表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔龍皇将士団の紋章  作者: 尾岐多聞
第3章 王家の森に果てし者よ……

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

39/48

第39話 力猿軍団の咆哮①

 “王家の森の守護神”を自認するベガモ三兄弟は、当地を舞台にした史上初の実戦を前に奮い立っていた。


 聖獣防衛隊は空を守る巨鳥部隊、海の平和に挺身する【甲殻鬼動団】、そして彼らの相棒である巨大な力猿たちが属する、大地を受け持つ【力猿連合】によって構成されているのであるが、以前とは異なり最近の星覇獣国がもっぱら凶霊龍を主戦力にした王国軍施設破壊に注力していることもあり、主役の座を巨鳥部隊に譲って久しい。


 しかし3年余り前までは陸棲生物を素体にした全長6ヤーン(約10m)クラスの凶魔獣が王国蹂躙の主役であり、したがって力猿連合こそが聖獣防衛隊の中核を占める存在であったのだ。

 遡ること10年前に発生した最初の異変──それは聖門王国の主要四都市に、パヅァルアにおける最大の魔境とされる最南部の獣獄地帯(ゲドベイラ)のみで生存確認された危険極まりない猛獣たちが何と()()()()()()()()()()して、更に数十頭単位で出現したことであった!


 この前代未聞の超自然的凶事に王命を受けて出動した王国軍であったが、当時ようやく実用化されて標準配備され始めた鋼鉄戦車の砲弾は怪物どもの予想以上に俊敏な動きに全く対応できずにただの一発すら命中することはなかったのである。


 そして聖門王国の権勢と繁栄の象徴であった各都市は凶獣群の破壊本能の赴くまま無残に破壊され犠牲者はうなぎ登りとなり、現地を回って陣頭指揮に奔走した国王ガドゥア・マナレックが疲労困憊で床に伏したその晩、夢の中に【闘主】が出現したのだ!

 尤も姿形は伴うことなく神々しい金色の光の中に立つ彼の頭上から厳粛さと慈愛が渾然となった〈声〉が聞こえてきたのみであったらしいが、それが伝えるところによれば霊法光星(ルヌラリア)はズザ・ビラドなる“狂える魔導士”によって史上空前の危機的状況を迎えており、この正体不明の怪人物は邪霊渦巻く異次元世界に参入することで世界を滅ぼしかねぬほどの強大な魔力を我が物とし、まずは当王国を手始めに惑星全体の征服を目論んでいるという。

 そして野望達成の切り札として、目下暴れ狂う魔獣どもとは比較にならぬほど危険な

〈生物兵器〉が準備されていると……!


“それであるからして、()()()()()()()()として長年諸君を見守ってきた我々も、この大自然の摂理を踏みにじる暴虐を拱手傍観しているわけにはいかん──とはいえ全面的に成り代わって元凶の排除にあたるというのも宇宙における有機的生命の峻厳な成長過程への過度の干渉となるがゆえに、ある限られた手法を用いて助力することを決意したものである……”


 その意味するところこそ聖獣防衛隊の結成であったわけだが、その構成員となる聖獣師については既に初期メンバーの人選を終了しており、一両日中に遠征先に差し向けると断言したのであった。

 

 かくて覚醒してからも半信半疑であった第十一代国王であったが、午後を少し回った頃に逗留先である地元代官の居館前がにわかにざわつき、揃いの若草色のチュニックに身を包んだ15人の男たちが決然たる表情で王への謁見を求めたのである……。

 いうまでもなく彼らこそが〈聖獣師第一世代〉であり、密かに開発されていた巨大な獣兵と一体化して闘うことが可能な超戦士なのであった──そしてその中に既に三児の父であった最年長(31歳)のキーナス・ベガモと最年少(17歳)の“野生児”ルコリト・ユドンの姿もあったのだ。


 しかし何よりも番兵らを驚愕させたのは集団の背後に控える身長3ヤーン(約5m)、体重150スヌン(およそ600kg)は下らぬであろう巨体の猿獣であった。

 まずその規格外の大きさだけでも絶句させるに十分であったが、見る者に強烈な違和感を与えるのは、通常ならば前肢を着いた四つ足で移動する()が人間たちに歩調を合わせたように仁王立ちしていることだ。

 

 さて、聖獣師を代表してある意味命懸けの交渉にあたったキーナスは持ち前の弁舌と騒ぎを聞きつけたガドゥアの鶴の一声によってただ一人邸内に招じ入れられ国王直々の尋問を受けたのであるが、内容が(ことごと)()()と符合していたこともあってとりあえず彼ら聖獣師の実力を試見してみることとなり、しかもその結果は王国側を驚倒させるに十分であったのである!


 帯同した聖獣がキーナスの相棒であったこともあり、ここでも現時点の第一人者とされる彼が王に技を披露する栄誉を賜ったわけだが、途切れることなく繰り出されるあらゆる指示に機械のごとく正確に即応する巨猿の姿に深い感銘を覚えたガドゥアは直ちに彼らを王国軍の別働隊として迎える決定を下した──しかも心強いことに全員が臨戦態勢にあるということで、国王は即座に一斉出動を命じたのであった!

 

 かくて近隣の野山に待機させていた聖獣=力猿たちはそれぞれのパートナーと主武器である1.5ヤーン(約2.4m)の六角鉄棍を背負って初陣の戦場へ全速力の四つ足走法で駆けつけると、まずはリーダー格のキーナスが予め瞑闘用に見定めておいた町外れの一角に盟友たちを降ろし、更に速度を上げて残りの数百ヤーンを走破した順に我が物顔で狼藉を重ねる狂気の魔導士が放った凶魔獣どもに猛然と襲いかかったのである!



 

 

 







 

 


 



 




 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ