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魔龍皇将士団の紋章  作者: 尾岐多聞
第1章 王国は誰のものか?

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第11話 真紅の魔人と力猿②

「やり取りは全て聞かせてもらった……。

 尤も今回ばかりは空前の緊急事態であるため特例として()()()にも迎撃作戦に加わってもらうが、その後は〈無期限謹慎処分〉を適用させてもらうことになる……!


 やはり、王家の森の守りはあくまでもベガモ三兄弟に任せ、彼奴は敵軍の戦獣師(龍氣師直属の配下で聖獣師と同等の能力を有する)が、悪鬼獣(星覇獣国が王国破壊に派遣する巨大生物兵器に対する王国側の呼称)の素体調達に暗躍するゲドベイラ高原あたりに常駐させておくべきだったな──もし今回の修羅場をみごと潜り抜け、つつがなく謹慎も明けたなら国王様に進言するとするか……。


 それではダゴード隊長、そやつへの指令伝達が済み次第、速やかに要塞内に引き返されたい──三兄弟には私の方から響鳴石を通じて指示しておくゆえ心配はいらぬ……」


「了解しました──では後ほど……むッ!?」


 筆頭聖獣師の顔が消失したのと殆ど同時に視界が翳ったのを感得した真紅の魔人は、その原因をも直ちに察知した。


「ボーアッグ、今頃お目覚めかッ!?

 たしかにナージェム師の仰るとおり、静謐な森の中で失われた野性は死力を尽くさずしては一日たりとも生きられぬ“獣獄地帯(ゲドベイラ)”に身を置いて取り戻すしかないようだなッ!」


 ──フガフォオオオオオオウゥンッッッ!!!


 あたかもかつての()()に異を唱えるかのように大木の幹に匹敵する太さの両腕を振り上げた漆黒の巨猿は、頭上で両手指を絡め合わせて一個の巨大な鉄槌を形作るとそのまま凄まじい勢いで振り下ろす!


 むろん聖門王国随一の格闘家がこの大雑把な攻撃を食らうわけもなかったが、瞬時に3ヤーン(約4.8メートル)も真横に()んで難を逃れたダゴードは「何をするッ、正気かッ!?」と当然の叫びを放つ。


 されど真っ先に聖獣の暴走を阻止すべき聖獣師の姿は見当たらず、それを免罪符としたかのように巨猿は凄まじい咆哮を放って()()を威嚇する──この青天の霹靂を前にして、異形の守護隊長はある疑念に駆られずにはいられなかった。


『まさかルコリトめ、寝返ったのかッ!?

 そうだとしたらいつの間に!?

 尤も奴の人間性を鑑みるにあり得ぬことではなさそうだが……ということは不定期に出没する怪人部隊は私の目を逸らさせるための単なる囮で、同時に森に潜入した工作員がコヤツを買収もしくは洗脳していたのかッ!?


 だがもしそうだとしたら、ソイツは龍氣師クラスの大物ということになる──たとえ堕落しきっているとはいえ相手は王国によって任命された聖獣師、生半(なまなか)な腕の魔導士ふぜいに成せる(わざ)ではないッ!!』


 むろんその間も力猿の暴走は続き、驚くほどの(はや)さで長い左腕を伸ばして獲物を掴み取ろうとするが、寸前に後方へと大きく飛び退ったダゴードは百戦錬磨の勇士ならではの驚くべき動きを見せた──何とそのまま巨木の幹の地上8ヤーン辺りで両足を合わせて膝を屈めると、硬い木肌を発射台として45°上方へと思いきり飛んだのだ!


 ──ホグァアアアアアッッ!!??


 5年前、せいぜい身長2ヤーン・体重70ストラ(280キロ)であった幼少時に当のダゴードによって叩き込まれた身のこなしは未だ健在であり、常に急所を狙う非情な相手の右拳があたかも毒矢のごとく左目に急接近していることを悟った聖獣ボーアッグは素早く左掌を(かざ)したのだが、その中心部にとてつもない痛み──いや()()を覚え、ダゴードの頭部を握り潰すことができなかったのである!


 しかも奇怪なことに、真紅の魔人の拳は漆黒の巨猿の皮膚に密着したまま離れようとせず、あろうことかジュジュジュジュッという燃焼音と共に白煙を吹き上げているではないか!?

 更に本来であれば重力作用によって下方に垂れ下がるはずのダゴードの両足が飛翔体勢を維持していることから、持続時間は定かでないにせよ彼の活動範囲が空中に及んでいることが明らかとなった。


 ──ギギャアオラアアアッッ!!


 たまらず苦痛と怒りに震える咆哮を放ったボーアッグは右手で攻撃者を払いのけようとするが真紅の魔人が甘んじて受けるはずもなく、神速で躰を丸め今度は巨猿の掌を踏み台にしてまたもや宙を舞ったのである。


「──食らえッッ!!!」


 かくて“森の帝王”の巨大にして魁偉な面構えと向き合う形となった国王守護隊長はテラテラと黒光りする奇怪な岩の様な鼻面目がけて右脚を伸ばし、電光石火の飛び蹴りを炸裂させる!


 ──グガシャッッ!!!


 鼻骨が砕けたかのような烈しく鈍い音が響き、黒い力猿はくぐもった悲鳴を上げて両手で顔面を抑えると、何とそのまま仰向けにひっくり返ってしまった!


 小さな地震に等しいズズズ〜ンンッという豪快な地響きを立てて辺り周辺に集う鳥たちを一斉に恐怖させ、翔び立たせてからまたも大地に横たわった怪物は、悲泣しつつ巨体を左右に激しく振って何とか痛みを霧散させようと試みるが、当然望みは叶わない……。


 一方、勝者?の視線はのたうち回る敗者ではなく15ヤーン(約24メートル)ほど前方の巨樹の枝上に向けられており、そこに片膝を着いているのはいうまでもなくルコリトだが、持ち前の髭面が不敵な笑みで歪んでいるのが魔人にはハッキリと認識された。




 


 




 




 















 





 






 


 

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