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空に墜ちる -帰投は迷い家のあとで-  作者: 琉斗六


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11/17

3-2:水

 ウロの外には、石と大きな葉を組み合わせた、水桶が出来ていた。

 洗面器1杯分程度の水だ。


「これ……、守さん、一人で?」

「だっておまえ、寝てたじゃん」


 真壁は思わず、若桐に駆け寄った。

 今までは、190センチ85キロの真壁が、全力で〝真壁ミサイル〟になって飛びつくと、毎回、若桐はフッ飛ばさそうになって受け止めてくれたが。

 130センチに満たない真壁の飛びつきは、軽々と受け止められる。


「なんだよ?」

「だって……、僕が水を運ぶほうが簡単だし! 守さん一人で、夜の森の中を行くのなんて危ないし! それに、それに……」

「いや、そんな遠くまで行ってないし。俺だって、命は惜しいし」


 月に一度の逢瀬は、いつだってホテルで待ち合わせるだけのもので。

 デートですらない。

 だがそれが、いつだって若桐が真壁のことを慮った結果だということも、知っている。


 街なかでデートが出来ないのは、真壁の出世に差し障りがあるから。

 寝落ちするまで抱擁した真壁を起こさず、綺麗に整えてくれるのは、しっかり眠らせるためだから。


「一人で行っちゃいやです! あの時だって、守さん、僕だけ脱出しろって言って……」

「当たり前だろ。機体を市街に落とすわけにいかんし。だからって、訓練生を巻き込むわけにもいかんし……」

「それでも……」


 言い張る真壁に、若桐は困ったような笑みを向ける。

 そして真壁の頭にぽんっと手を置いた。


「とりあえず、帰る方法探そうな」

「……はい……」


 返事の元気がない様子から、真壁は今ひとつ納得していないようだった。

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