表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
空に墜ちる -帰投は迷い家のあとで-  作者: 琉斗六


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

15/17

4-3:乗り物酔い

 昼食を済ませたあと、若桐は「半径五キロの偵察」をしてくるように、真壁に言った。

 真壁の言う通り、高さも速度もF-15ならば墜落必至のそれでも、全く不安なく飛び回る。


「イーグルなんて名前、付けてるほうが変じゃね?」

「それは僕のせいじゃないですよぅ」

「百合緒に言ってねぇよ」


 視界共有の画面を眺めながら、若桐は言った。


「百合緒、八時の方向に戻ってくれ」

「なにかありました?」

「ちょっと、植生が気になるところがある。……俺が地図をタップすると、百合緒に位置情報って伝わるのか?」

「あ、なんかピンが立ちました」

「近付いてくれ……」


 言われた場所で、真壁が滞空する。


(てかホバリングしてるし……。そんでもって音速で飛ぶとか、エアウルフかよ……)


 若桐が目を凝らすと、そこに〝鉱泉:27度〟のウィンドウが現れた。


「よし。俺の地図にもピンを立てた。そこに行けそうなルートを考えよう」

「僕が降りて、そっちに向かいます?」

「いや、分断されるのは怖い。戻ってこい」

「じゃあ、ちょっと高度上げて、広めに詳細なマップ収集します」

「そうしてくれ」


 真壁から届く上空からの映像は、若桐の目には地形の高低差まで視えてくる。


「便利っちゃ便利だが……。気持ち悪い……」

「えっ、守さん、イノシシにあたりました?」

「いや、むしろこれは、乗り物酔いに近いかも……」

「飛行機乗りが、なに言ってんですか?」

「だって……、なんかサスペンションのないバスに乗ってるみたいな気分……?」

「3D映画に酔ってる……みたいな?」

「あ、そうかも……」

「……守さん。僕が戻ってから、地図でじっくり見たほうがいいんじゃないですか?」

「あ、そうか。リアルタイムで見る必要ないな……」

「そうしてください。真壁アウト」


 あまりにも基本中の基本を真壁に指摘されて、若桐は少し凹んだ。

 しばらくすると、真壁が戻ってくる。

 サイズがほぼ、正常値になっていた。


「大丈夫か?」

「ちょっとふらふらします」


 若桐は真壁を抱き寄せ、チュッと唇を触れ合わせる。


「ちょっと元気出ました」

「ホント、おまえはおねだり上手だよ」


 焚き火の傍に並んで座り、若桐は真壁を労るようにキスを重ねた。


「すごいなぁ! 地図見ただけでルートわかるとか、カーナビみたいですね!」

「あ〜、まぁ、確かに……」

「一キロぐらいですね、温泉」

「だな。今日はそろそろ日が暮れる。温泉へは、明日行こう」

「でも、ミネラル補給だけじゃ、お肉が美味しくなりそうもないですね」

「や、下手すっと硬水で激まずの可能性もあるぞ」

「そういうハズレは引きたくないですね」


 若桐は、ウィンドウを閉じると、真壁の体を本格的にぐいと抱き寄せる。


「チャージタイムといきたいから、ウロん中に入ろうか?」

「え、誰も居ないんだから、ここで良くないです?」

「可愛い顔して、大胆なこと言うなぁ……」

「また僕がうとうとしてる間に、水汲みに行っちゃいやですよ」

「はいはい」


 髪を撫で、若桐は改めて真壁に深く口付けた。



ホバリング:空中で高度や位置を保って飛行を続けること。

エアウルフ:80年代に放送されていた米国ドラマ。ヘリなのに音速で飛ぶ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ