↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世紀末魔法球少女まつお  作者: むらもと ぎん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/26

第13章 埋葬の申請

挿絵(By みてみん)


 上層宿舎の選手証を見せると、以前は会えなかった係員に会えた。


 リリの名前を出すと、記録が調べられた。


 それだけで進んだ気がした。


 書類は、確かに存在していた。


 死亡日。対戦記録。競技中の事故としての処理。所持品の返還済み欄。


 シオンは、一番下の行を指した。


「搬送先」


 係員が書類を少し引いた。


「そちらは内部管理用です」


「場所だけでも」


「慰霊所は、東の広場にございます」


「慰霊所じゃなくて、本人は」


 係員は黙った。


 シオンはもう怒鳴らなかった。


 怒鳴っても、その人が知らないことは出てこない。


「調べるには、誰の許可が要るんですか」


 係員は長く迷ってから、別の紙へ部署名を書いた。


 それは地下設備を管理する部署だった。


     *


 行くな、と監督は言わなかった。


「試合の前には戻れ」


 そう言ったあとで、剣白を見た。


 剣白は立ち上がった。


 メイも立ち上がった。


「あなたは休んでていいよ」


 シオンが言うと、メイは眉を寄せた。


「道、分かるんですか」


「聞きながら行く」


「絶対に帰りが遅くなるやつじゃないですか」


 シオンは断る言葉を探し、見つからなかった。


 地下設備の窓口では、競技場の搬送記録がなければ照会できないと言われた。


 競技場へ戻ると、記録は設備側へ送ったと言われた。


 三人は半日歩いた。


 食事を忘れ、メイが怒った。


 剣白がパンを買ってきた。


 シオンは歩きながら食べ、喉に詰まらせた。


「埋葬したいだけなのに」


 水を飲んでから、言った。


「ただ故郷の家族のもとで眠らせてあげたいだけなのに」


 メイは紙片を見比べていた。


「ここ。搬送門の番号が同じです」


 競技場で最後に見た担架の行き先と、設備部署の印。


 紙の上では別々だったものが、一つの通路でつながっていた。


 夕刻、選手用の診療棟から地下へ向かう搬送路に、三人はいた。


 門には施錠されていた。


 シオンは呼び鈴を押した。


 返事はなかった。


 中から荷車が来る音がした。


 扉が開いた。担当者が外側の確認台へ出て、書類を机へ置いた。その背後に、下りの通路が見えた。


 荷車に積まれていたのは、白い布を掛けた細長いものだった。


 シオンは動いた。


 剣白が止めるより早かった。


「待って。名前だけ、確認させて」


 担当者が振り向いた。


 その先で警告の鐘が鳴った。


 シオンは、その音が自分たちのために鳴っていることを、少し遅れて理解した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。