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魔龍皇将士団の紋章  作者: 尾岐多聞
第3章 王家の森に果てし者よ……

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第41話 力猿軍団の咆哮③

 聖獣の創造主たる外星人たちの全面協力の下、力猿連合を仕切るベガモ家の威信をかけて育成されたザヴァランの体長はおよそ17ヤーン(約30m)と15ヤーン(24m)のボーアッグよりも一回り大きく、頭部にはフェースガード付きの特殊軽金属製の銀色の鉄兜を被り、胴体を脱着可能な鎧で覆った上に下腕と脛にもそれらと同素材のプロテクターを装着していた。


 一方武装面に目を向けると、まず全長15ヤーン(約24m)の投擲槍(ジャベリン)の黒い柄が右手に握りしめられており、背にはベガモ一族の象徴ともいうべき双斧(家紋にもなっている)をクロスさせた巨大な革帯で斜交いに括り付けている。

 そして鎧の上から巻いた太い革製ベルトに取り付けられた複数のポシェットにも強力な破壊力を秘めた最新の小型兵器が収められているのであった。


 片や生まれたままの姿であるボーアッグが手にしているのはたった1本の赤錆た六角鉄棍のみであり、はたしてこの古典的な武器がついに魔龍皇をも操者として加わった凶霊龍相手にどこまで食い下がれるか心許ない限りであった。

 されど当の“はぐれコンビ”は全く不安を感じていないらしく、むしろ仲間?の重装備を怯懦の証と見なして大いに軽蔑していたのである……。


「けっ、一体何がうれしくてあんなにゴテゴテ着飾ってんだろ〜な?

 そもそも野っ原ならいざ知らず、こんだけ身を隠す場所に恵まれたこの大森林の中で、どーしてわざわざスピードを鈍らせるようなマネをするんだよ?

 そうともッ、何よりこの数万本の樹々こそが力猿(オレ)らにとって何より心強い鎧であり、そして()()()()()()()()

 ま、オヤジ同様虚栄心のカタマリらしいオメエらにゃ分からんだろうが、森での戦いに何よりも必要なのは“大自然と一体化した野性のスピリット”であることをオレたちが教えてやるぜッ!!」


 あたかもターザンよろしく巨樹の大枝に両腕を組んで仁王立ちし、2頭の聖獣を悠然と見下ろすルコリト・ユドンは、ぬくぬくとした要塞内の瞑闘室にてビクビクしながら敵襲を待ち受けているであろう(と決めつけた)お坊ちゃんにも聞こえるであろう大声でこう叫ぶとガハハハハハッ!と豪放磊落に大笑してみせる。


「ふん、時代遅れの老いぼれがイキがりやがって……!

 テメエこそそんな()()()()()()で凶霊龍を相手にできると思ってんのかよッ!?


 それにこの甲冑はそんじょそこらのシロモノじゃねえ……〈秘密研究所〉(闘主軍の担当班が訓練所に送るまで聖獣を育成し、その兵装開発をも担う機関)の先端技術によってスピード&パワーを何倍にも高める仕掛けが施されてあるんだ──ま、戦闘がおっぱじまったらさぞや度肝を抜かれるこったろうが、そもそもオレらは最初(ハナ)からテメエを戦力として数えちゃいねえ……あくまでアテにしてるのは子飼いの大軍団を引き連れて援軍に向かってくれてる親父だけなんだよ──つまりオメエの使い途は敵の威力を図るための実験台にすぎんってワケさ……!」


 血族ならではの水も漏らさぬ連携攻撃を身上とする彼ら三兄弟には通常よりも広めのスペースの瞑闘室が用意されてあり、巨鳥部隊の面々が纏っているよりも鋭角的で凶暴なデザインに仕立てられたお揃いの黒い革製戦闘服に身を包んで中央に陣取る長兄のルーナスの右脇に次兄のリーナスが、左隣に末弟のラーナスが着座していた。


「くくくッ、全くアイツの脳ミソは親父の使いっ走りとしてデビューした10年前から小指の先ほどの進歩もしちゃいないとみえるな……だが時代は凄まじい勢いで変転してるんだ、ある意味シアワセな過去の幻想に浸ってられるのも昨日までだったってことをもうじき自分の命と引き換えに思い知らされることだろうぜ……!」


 これも兄弟の絆の証なのであろうか、三人はヘアスタイルまで仲良くモヒカン刈りであり、カラーも漆黒で統一されていたが、その高さによって長幼の区別をつけていた──つまりルーナスのそれはラーナスよりも優に13エクト(約20cm)も長大であったのであるが皮肉なことに背丈は真逆であって、髪の高さのお陰でようやく二人は()()()になれるのであった……。


 なお不公平なことに兄弟中最強とされるリーナスは風采も体格においても最も秀でており、彼は不憫な?身内を慮ってあえて危険人物である古株(ルコリト)と相対するポジションを選択したのである。


「でもさあ、森に乱入してきた凶霊龍が猛焔弾一発ブチ込んだらあのオッサン一瞬で丸焼きになっちまって、ボーアッグもたちまち無力化されちゃうよねえ……てことは実験台の役目すら果たせないってことになるんだけど……あ〜つまんねーのッ!」


 心の底から残念そうな末弟に、一族の威信を背負う次男坊はその分厚い胸板をドンと叩いて自信満々に請け合った。


「心配すんな、そこはちゃんと考えてある。

 オレとしても親父にあの汚らしい毛むくじゃらがくたばる所を見せてやりてえからな、援軍が到着するまで生かすだけは生かしといてやるさ……尤もここで断言してやってもいいがあのクソ野郎、結局はギャアギャア泣き喚いてこれまでの非礼を詫びつつ必死に命乞いすることになると思うぜ……!」




 

 




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