3-3:ホエール
真壁がホエールに入れていたイノシシの肉を取り出し、朝食にする。
「肉がちょっと柔らかくなった?」
「やっぱり、そう思います?」
若桐が肉をジッと見た。
〝ワイルド・ボアの肉。やや熟成進行〟
ふうっと、溜息を吐く。
「なあ、百合緒。ホエールから物を取り出す時って、どんな感じ?」
「コンテナの荷物リストをタブレットで管理してる……みたいな? でも守さんが僕のステータス見せてくれたみたいに、リストを守さんに見せることは出来ないっぽいです」
「肉に〝熟成進行〟って出たからさ。ただ、パラシュートは冷え冷えでは出てこなかったろ?」
「なるほど。……完全にコンテナと同じで、保存する物によって冷蔵か常温か分けられてる……みたいな?」
「熟成するってことは、あんまり長く放っておくと腐るちゅーことだよな」
「あ、そうですね」
「どーもこの……、スキルってのがどういう能力なのか、よくわからんが……」
若桐は何気なく真壁の顔を見つめ、表示されたステータスの画面を更に見た。
〝ブルーインパルス:真壁百合緒のスキル。スモークで描画が可能〟
「ますます、意味がワカラン……」
「あ、でも冷蔵庫に入れてるみたいな感覚で、消費期限内に食べればいいんじゃないですか?」
「あのな。食品会社が売ってるものじゃないから、消費期限はわからんぞ?」
「あ、そうか」
「とにかく……。帰還が絶対の大目標だが、それを達成するための小目標を決めよう」
「というと?」
「まず、塩の確保。これは絶対だ。川の水は〝飲料可能〟ってあったからな。食えるものと食えないものの区別は付くしな」
「塩ないと、美味しくないですもんね」
「そこじゃないんだが……。うん、まぁ、いいよ。あとは、人里を探そう。帰るにしても、方法を模索するには、情報が必要だからな」
「じゃあ、僕がイーグルで斥候をしますね」
「このウロを拠点に、周辺を精査。俺が単独の時に、獣に遭遇した時の安全確保の方法も考えないとな」
「あ、そうですね」
「あと、おまえはガス欠になるといきなりブッ倒れるみたいだから。イーグルで飛んでる時の燃費を考えなきゃだな」
「はい」
二人はそこで、細かい決め事を話し合った。
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ブルーインパルス:航空自衛隊所属のアクロバット飛行チーム。正式には第4航空団飛行群第11飛行隊。




