ヒメ「リソースはいつだって有限であるということを忘れてはならない」
※しばらくぶりです。新生活準備等々で予定していた更新ペースがまったく守れませんでした。申し訳ないです。
※四月からは今までの比ではないくらい忙しくなる予定なので、よくて週一、場合によっては不定期更新になると思われます。
※それはそれとして、明日は『銀の銃弾と血潮の姫』の方を更新しようと思っています。エイプリルフールSSです。……間に合うかな。(まだ書けてない)
ザキ(山鷺)……アニメオタク。学部の都合で、講義を受けている数が四人の中で最も多い。課題をやったり、バイトをしたり、それなりに忙しくしているが、アニメを見る時間は確保している。それでも部内で一番、時間的な余裕があるのが自分だということに困惑している。
モヒ(元木)……マンガオタク。以前にも記した通り、バイトしてはマンガを読んで癒されているため、時間のほとんどはバイトかマンガに費やしている。講義をサボるとまずいという自覚はあるため、出席も課題提出も必要十分こなしているが、講義内容そのものはあまり聞いていない。
ロキ(興梠)……ラノベオタク。モヒとあまり変わらない習慣だが、モヒよりもバイトの時間が短くラノベを読んでいる時間が長い。ラノベの方がコスパがいいと常々口にしている。その分、読んでいる作品数はモヒに劣るが、自分の娯楽時間がモヒより多いことも知っているため、満足。
ヒメ(望月)……ヲタクオタク。バイトしたり友達とカフェに行ったり、最も大学生らしい生活をしているといえる。その割には、部室に顔を出しては黙って話を聞いている時間も多く、時間を持て余しているような印象を受けがち。また、地頭がいいので講義中に理解し課題も終わらせている。
ザキ「おーっす。…………あれ、モヒだけ? 他の人は?」
モヒ「まだ来てへんで」
ザキ「で、モヒはそれ何やってるん?」
モヒ「課題」
ザキ「……忙しそうやな」
モヒ「提出明日やのにまだ終わってへんからな」
ザキ「……ちなみに、出されたのは?」
モヒ「先々週」
ザキ「やってなかった自分が悪いとしか言えんな」
モヒ「しゃあないねん。バイトもマンガもソシャゲもやってたら、時間なんかすぐ無くなんねんから」
ザキ「ソシャゲ増やしちゃったかー。それが原因やろ」
モヒ「いや、原因は後回しにし続けた俺の心の弱さや」
ザキ「急にめっちゃキメだしたやん」
モヒ「かっこええやろ」
ザキ「言ってる内容がまったくかっこよくないことを除けば、まあまあやな」
モヒ「自覚はあんねん……」
ザキ「ま、ほなさっさとやり」
ロキ「お疲れーっす」
ザキ「お、来た」
モヒ「お疲れ~」
ロキ「あれ、モヒ何してるん?」
モヒ「ザキ頼んだ」
ザキ「実はかくかくしかじかで」
ロキ「なるほど、わからん」
ザキ「今のは割愛する流れやったやん!?」
ロキ「知らんがな。はい、説明」
ザキ「課題が終わってないんやと」
ロキ「かくかくしかじかと対して長さ変わらんかったやん」
ザキ「いやあ、先々週から出てた課題がまだ終わってないこととか、その理由とか、細かいこと話し出したらもっと長くなる予定やったからさ」
ロキ「細かいことは聞いてなかったから、さっきの答えが正解やな。願わくば一発目で言うて欲しかったけど」
ザキ「辛辣やなあ」
ロキ「ま、それなら都合がええな」
ザキ「……何が?」
ロキ「俺も課題やるわ、今日は」
ザキ「……おぅ」
ロキ「まだ終わってないんよな、来週までの課題」
モヒ「それは来週やればよくない? 次の土日とかでもさ」
ロキ「嫌やん、そんなん。土日にバイト入れてるし、そうでないなら休みたい。課題は勉強モードになれる平日のうちにやっとくもんやから」
ザキ「……ちなみにいつ出た課題?」
ロキ「先週の金曜日」
ザキ「土日にやりたくなくて引き延ばした結果、今やらなあかんことになってるんやん!」
ロキ「人生って、そんなもんやん?」
ザキ「急に人生を語り出すなよ。びっくりするやんけ」
ヒメ「こんにちは」
モヒ「おーっす。ヒメ」
ロキ「お疲れー」
ザキ「こんにちは。今日は遅かったな?」
ヒメ「講義が長引いたうえに、終わってから感想レポート配り出したのよ。提出しないと出席もつかないって言うし、残ってそれを書いていたの」
ザキ「うわあ……」
モヒ「ブラックな香りがするな」
ロキ「大学の講義にブラックもなんもないけどな」
モヒ「いや、俺の手元のコーヒーの話」
ロキ「締め上げんで?」
モヒ「その手に持ってるビニールテープで!? 凶器のチョイスが狂気やで!」
ザキ「俺も加勢するわ」
モヒ「待った今のなし! 自分でもやらかした思った! だからタンマ!」
ロキ「やらかした自覚があったら貰えるタンマとか、えらい都合がええな?」
ヒメ「……今日はみんな、机にパソコンを広げているのね。観賞会?」
ザキ「いや、実はかくかくしかじか」
ロキ「またやっとる……」
ヒメ「なるほど、課題のレポートね。ずっと前に出た課題? それともつい最近?」
ロキ「伝わった……!?」
ザキ「伝わった……!?」
ロキ「おい、なんで全く同じ反応で驚いてんねん」
ザキ「今のは天丼として必要な工程やからやっただけや! まさか伝わるとは思わんやん!」
ロキ「面倒くさい関西人の血やな……一ネタ挟まな気が済まんのやな」
ヒメ「その講義は確か先々週に課題が出たって友達が言っていたわね。提出が二週間後……つまり、もうすぐ提出で、ギリギリになってやっていると」
モヒ「ぅぅ……はぃ」
ヒメ「こっちはちょっと前ね。大方、土日はバイトするか休むかで、勉強する日じゃないって思ったんでしょうね」
ロキ「鋭すぎへん?」
ザキ「知らん間にウチの部から名探偵が生まれとった……」
ヒメ「別に難しいことじゃないわよ。講義の内容とか課題の愚痴とか、よく女の子同士の噂話になるもの。その内容を覚えていれば、これくらい難しくないわ」
モヒ「情報収集能力が高かってんな……俺友達少ないからなあ」
ロキ「記憶力もやろ。よう二週間前の友達との会話覚えてるわ」
ザキ「いや、かくかくしかじかから予想してる時点で、それはもう異能のレベルやと思うけど?」
ヒメ「あれは二択だったもの。観賞会ではないと否定した時点で、私の候補は一つだったのよ」
モヒ「誘導尋問……!」
ロキ「それはちゃう気がする」
ザキ「限られた情報から真実に辿り着くわけやな」
ヒメ「言い方がいちいち大袈裟……。大体、あなたたちの普段の行動を知っていれば、これくらい予測できるのよ? 時間もお金も限られているのだから、何かに使えば何かには使えなくなるのよ」
モヒ「それはめっちゃわかる。一日が四十八時間でも足らん」
ロキ「睡眠時間も食事の時間も、今の半分で平気な身体にならんかなっていつも思う」
ザキ「社畜まっしぐらに聞こえるけど、趣味時間のためってなると納得。……でもその場合、就職した後って、仕事して趣味して、だから飯食わんと寝んと……て感じで、どんどん身体壊しそう」
ロキ「やめろよ、ちょっと想像したやんけ。……あり得そうなのがまた」
ザキ「なー」
モヒ「俺はどうせ仕事と趣味しかせんから一緒やな」
ロキ「何に対する一緒なんかはわからんけど、モヒが将来身体壊すに一票」
ザキ「俺も」
ヒメ「私も一票」
モヒ「賭けでも何でもない、ただの多数決やん。数の暴力反対~」
ザキ「人材もリソースのうちやから。味方に引き込めた方が勝つんは自然」
モヒ「うまいこと言えてないからな?」
ロキ「でも、将来リフレッシュするための時間が丸々仕事に取られて、仕事しては寝るだけの存在になるんかと思うと、絶望しかないな……」
ヒメ「それは就職先にもよるんじゃないかしら。少なくとも、時間に融通がつく会社に入ろうと意識して就職活動をすることは大切だと思うわ」
ザキ「ヒメ……」
ヒメ「あなたたちは限られた時間とお金の中で、どの作品を見て、買って、読むのかを、悩みながら過ごしてきたでしょう? 欲しいけれど予算の都合で買わなかった作品があって、時間の都合で見れていない作品があって、もしかしたら気分の都合で先延ばしにしているものもあるのかもしれない。この先の将来でやることも、それと変わらないのよ。できること、できないことを判断して、選んでいく。それだけのことを、繰り返していくの」
ロキ「……なるほどな」
ザキ「言われてみるとそうやんなあ」
モヒ「なあ」
ザキ「うん?」
モヒ「課題に集中できんからちょっと静かにしててもらってええ?」
ザキ・ロキ「「…………」」
ヒメ「……ふーん」
ザキ「俺今日は録画してたアニメ見る予定があったん忘れてた! 時間は有効に使わなあかんな!」
ロキ「俺は昨日発売日やったけど買うの見送った本買いたいかな! あれは買うべきやったって俺の本能が囁いてるから! 本屋行ってくるな! じゃあ!」
ヒメ「……ふーーーーん」
モヒ「ひえっ……」




