39/42
水
ねぇ、人が人として生きるのに必要なものって、何だと思いますか?
私はね、人、だと思うんです。
その人を人として認めてくれる、他の誰か。
貴女が、『エミーリア』という人形の中から私という芽を見つけてくれたから、私は私になれたのです。
……でもね。
認識はしてくれても、意識されない、というのは、時々ひどく虚しかったのですよ?
せっかく芽吹いた『私』が枯れてしまうかと何度も思いました。
枯れるまで我慢しなくてよかった、と、しみじみ思います。
だって
おかげで今、貴女が私に、溺れるほどの水を注いでくれますから。
駆け落ち生活初期の頃。




