てへ、やっちゃったYO!!
第十一話になります。
遅くなりましたが、何とか今日中に間に合いました。
今回から勇者様御一行が話に復帰いたします。
では皆さま、お楽しみくださいませ♪
「あははは♪あんたら大犯罪者じゃないの!特にコスプレ軍人!!」
さも楽しげに大いにはしゃぐ女の子を尻目に、熊襲の落ち込み様ったらない。
そして俺は訳が分からないでいたのは、いつものことだ。
「めのこよ、だいじなきや、きはたしかなりや?」(女の子よ、大丈夫か、気は確かか?)
「だから、なりってのやめてよ。笑っちゃうだろ♪」
ケラケラと腹を抱え、だんぼーる床を転がりまくって大笑いしている女の子の様子を窺うが、当の女の子はこちらを指差して笑うだけで取り止めもない。
というか人を指し指するの止めなさい。
「お侍さん、ドしよ。わチらギャングだお?アルカポネだお?一生刑務所だお~!」
翻って、泣きそうな顔をした熊襲が、俺におかしな言葉で言い募って来て誠に鬱陶しい。
「なそ、こやつらいかにや?」(なんだ、こやつらどうしたのだ?)
思わず俺は、こう云わざるを得なかったのだ。
『…今日の夕方六時半ごろ、東京都弥栄市弥栄警察署内の留置所を脱走し、警察官を殺害した国籍不明の男とガーナ人の男二人は、現場に居合わせた少女一人を誘拐したまま依然として行方が掴めていません。警視庁は都内全域に捜査範囲を広げ……』
熊襲が教えてくれた、中身が動く摩訶不思議な〖ぱそくぉん〗なる器具から発せられる声と女の姿に驚愕した俺は、すぐさま〖ぱそくぉん〗から飛びのき、身の安全が確保できる距離感をとろうと試みた。
ゴリ
「いってェ!!」
飛びのくまでは良かったものの、後方の確認を怠っていた俺は、右足で女の子の顔を踏んずけてしまったようで、気絶した女の子の痛覚をいっぺんに刺激したらしく、バカッと飛び起きた女の子は俺の後頭部をバシンッ!
「あてっ!」
「お前、ふざけんな!」
女の子から大層なお怒りを受けてしまった。
「おおう、かしこし」(おおう、すまない)
「かしこしにあらず!」(すまないじゃない!)
もう一回俺を叩こうとした女の子の右拳を華麗に避けた俺は、すかさず背後に回り込み女の子を抱えて件の〖ぱそくぉん〗とやらの前にペタンと座らせる。
「めのこ、こうつはものはなんそ?こころへありや?」(女の子よ、この器具はなんだ?知っておるか?)
「ううん?」
そして、前半の女の子の大笑いに戻るのである。
どうやらこの〖ぱそくぉん〗なる器具は、いかづち(雷)の御力を借り受けて威力を発揮する神器の一種らしく、同じ様なモノに件の天井から吊るされた、あの昼間のように部屋を明るくする器具も、この国では一般的な神器のお仲間だそうな。
誠に以て、恐ろしき国に来たもんだ。
いかづちの御力を容易く用いる国の存在など、俺は今まで聞いたことも無い。
運よく命ながらへ国に帰りしときは、謹んで大王に進言し、この国と出会っても決して軍に及ばぬ様申し上げねばなるまい。
もう、絶対負けるから、鎧袖一触どころじゃすまなそうだから。
ん?そういえば何故に女の子には、俺の言葉がつたないとはいえ判るのだろうか。
もしや、よもや、いや、まさか。既に我が国とこの国は繋がりがあるのか?
であれば、なんか色々と終わったかもしれん。
すっかり消沈した俺は少しばかり項垂れてしまったが、だが矢張り女の子に是非聞いて置かねばならぬ事がある。
「めのこ。あ、なそなりなりか」(女の子よ、あなた、何の仕事をしておるのか)
「ああん?また懲りずに、なりなり言いやがってめんどくせーコスプレ野郎だな。あっと、
結局なんだって?」
「あ、なり、なりか」
女の子が尋ねてきたように感じられたので、俺は殊更ゆっくりとしゃべってみることにした。
「ああ、生業、職業のことか。あたしは高校生になったばかりだから、えっと、わ、がくしゃう(学生)なり、母さんは会社勤務だから、あっと、母は商い人に仕えたり。かな。で、それがどうしたの重犯罪者」
なるほど合点がいった。此の者が俺の言葉を理解する理由がな。
当人は学生だという、恐らくは語学に関する知識を高めておるのだろう。また母者人は商いする者に仕える者のようだ。なれば我が国との交易にも携わっておるのやもしれず、であるならば多少なりとも俺の言葉が通じるのも道理だ。
それにしても、度々この者が口にする(じゅふはんざいしゃ)とは、一体何を意味しておるのだろう?
「めのこよ、あ、たびたびいふ、じゅふはんじゃいしゃなるは、なんそ?」
(女の子よ、あなたが度々言って居る重犯罪者とは、なんだ?)
「今度はその話かよ。えっと、おもきとがをおこないし、ぼんにんにさふらふ」(重き罪を行った、犯人のことだよ)
「ふむ、つぁか、くまそのことなり」(ふむ、そうか、熊襲のことだな)
「は?あなり」(は?あんたのことだよ)
「え?げにげに?」(え?マジでマジで?)
「げに」(マジ)
「なそ?」(なんで?)
「おもたるは、あ、さらいしにより」(主に、あたしを誘拐したからかな)
「」
女の子が言うには、〖ぱそくぉん〗の中の年増も、役人の殺害と牢屋からの脱走と、そのように俺のことをこの国中の王族や民草に報じておるらしい……。
すいません我が大王よ。俺、何かやっちゃいました。




