2-3:ウロ
「日が完全に暮れる前に、今夜の宿を決めておきたいな」
「こんなイノシシが出ますもんね」
焚き火を片付け、解体したイノシシは真壁がホエールで収納し、二人はマップを眺めた。
「ここに、ちょっと一本大きな木がありますね」
「そこにウロでもありゃいいが……」
「僕が守さんを抱いて飛べないかな?」
「俺から射出するのに、どうやって抱いて飛ぶんだよ?」
「飛んでから、ラインを下ろすのどうでしょう?」
「やだ。綱一本で音速とか、ぜってー無理」
「じゃあ、ラインを僕が持って、守さんはキャノピー側に乗るのは?」
「怖すぎんだろ、それっ!」
「スキル:ブラックホークとかあればいいのに……」
「ヘリでもヤダ」
軽口を叩きながら進むと、足取りも軽い。
目的の木は、傍まで行くとかなり大きかった。
「すげぇな。縄文杉よりデカくね?」
「ウロもありますね。……あ、中広い!」
「莫迦! 中に変なものがいないかどうか、確かめてから覗け!」
「なんにもいません。……でも、そうですね。次から気をつけます」
ウロの中は広く、床がふかふかしていて、なまじなテントより快適だ。
「入口にパラシュート下げて。外敵の侵入を防ぐ……」
「え〜、床に敷いて寝たほうが良くないですか?」
「なら、半分に裂くか……」
「じゃあ、端っこ切りますね」
「おいおい、木っ端微塵とかにするなよ」
「任せてください!」
ピリッと端が裂ける。
二人は、その裂け目を掴んで、左右に引っ張った。
パラシュートが見事に二つに裂ける。
「ラインで入口に固定して……」
「僕、寝床作りま……」
ふらあ……となった真壁が、そのままパラシュートの生地を持ったまま床に倒れ込む。
190センチの大男が倒れたはずなのに、聞こえた音は〝ぽてっ〟だった。
※
UH-60:汎用ヘリコプター、愛称はブラックホーク。




