火
広場に明かりが点されたようですね。夜祭りの開始、ですか。
貴女は行かないんですか?
ああ、貴女の出番は夜半でしたね。
祭が盛り上がったところへ、その恰好で現れて、人目を集めるのですよね。
……すみません。嫌味がましいことを口にしてしまいました。貴女の責任ではありませんのにね。この祭で貴女が祭の乙女になってしまったのも、私が体調を崩してしまって、外から雰囲気だけしか味わえないのも。
……はあ、この祭のことをもっと早くに知っていたら、もう少し麓で時間稼ぎしましたのに。
イエ、ナニモイッテマセンヨ? キノセイデショウ?
……それにしても、腹立たしいくらいに綺麗ですね。
こんな、……煽情的な姿を他の男の前に曝すのかと考えただけで、そいつらの目玉をくり抜いてやりたくなります。
エ? 何か聞こえましたか? 気のせいでは?
……あのぅ、少しだけ、触れても、構いませんか? その衣装を乱れさせるようなことはしませんから。
だって、貴女が着飾ってみせてくれたのは、初めてじゃないでしょうか? 少し堪能させていただきたいのですが。
……あの時は、だって、旅装でしたし、堪能できるような体調じゃ……
……ディア? それは、了承していただいた、と判断してよろしのですか?
それならば、遠慮はしませんよ。
ええ、約束は守りますよ。……できる限り、ね。
大丈夫。その衣装ならば着付けは容易いですし、化粧も……たぶん私の方が巧いですよ?
カルヴェス高地にたどり着いて初めての夏至祭。




