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空に墜ちる -帰投は迷い家のあとで-  作者: 琉斗六


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5-1:レーダー

 マップで調べたルートを辿り、二人は森を進んだ。


「道なき道かと思ったが、意外に獣道って感じだな……」

「アムラームを一発打ち込んだ方が、簡単だったんじゃないですか?」

「森林破壊すな」


 若桐は、真壁を肩車している。

 最初は単に前方を若桐が警戒しつつ、草をかき分け、歩いていた。

 が、裾と袖をたくし上げていて、しかも子供の歩幅で歩く真壁が遅れたからだ。


「守さん、疲れてません?」

「だっておまえ、それほど重くないぞ?」

「そりゃ、いつもの僕に比べたらそうでしょうけど……。でも二十キロ以上はあるでしょ?」

「そうなんだけど……」


 若桐は、言葉を濁した。

 正直、説明が付けられなかったのだ。

 真壁が飛びついてくると、ぽすんっと軽い感触しかしない。

 抱き上げたときも、魔力消費に応じて体重も増えている感じはする。

 だが、こうして肩に担ぎ上げてからこちら、重さはほとんど感じられなかった。


「スキルの影響……なんかね? なんだろ? 管制塔の上に、レーダーが乗ってるのは当たり前……的な?」

「でも、僕のスキルにレーダーなんてありませんでしたよ?」

「イーグルで飛んでる時、偵察してるじゃん」

「それって結局、守さんもわかんないんじゃないです?」

「いや、ここに来てからこっち、わかってることなんて一つもないし」


 真壁は、気配を感じて振り返った。


「四時の方向になんかいます」

「おまえ……、索敵した時にはバルカン砲ぶっぱしてるじゃん」

「あれ?」


 真壁が指さした時には、指先から〝ナニカ〟が出ていた。

 木々が吹き飛び、向こうで何かが倒れている。


「イノシシか?」

「いや、クマですね」

「やっちゃったんじゃ仕方ないから、収容しようか」


 溜息をつきつき、若桐は道を逸れてクマの元へと向かう。


「クマって食べられるんですか?」

「ジビエはだいたいなんでも食うよ」

「イノシシは、ブタっぽかったですけど。クマはなんでしょう?」

「うーん、クマはクマ味なんだが……。……そうだな、強いて言えば牛に近いかな」

「守さんが、前にホテルのルームサービスで食べさせてくれたステーキ、美味しかったです」

「塩もステーキソースもないから、あんなに美味くはないだろうな」

「……やっぱり海から水汲んできて、塩作った方が良くないですか?」

「まぁ、飯ってのはモチベに響くから、落ち着いたら真面目に考えなきゃならん話……ではあるが……」


 クマを真壁が収納して、二人は再び歩き出す。


「あと、おまえ、気軽にバルカン砲ぶっぱするなよ?」

「撃つ気はなかったんですけど。敵認定すると、撃っちゃうのかな?」

「最初のキックぐらいで止めとけ」

「あれは、飛んでないと駄目なんじゃないです? シミュレーターのキル認定っぽいけど、結局は物理で蹴ったわけですし」

「だからって、クマに向かって百合緒を投げるわけにもいかんだろ?」

「でも、でも、あんなクマとかイノシシ相手の場合、普通のライフル銃とかだと、一発で仕留めるとか出来ないわけですし!」

「分かってる。俺は丸腰だし、百合緒が安全最優先なのもな。……だが、今のとこ文明の気配は見えないが、人間がいないと決まった(わけ)じゃない。銃口を生き物に向けてる自覚は持て」

「わかりました……」


 若桐の頭に乗っている小さい手が、しょぼんと握られた感触がする。


「おいおい。凹むのはいいが、索敵は忘れるなよ?」

「あ、はい」


 前を向き、若桐は目的地に向かって歩みを進めた。

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