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二十七話 前哨戦

翌日俺たちは王都の北門に集まっていた。


「騎士団が整列すると壮観だな」

俺は俺たちの前に並ぶ騎士団員たちを見て一人呟いた。


「アースドラゴンを討伐するんだしこのくらい当然じゃない大体九百人居るみたいだし」

メリアは周りを見渡しながら俺の言葉に反応した。


「うん、中々の戦力」

スカハもメリアに同意するように言った。


「それはそうとスカハ、ローブは被らないのか?」

昨日ギルドで髪飾りを渡したのだがスカハはそれからローブを頭に被っていないのだ。つまりスカハの角が中々に目立っている、周りからも視線を感じる。この国には人族しか居ないから物珍しいのだろう。


「うん、視界を遮る可能性があるし何よりこれを周りに見せたい」

スカハはそんな周りを気にした様子も無く俺が付けた髪飾りに触れながら言った。


「そこまで喜んでくれると俺としても嬉しいな」

俺は純粋に嬉しくなった。


「それではこれからアースドラゴン討伐作戦を開始する!私は王国騎士団統括 ヘンリー・ルン・ガルサスだ!」

唐突に声が周囲に響いた。


「風魔法で声を広げてるのよ」

メリアが小声で教えてくれた。


「この作戦は王国の威信をかけた戦いだと覚悟せよ、冒険者諸君には協力感謝する」

冒険者は基本的には自由だからな俺も直接依頼されなかったら受けなかったと思うしな。


「アースドラゴンがいるシュプナの森にはジュニアドラゴンが多数居ると思われる、騎士たちは中隊ごとに陣形を組み魔法師を守りながら迎撃し冒険者は各自で迎撃してくれ、それでは出発だ!」


俺たちは史上初の超級危険種討伐に乗り出すのだった。


俺たちは王都を出発し騎士団と他の冒険者たちと別れシュプナの森に入った。

理由は単純で三人で動いた方が早く動けるからだ。


「確かに魔力濃度がイビルトレントの時よりも濃いわね」

森に入った瞬間メリアが呟いた。


「やはりか」

俺もメリア程感じるのは無理だが自然魔力が多いのは何となく分かる。


「しかももうバレてるわね、"光よ集い・敵を穿て・光線(レイ)”」

メリアは短く詠唱して茂みの中に魔法を撃った。

「うん居る、螺旋槍」

スカハも槍を反対の茂みに向かって投擲した。


「魔刀技 雷閃」

アレスは月夜に闘気と雷の魔力を纏わせて抜刀し雷の斬撃を茂みの中に飛ばした。


「「「グギャ!?」」」

三方向から同時にうめき声が聞こえ茂みから三体のジュニアドラゴンが出てきて倒れた。


「コイツら街道で見た奴より小さいな」

俺は雷閃で首を落としたジュニアドラゴンを見て呟いた。


「多分まだ生まれたばかりなんだと思うわ」

「ドラゴンは魔力を食べて成長する」

スカハは投擲した槍を回収しながら言った。


「なるほどな、でも生まれたばかりってわけじゃ無さそうだな」

「ええ、まだたくさん居ると思うわ、ここが魔力は濃くて分かりにくいけど騎士団も順調に進んでるみたいだし私達も進みましょう」

(相変わらず広い探知距離だな)

シュプナの森も中々に広いのに騎士団を捉えらるなんてやはりメリアの魔力探知技術はずば抜けている。


「ガァァァァ!」

「魔刀技 蒼雷斬!」

茂みから出てきたジュニアドラゴンを斬り捨てた。


「本当に多いわね」

メリアが面倒くさそうに言った。


「うん、どんどん来る」

スカハの言った通り多数の気配が近付いてきた。


「グギャァ!」「ガァァ!」

(ジュニアドラゴン以外の魔物も居るし数が多いな!)

視界には二十を超える魔物が映った。


「"蒼雷よ・迸れ”!」

アレスの眼から蒼雷が迸り魔物たちが怯んだ。


「飛光剣!」「幻槍流 刺烈驟雨!」

すかさず後ろからメリアとスカハが飛び出しメリアは数本の飛光剣で貫きスカハは二本の槍の刺突を雨のように降らせて魔物を倒した。


たがまだ魔物の気配はたくさん感じる。

「キリがない、な!」

俺は月夜と龍星(オロチ)で迫り来る魔物を斬り捨てたながら言った。


「多分だけど本能的にアースドラゴンが私達が強いことを分かってるんだと思うわ!」

メリアが踊るように動き銀光剣と飛光剣で魔物たちを斬り伏せながら言った。


「流石は超級危険種ってところだな、けどこのままだとジリ貧だぞ!」

俺は蒼雷を迸らせ二本の刀に闘気と風の魔力を纏った。


「魔刀技 嵐閃!」

風の斬撃が複数飛び魔物たちを斬り裂いた。


「私が魔法を使うわ!、二人共時間を稼いで!」

メリアが飛光剣を消して一歩下がって言った。


「分かった!」「任せて」

俺とスカハは同時に返事をして魔物たちを視界に捉えた。

(《蒼の雷眼》は魔力消費が大きいな、闘気だけでいくか)

俺は二本の刀を鞘に収め抜刀姿勢をとった。


「"氷よ・我が身を覆え・氷鎧(ブルーレガス)”」

スカハはローブを脱ぎ捨て詠唱して氷を全身に纏い鎧を作り槍も部分的に氷結した。

昨日の模擬戦でスカハが使った魔法だ。

「一閃!」

俺は二本の刀を水平に抜刀し横に斬撃を飛ばし魔物たちを斬り裂いた。


「ニノ槍 水穿!」

スカハの二本の槍の先が伸びるように魔物たちを穿いた。

さらに穿いたところから魔物たちは凍り始めた。

スカハの魔法が恐ろしいのは魔法で作った氷が触れたところも凍るということだ。模擬戦でアレスは蒼雷でそれを防いでいた。


アレスたちが足止めしている間メリアは銀光剣を構え集中していた。

(銀光剣の魔力と私の魔力二つを合わせる、前みたいに地形を破壊しないように…)

「"我が光は銀の光なり・我が翼に集え・敵を滅さんが為に…”」

メリアの背中に光翼と銀翼の二対の翼が現れそれに沿うように銀色の光球が四つ現れた。


「"薙ぎ払え・白銀天穹(ブラチナ・レイ)”!!」

銀光球が煌めき前方に銀の光を放った。


瞬間視界が白に染まった。


「やっぱりメリアの魔法は規格外だよな」

メリアの膨大な魔力を感じて後ろに下がった俺は呆れるように呟いた。


「うん、森を貫いた」

スカハの言う通り魔物は先の方の森までいただろうが全て木々ごとメリアの魔法に薙ぎ払われた。


おかげで空が良く見える。


『グガアアアアアアアアアア!!!!』

瞬間森を震わせるような雄叫びが響いた。


森を貫いたおかげで山のような巨体が動くのが見えた。

「おい、メリア、今のでアースドラゴンを逆に刺激したみたいだぞ」

「や、やり過ぎたかな」

メリアは若干の焦り顔で言った。


「どのみち私達が近づけば気付かれる、この機会を利用して一気に進む」

「そうだな、メリア、スカハを運んでくれるか?」

「は、運ぶって持ち上げるってこと?」

メリアは若干の疑問を浮かべて言った。


「ああ、スカハ、あの魔法は魔力を多く消費するんだろ?」

遠回しにこれ以上魔力を消費するなと言っているのだ。俺たちこれから戦うのは魔物の頂点、超級危険種なのだから。

「よく分かった、その通り」

スカハは纏っていた氷を解きながら言った。


「なるほどね、分かったわ、掴まってスカハ」

「うん」

メリアは片手を差し出しスカハは槍を背中に戻しその手を掴んだ。


メリアは四枚の翼をはためかせ飛び上がった。

「あら、意外と軽いのね?」

「私は軽くない、メリアの翼が凄いだけ」

スカハは憮然としながら言った。


そのままアースドラゴンに向かって飛んで行った。


「さてとメリアのおかげで一本道が出来たからな、魔物が来る前にこのまま突き進むか」

俺は魔力を使わず闘気の身体強化のみで走り出した。


(ここからでも分かる膨大な魔力、超級危険種は伊達じゃないか、あそこまでデカいと首を落とすのは難しいか?)

俺は走りながら視線を動く巨大な()に向けた。


(そもそもの話俺の剣がアイツの鱗を斬れるかどうかだな)

そんなこと考えているとアースドラゴンを包むように巨大な炎柱が立ち上った。


(王国魔法師の複合魔法か、あまり効いてるように見えなけどな)

俺はビクともしないアースドラゴンを見てそんなことを思った。

(難しいことを考えても仕方ない、俺は全力でアイツを斬るだけだ)

俺は覚悟を決め魔法が飛び交い始めたアースドラゴンが居る場所に向かって加速して進んだ。

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