3-1:二日目
朝、真壁はパラシュートのカーテンの向こう側が明るくなったことで、目を覚ました。
若桐の腕が、小さな自分の体を抱いている。
その匂いと体温に、このうえもない安堵を覚えた。
「なんだ……? あたたたたた……」
「どうしました?」
「あ〜、いや、えっと……?」
キョロキョロと周囲を眺めて、若桐は改めて状況を把握し直したような顔になった。
「そういや、なんかおかしいところにいるんだったか……」
「どこか痛いんですか?」
「いや〜。この年になると、ベッド以外のトコで寝ると、節々がなぁ……」
「まだ40前なのに……」
「おまえみたいな、ぴっちぴちの20代とは違うんだよ」
よっこらしょ……と言いながら立ち上がった若桐は、うんっと体を伸ばしてから、未だパラシュートの布に包まれたままの真壁を見下ろしてきた。
「また、ちっこくなったな。……シンデレラみたく、時間で……じゃなくて。おまえの魔力残量ちゅーので、大きさ変わるのかもな」
「なぜ、そう思うんです?」
「昨日、おまえがなんか技を使うたびに、ちょっとずつ大きくなってた気がしたんだよ。あれ、たぶん気の所為じゃないんだと思う。昨晩、おまえが倒れた時、警告アラートが出たし」
「でも、久しぶりに守さんとゆっくり夜を過ごせて、楽しかったです」
「莫迦……」
熱い抱擁を交わせる機会は、付き合いを秘密にしている二人には貴重な時間だ。
早い頻度で月に一度。
休みが合わなければ、間がどんどん長くなるのが常だった。
「体、守さんが綺麗にしてくれたんですか?」
「いつもと違って、ちっこくなってたから、拭くのは楽だったぞ」
額にキスを落とされて、真壁はくすぐったげに顔をしかめる。
若桐はカーテンを開いて、外に出ていった。




