメズに猛焔弾の連射を行わせるが、円盤の側面から白光弾が発射されて相殺されてしまう。


「ふうむ、とりあえず七割方のパワーで撃ってみたが、彼奴らの勢いがやや勝っているようだな……それとも猛焔弾の破壊力を自動的に読み取って、鏡の反射のごとく調節された攻撃が放たれているのか?

 その点は判然とせんが、ここでハッキリしたのは奴(・)ら(・)が(・)こ(・)こ(・)で(・)余(・)と(・)や(・)り(・)合(・)う(・)つ(・)も(・)り(・)が(・)な(・)い(・)ということだな……。


 そしてもう一つ明らかとなったのは、最(・)小(・)単(・)位(・)の(・)散(・)躰(・)が放射する猛焔弾ではあの宇宙機を撃墜するまでには至らぬということだ……」


 この衝撃的な事実に、さしもの最強念殺士も血相を変えて問いかける。


「──そ、そうなのですか?

 ならばどれだけ散躰が集まればあれを撃ち落とすことが可能であると……!?」


 まるで秘蔵っ子の動揺を愉しむかのように含み笑いながらズザ・ビラドはこのように返す。


「ふふ、別に案ずることはない……2体も揃えば間違いなく一発で破壊することができる。

 ま、とはいえバラバラではどうしてもパワーが分散されるため、必ず合体させて運用する必要はあるがな……」

 

 実際、闘主軍の反撃はここまでで、森の腐食土に散らばったレィ・ネウェスの残骸に覆い被さるように降下すると、円盤底部の中央から直径3ヤーンほどの白い光線を放射して、まるで強力な電磁石が砂鉄を根こそぎ集めるように一欠片も残さず回収してしまうのであった。


 そして、怪円盤が次に取った行動に魔少年は思わず小さな悲鳴を上げた──あろうことかほぼ瞬間移動と見紛うスピードでようやく身を起こしたニミルドの真上5ヤーンほどに移動し、今度は彼を機内に引き込むべく眩い白色光線を浴びせたのである!









 




 

 

 

 











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