9.アレクサンドル様は婚約解消してくれそうも無いですわ
あれから一月ほどが経ちました。
攻略妨害は順調ですわ。ミリアナ嬢にその気があまりなかったからかもしれませんが。
ウルリケ皇子は既にあきらめております。そのまま進むだけでしょう。
エーリング様ははっきりとは分かりませんが、ミリアナ嬢が妖精の森に足を向けられたことはございません。
マイケル様については、最近はミリアナ嬢は東の森に行かれていないようです。
シュテファンお兄様と会った知らせも有りませんし、図書室へも来ませんわ。
アレクサンドル殿下に関しては、ミリアナ嬢はいつも通りですが、この前私と婚約者同士のお茶会が有りました。
◇◇◇◇◇
王城でのお茶会ではいつも通りにお茶とお菓子、そして花が飾られていました。
『お招き有難うございます。』
いつも通りの挨拶です。
『いえ。来てくれてありがとう。』
これもいつも通りの返事です。
この後もいつも通り、私が一方的に話して、アレクサンドル殿下が相槌を打ちます。
まったくいつも通りとは行きませんが。
前世の記憶が蘇る以前と同じにはできませんから。
頑張って喋り通したんです勘弁してください。
『所で、最近学園で見かけることが少なくなったのだけど、どうかしたの?』
首をかしげていますが、気になっていたのですか?
『あまりアレクサンドル殿下のお目を煩わせるのもご迷惑かと思いまして。』
『そう。』
いつもの作り笑いのつもりでしょうが、喜びが隠しきれていませんよ。
『それで、婚約も解消出来たらと思いましたが。』
『えっ。』
食い気味のアレクサンドル殿下。以前を考えると不思議ですよね。
『私の家からでは無理なようです。王子の方からお願いできますか。』
『分かった。私の方から動いてみよう。』
即答でした。理由が自分の浮気だから怒るかな、とはちょっと思いましたがこの際でしたから。
ところが、この後学園であいさつしたときに……
『婚約は、解消しようとしても、君の家が頑として聞き入れないそうだよ。君の話を信じた僕が馬鹿だったよ。』
と、違う方向の怒りが帰って来ました。
少し考えれば、私がそんなウソついても意味が無いですのに。
婚約破棄は免れないようでした。
◇◇◇◇◇
そして東の森では別の事が起こっていますの。
最近カップル成立が流行りなのですわ。
お昼の雑談の時間でもこの通り。
「マリー様、エミール様とお付き合い始めましたの?」
「おめでとうございますわ。」
「ありがとうございます。私の差し入れをエミール様が気に入って下さって。」
「マリー様は、毎日差し入れされていましたものね。エミール様もまんざらでもなさそうで。」
「とても幸せそうでうらやましいですわ。」
と、あまり人気のない騎士見習いの方に一人で差し入れていた方が主にカップルになってます。けなげに毎日差し入れてる方も多いそうですからね。
「うらやましいなら、人気の無い方に差し入れしてみては。クランク様は人気が高いでしょう?。」
「別に誰でも良いわけでは有りませんわ。それに私が抜けてはクランク様の差し入れの秩序が保てませんわ。」
「ミザリー様は、クランク様への差し入れの方々を取りまとめていらっしゃいますものね。」
「ミザリーは偉いのね。そういう地味な努力は誰かが見ていて下さってよ。」
「ミザリー様の努力はしっかり報われていますわ。なにせ、クランク様からお礼を言われておりましたもの。」
「まあ、うらやましい。報われていらっしゃいますわね。」
「報われなくても、マロリー様への差し入れは止められませんわ。」
「ええ、何日かに一度でも、「ありがとう」と声をかけていただける至福。」
あら、思い出してらっしゃるのかしら、お顔がうっとりとしてらっしゃるわ。
「そういえば、ナシオ様とリーザ様が婚約されたとか。」
「あの危ない目に遭われたところを救われた方?」
「ええ、次の日にお礼の差し入れを持って行って、それからですって。」
「まぁぁぁ。」
「婚約と言えば、ルイーザ様の婚約者が……」
見回り件ランニング部隊も順調らしいですわ。
迷った方や、ガラの悪い人たちに絡まれた方を助けているのですが、そのお礼や、余った差し入れを渡す習慣のおかげで、寂しい独り身の見習い騎士達に人気の隊になっていますわ。
動機はどうであれ、森の中が安全になることは望ましい事ですわ。
「……ですわね。」
「あらもうこんな時間。」
「ではみなさんまた明日。」
「ええ、また明日に。」
考え事をしている間に、今日のお昼の雑談もお開きになるようですわ。
教室へ帰りませんと。
「あの、アルフィオーネ様。すみませんが、お時間をいただけないでしょうか。」
あら、エーリング様への妨害を頼んだラブースさんね。相変わらず物静かな方ね。
「ラブース様、ではこちらへ。」
人気の無い所へ誘いますわ。あまり皆様に聞かせたくは有りませんもの。
「ラブース様、どうかされましたか。」
「妖精の事が分かりましたの。」
「まあ、わかりましたの。」
びっくり。口実として頼んでいましたけど、噂だけだと思っていましたわ。
「はい、実は、あの森である男の方に出会いまして、「ちょっとまったぁ」え?」
いやエーリング様と会ったのは秘密でしょう。
「他の男性の方の話しは、触れ回ると相手の方も迷惑ではなくて。」
「彼に許可は得ています。森に行った理由をすべて話して、この出会いのきっかけを作ったアルフィオーネ様にはすべて話して良いと。」
あ、攻略妨害ではなくて、表向きの方ですわね。
でも、こんな例外、ゲームにはありませんでしたわね。
「そうでしたの。話の腰を折ってしまってごめんなさい。」
「いえ、では最初から。妖精の森である男の方に出会ったのです。
彼はとても優しくて聡明な方で、素晴らしい魔法使いでもあるのです。
たまに森で幻影の術を使われるんですけど、その、使われた幻影が妖精に見えてしまうのです。
その時に、見せていただいたのですが、とても美しくて幻想的な光景で、妖精と言われて納得する幻影だったのです。」
「なるほど、その方の幻影魔法が妖精の正体だったのね、有難う。」
綺麗な光景だったのでしょうね。制作は何故イベントやスチルにしなかったのかしら。見てみたかったわ。
「いえ、おかげでとても綺麗な思い出が出来ましたから。」
あら?
「ラブース様、もう森には行かれないつもりですの?」
「はい、妖精が何かわかりましたし。」
「だからって止めなくても良いでしょう。そうね、その男性の方は良いから、それ以外の学校の生徒が森に入ったら教えてもらえないかしら。」
「あの、それって。」
「これまで通り、私の名前は使ってよいし、行ける時だけで構わないから。卒業まで続けてもらえないかしら。」
「はい、ありがとうございます!」
良い笑顔ね。
「あら、私があなたにお願いしているのよ。」
「はい、はい、必ず伝えますから。」
「ええ、じゃあ教室にいくわね。」
「はい!」
ここまで来て止めること無いわよね。お幸せに。
あー良いことしたわ!
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今日も放課後は図書室よね。
ミリアナが来ないか見張りますわよ。
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(一時間経過)
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この年は何が有ったのかしら、資料は……。
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(二時間経過)
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宿題終了!
今日もやり切ったわ、さあ帰りましょう。




