1-4:ウィンドウ
「……なんかちょっとデッカくなってない?」
「そういえば、視点が上がったような? でもいつもより低いから、よくわかんないですね」
「なんもワカランな……。……それよか百合緒、飛んだなら上から見たんだろ? 地形はどうなって……」
問いかけている途中で、若桐の脳内に上空から見た一帯の様子が浮かび上がった。
「うおっ!」
「どうしました?」
「いや……、なんだこれ」
手を前に出すと、それがそのまま画面のように映し出される。
「わあ、すごいですね! 僕が偵察したのが、そのまま映像で出てるみたい!」
「どっちかっちゅーと、ネットのマップみたいな感じかも……」
指で突いて動かすと、そちらに画面が動く。
ピンチインにも対応する。
「こっから先はぼやっとしてるな」
「僕が飛んでない空域なんじゃないですか?」
「なるほど……」
色々なことが起こりすぎて、頭がパンクしそうになったが──
「とりあえず、静浜じゃなさそうだな」
地形が、若桐の知るそれとは明らかに違う。
「ですね」
「あ、おまえがイーグルみたく飛んでる時の装備は?」
「たぶん、イメージなんだと思います。降りてくる途中で、ふわっと? 姿勢が元に戻った感じなんです」
「魔法みたいだな」
「魔法なんじゃないですか? ラノベではそうでした」
腕組みをして、若桐は空を仰ぐ。
見慣れない紫色の空。
だが、それとは別に若桐ははたと気付いた。
「日が暮れる前に、寝る場所を確保しなけりゃ……」
「そういえば僕、お腹空きました」
「あ、その問題もあるなぁ」
ふと視線を巡らせると、真壁が先程蹴飛ばしたイノシシが目に入る。
イノシシの上に、見たこともない〝枠〟があった。
〝ワイルド・ボア。食用可〟
「はっ?」
「どうしました?」
「なんか、食用可って出た」
「出たって、なにが、どこに?」
「あのイノシシを見たら、先刻の地図の画面がちっちゃくなったみたいのが出て、食用可って……」
「食べられるんですか?」
「まあ、そのまま食ったら旨くねぇだろうがな」
「そうなんですか?」
「ジビエってのは、下処理をちゃんとしないと、クセが強くて食えたもんじゃないってのが鉄板だ」
若桐は先程の地図の画面を出すと、ピンチインで自分たちのいる場所を拡大した。




