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51 核心

アユとヌルールは、リョウを送り出した場所から動かず、話をしながら帰りを待っていた。


リョウはそんな二人の姿を見て、五分ほどの短い時間ではあるものの、待たせてしまったことに申し訳なさを感じ、小走りで駆け寄る。


「ボール、持ってきました」


リョウの姿を確認すると、ヌルールは手招きしながら少し離れた場所へ移動する。


「角のところでやろう。ボールが跳ねても遠くに行かないから」


三人はグラウンドの隅で練習することにした。


二つの壁が交わる角から五メートルほど離れた位置に立ち、小さな円弧を描くように並ぶ。


左にリョウ、右にヌルール、その間にアユという配置だった。


アユが両手を差し出す仕草を見せたため、リョウはボールを手渡す。


「まずはイメージのために投げるそうです」


ヌルールがそう説明すると、アユは振りかぶり、角の方向へボールを投げた。


ボールは鋭く左へ曲がり、壁に当たると反射し、アユの右側に立っていたヌルールの胸元へと収まる。


(改めて見ても、すごく曲がっている。まるで壁に向かって落ちるみたいな……)


今度はヌルールからボールを受け取ったアユが、再び同じように投げる。


アユの右手から放たれたボールは、大きな弧を描いて右上へ浮かび上がり、高い位置の壁に当たると、山なりの軌道でリョウの頭上へ落ちてきた。


リョウがそれを受け取り、二人に視線を向けると、ヌルールがアユの言葉を聞き取っている最中だった。


言語の壁にもどかしさを感じながら、リョウは説明が終わるのを待つ。


やがて聞き取りを終えたヌルールは、首をかしげながらリョウに歩み寄る。


どこか納得しきれていない様子で、説明を始めた。


(ヌルールが曲げられないんだから、説明するのも難しいよな)


「うーん、まずはボールの中心にある、魔法をかける場所を見つけてください」


「魔法をかける場所?」


リョウはボールをじっと観察する。


表面はごつごつしているが、わずかに弾性がある。


(感触は、何かに輪ゴムをきつく巻きつけたみたいだよな……。

中心に別の何かがあって、それを外側の素材が覆っている感じか?)


考えながら手の中でボールを回していると、確かに中央付近に材質の異なる部分があるように感じられた。


それだけでなく、かすかに「魔法そのもの」が内包されているような感覚もある。


土魔法ではなく、水魔法を液体のまま充填しているような感覚。


リョウは試しに、その微かな魔法の流れに力を込め、体の外へ向かう流れを作る。


その瞬間。


ボールがゆっくりと転がり、リョウの手からこぼれ落ちた。


外から見れば、ただ落としたようにしか見えない動きだった。


しかしリョウと、かつてプラティと共に練習を積んできたアユだけは、それが大きな一歩であることを理解し、確かな手応えを感じていた。

話の構成を整理した結果、リョウの考察パートを次話にすることにしたので、本日は短めです。

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