表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
物語のかけらを集めて  作者: 駒野沙月


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/15

姉妹

「お姉ちゃんってもうすぐアラサーだよね?」


 久しぶりに帰省した実家の子供部屋で、漫画を読んでいた妹は不意に口を開いた。

 あちらから話しかけてきたというのに、彼女の視線は未だ手元の漫画に向けられたままで、こちらを見るような雰囲気は微塵たりとも感じられなかった。

 だから私も、スマホに目を向けたまま返すことにした。


「そうだけど、何?」


 年齢。この前誕生日を迎えたばかりなのもあって、ちょうど気にしていたところだった。

 ただでさえお互い口数が少ないというのに、よりによってその話題を選ぶか、妹よ。


 内心気が気でない私を知ってか知らずか、妹は「いやあ、他意はないんだけどね」と前置きしてからゆっくりと口を開いた。


「なんていうかな……あのお姉ちゃんがもうそんな歳になったんだな、って思うとなんとなく感慨深いなあと」

「あんたももう21でしょうが」


 そういうのって、こちらの台詞ではないのだろうか。私は妹の赤ん坊の頃の姿だって知っているというのに。妹が知っている私の幼少期なんてどれだけ幼く見積もっても5歳とかだろう。

 これじゃどっちが上なのか分からないじゃないか。


 怒りたいような呆れたような。

 そんな感覚に陥った私に対して、妹は漫画に目を向けたまま「そりゃあ私も歳とるよねえ」とへらへら笑うばかりだった。


 相変わらず、能天気な笑い声だった。

 けれど、私はその日、妹の横顔に小さかった頃の彼女にはなかったものを見たような気がした。



「歳とったのなんてお互い様でしょ」

「それもそっか」



 あの頃に比べれば、お互い歳をとったものである。

 私も、妹も。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ