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長文モノローグにつき、注意。

ディア、正直に言ってください。

私に残された時間は、あとどれほどなのでしょう?

気遣いなら、要りません。覚悟はできている、つもりです。

元々、成人するまで生きていられるかどうか、という体だったそうですから。

両親が八方手を尽くしてもらったおかげで、成長とともに少しずつ丈夫になってきてはいたのですが。どうやら丈夫になった、というのは私の思い込みだったようですね。


……すみません。そのことは話していませんでしたか。

おそらく、ですが、父があんな偽装を思いついた背景には、このこともあったのかと思います。兄たちは皆、十をいくつか過ぎる歳になると修業や勉強のため、家を離れていましたので。そう考えると……最期まで手元に置きたかった、のかもしれませんね。

だとしたら、縁談を進めるのに躊躇わなかったのはどうしてなのか問い質したいですが。


……父の思惑はもはやどうでもいいですね。


冷たい風に曝されるとすぐに音をあげるようなやわな体ですが、血を吐くようなことは今までありませんでした。それが、ここ半年で二回も。

貴女ならば、私の体のどこが悪くなっているか、おわかりですよね。


……そうですか。残り時間まではわかりませんか。

そうですね。ひどいことを口にした、という自覚はあります。

それでも、私は知りたい。

貴女のために、貴女と私の娘のために、それから、貴女と娘が生きるこの地のために、計画していることがたくさんあって、……始めてしまったそれを成し遂げる時間は足りなくても、誰かに引き継げる時間は足りるのか、と。


ええ、自分の命を削ってまで計画に固執するつもりはありません。時間が足りなければ、いくつかの計画は放棄したって構わない。


おかしいですね。考える時間はいっぱいあったのに、実行に移す時間が足りない、なんて。


落ち着いています。落ち着いていますとも。落ち着いているようには見えませんか?


……はあ。

ディア、お願いがあります。

無理な延命は、望みません。痛み止めも、意識がなくならない程度に。


それから、最期の時は。


ディア、貴女が傍に居てください。

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