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ロキ「作品が先か、流行が先か」

ザキ(山鷺)……アニメオタク。流行り物は押さえておきたいが、時間との兼ね合いもあるので、前評判と自分の好み、友人のオススメなどで見るものを決める。はじめは見る気がなかったものを、ネットの評価や他者から勧められて見ることも多いので、クール後半にかけて数が増えていく。


モヒ(元木)……マンガオタク。取り敢えず試し読みをして、すべてはそれから決める。最近は導入部分や第一話がどこかしらで試し読みできる環境が整っていてありがたい限り。一話時点で面白そう、もしくは面白くなりそうと思ったら購入する。自分の感性が第一だが、流行り物も押さえておく。


ロキ(興梠)……ラノベオタク。紙派なので、実際に書店に行ったうえで、表紙、帯、裏表紙のあらすじ、書店のポップなどから購入するかどうか判断する。試し読みできる見本誌があると取り敢えず見る。自分の好みじゃなくても、世間評価の高いものや、心にクる重たい作品も買う傾向がある。


ヒメ(望月)……ヲタクオタク。基本的には他者からのオススメを見るスタンスなので、周囲にいる人間によって傾向も変化する。フィクションはフィクションとスッパリ割り切るタイプなので、特に好きなジャンルも苦手なジャンルもなく、勧められるがままに見る。面白くないと思えば見なくなる。



ザキ「世間でめっちゃ評価された作品が、自分の中では『中の上くらいやな』って思ったことない?」


モヒ「あー。覚えがないこともない、かな」


ロキ「俺はめっちゃある。『こっちの作品の方がおもろいのになんでみんなそっちばっか評価すんの!?』みたいな」


ザキ「な。自分的にはもっと評価されるべき作品があるのにって思うと、なんか悔しくなる」


モヒ「オタク、大衆向けに厳しい現象やな」


ロキ「知ってる作品が多いっていう自負があるから、なんか張り合いたくなってくんねんな。『お前らが知らんだけで世の中にはもっとおもろい作品があんのに』って言わずにはおれん」


ザキ「で、なんで世間はその作品を評価したんかを知りたくなる」


モヒ「なんで? なんか時流に乗ったんやな~としか思わんくない?」


ロキ「それが難しいんやからな。何となくやとしても、時流に乗れるかどうかは大きい。その点、時流を読めるなら乗せにいけるやん? 傾向を分析して、次の流行を読むんは大事やで」


モヒ「でもそれは、流行作だけを追ってる読者か、作者側のすることちゃうん? 好みだけ追ってるタイプはあんま関係なくない?」


ロキ「それはそうやな」


モヒ「認めんのかい。なんか言い返される思て身構えてもーたわ」


ザキ「俺は純粋に理由が知りたいだけやけどな」


ロキ「あれ、そーなん?」


ザキ「自分が納得のいく理由があって、だからこっちのめちゃんこおもろい作品よりもこっちの方が人気なんやってわかれば、感情の折り合いもつけられるやん?」


ロキ「思ったより過激なタイプやったな……」


モヒ「自分で折り合い付けようとしてるうちは過激とは言わんやろ。周りに人気作の悪口言いふらすタイプのアンチになると過激やと思うけど。元々自分の評価が中の下くらいまでの作品なら貶さへんタイプが、人気作になった途端、中の上でもアンチになり出すんは見てて醜悪やからな」


ロキ「見てきたかのように言うやん」


モヒ「………………」


ロキ「……なんかごめん」


ザキ「見てきたんか……」


モヒ「でも人気作でも、オタクファンも大満足な作品は山ほどあるで?」


ザキ「そらまあ人気作やからなあ」


ロキ「人気になるが故のなんらかの要素があるんやろうしな。それが気に入れば、そらオタクも素直に褒めるわ」


モヒ「元々オタクは気に入った作品、恥も外聞もなく褒めちぎる生き物やしな」


ザキ「恥や外聞はあるからな?」


ロキ「どんな褒め方してんねん。聞いた人が自分も読みたくなるようなプレゼンせえよ」


モヒ「難易度高いこと言うな。俺はただ愛を伝えるだけや!」


ザキ「なるほど、恥も外聞もなく愛を叫ぶと」


ロキ「そこだけ聞くと青春ドラマのワンシーンの様やな」


モヒ「俺らいつもそんな感じのことしてるやん。今さらやろ」


ザキ「俺は時と場所と相手と状況は選ぶで?」


ロキ「少なくとも叫ばんよな。俺はそれこそプレゼンをする」


モヒ「今そう言うてるだけやん。いつやったか、めっちゃ語っとったやろ」


ザキ「部室で、部活動の時間に、オタク仲間相手に語ることの何があかんねん」


モヒ「全開で開き直ってくるやんけ」


ザキ「開き直ってないしー。はじめから時と場所と相手と状況は選ぶって言ってるしー」


ロキ「論理的かつ共感性高く語るんやったら、多少テンション上げた方がむしろ伝わるやろ。よって俺も問題なし。論破」


モヒ「論破て。久々に聞いたわ。ほんで現実でそんなこと言うやつは大抵精神年齢お子様やぞ!」


ロキ「そうか喧嘩がお望みかよかろう表に出んかい!」


ヒメ「戯言はいいとして、人気作品は大抵、共感性が高いような気がするわね。主人公の境遇に感情移入できるような。あとは、家族愛含めて、愛がある物語が人気な印象だわ」


ザキ「戯言て……ばっさり……」


モヒ「でも、異世界チート系もハーレム系も、ヒロインが不治の病系も、経験したこと皆無やから、共感性も皆無になりそうなもんやけどな」


ロキ「前半二つはオタクに人気やっただけやからな? 世間人気の括りに入れるのはなんかちゃう気がすんで?」


ヒメ「それらは、実際に自分が体験することはない非日常感と、仮に自分がそのような状況になったらどんな気持ちになるかの想像力に対する刺激なんかが複合した結果の共感だから。実際に体験している不幸と近すぎると、かえってトラウマを刺激しかねないし、起こりえないくらいのフィクションでちょうどいいのかもしれないわね」


ザキ「おー……。ヒメが珍しく長々語った」


モヒ「タイトル、ヒメの番とちゃうかったのにな。こんなに持論を展開するとは」


ロキ「メタいのやめい」


ヒメ「人が珍しく真面目に語ったのに、すぐに茶化すのやめてもらえないかしら」


ザキ「ごめんなさい」


モヒ「シリアスモードに耐え切れず、つい」


ロキ「そんな長くなかったやん……。メンタル弱すぎか?」


ヒメ「他人事だと思っていないかしら」


ロキ「すみませんでした」




ザキ「でも実際、流行作ってつまりは人気作が生み出すよな。これが人気やから、そのフォロー作みたいなんが世の中に増えてく。そんでその中から、新しくおもろいのが発掘されて、人気作になってく。それらが続いて、世間の流行ができあがっていく」


モヒ「そんな気はするよなあ。思えばエルフとかドワーフとか、初めて出たんは『指〇物語』らしいしな。そのフォロワーがファンタジー作品を書き続けた結果が今な気はするよな」


ロキ「『ロー〇・オブ・ザ・リング』な。実際に読んだことないけど、いつかは原文で読んでみたいよなあ。…………なろうでも、異世界転生モノが流行って、山ほど生まれて、でも今度はボーイミーツガールのストレスフリーラブコメが人気になってって、そういう純愛モノが増えてってる」


ヒメ「………………そうとも限らないんじゃないかしら?」


ザキ「ん?」


ヒメ「世間がなんらかのトラブルに見舞われたとき、人々がフィクションの中に救いを求めるのは、よくあることよ。昔は宗教がそうであったように。……今の日本は、フィクション作品が豊富だから」


ザキ「ああ、確かに……。なら、ヒメとしては『世間が求める物語こそが時流であり、それが流行ったからこそその先の流行がある』って認識?」


ヒメ「一意見に過ぎないけれど、そういうことになるわね」


モヒ「……なんで毎回ヒメが参加すると、頭よさそうな話になるんやろな」


ロキ「俺らが全力で頭悪い話してるからやろうな。俺らというか、主にモヒが、やけど」


モヒ「おおん?」


ザキ「卵が先か鶏が先か、みたいなもんか。おもろい作品があるから流行が生まれるんか、世間の風潮こそがおもろい作品を生み出す源になってんのか」


モヒ「もっぺん言ってみろや受けて立つぞ?」


ロキ「そういうところやぞ。はー野蛮。野蛮人! 頭悪そう!」


モヒ「上等ややったろやないかい!」


ザキ「………………せっかくまとめたのに、誰も聞いてへんやん」


ヒメ「私は聞いていたわよ。いいこと言っていたと思うわ」


ザキ「………………おおきに」


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