21.家族に前世の記憶があることを打ち明けましたわ
今日は、お父様、お母様、お兄様に集まってもらいました。
今日こそは皆さまに言おうと思っていますの、前世の事を。
「イザベル、やって来たがどうしたんだい?」
「イザベルちゃん食堂ではだめだったの?」
「皆をわざわざ集めるとは、仰々しい事ですね。」
3人がやって来たので、私はしっかりと皆様を見ながら、話し始めました。
「お父様、お母様、お兄様、わざわざありがとうございます。改めてお知らせしたいと思っていましたの。実は、私前世の、生まれる前の記憶を思い出しましたの。」
「生まれる前の記憶、それがどうしたんだい。」
え、それが感想ですか。
「生まれる前は何だったの? 鳥? おさかな?」
あ、別の動物ってこともあるんですね。
「人間でした。別の世界の……。」
頭が一つ、腕が二本、足が二足ありましたわ。
「思い出したと言う事は、生まれた時から記憶が有った訳では無いのですね。」
ええ、そうなんです! お兄様、そうなんです!
「はい、殿下がラング嬢にプロポーズをしていたところを見た時に、記憶を思い出しました。」
「そうか、二人のプロポーズを聞いてそのショックで思い出したのか。イザベル、大変だったな。」
お父様、神妙な所悪いのですが、ショックはショックでも、ショック違いだったと思いますわよ。
「じゃあ前世を思い出したショックでアレクサンドル殿下が吹っ切れたのかしら?」
「そう、といいますか、思い出した後に改めてみたら、色あせて見えたというか、キラキラして無くて、いつも笑いかけてたんじゃなくて引き攣ってたなとか作り笑いだったなとか見えてきまして、思いが無くなってました。」
思い出したショックと言うより、思い出した知識のせいで、客観的にみられた所が吹っ切れた理由だと思います。
「アレクサンドル殿下が変わって見えたのなら、父様や母様や兄様も変わって見えたのかい?」
「お父様はお父様、お母様はお母様でしたわ。お兄様はすみません、嫌われていると思っていました。」
ええ、公式設定に載っていましたから。そして攻略している時にヒロインに言っていましたから。
「その通りでしたね、以前のイザベルは嫌いでした。しかし、今のあなたは好ましいと思っていますよ。」
眼鏡をクイッと掛け直しながら淡々と話して下さいました。
「ありがとうございます。お兄様。」
良かった。いろいろやって良かった。
「と言う事は、前世の記憶を思い出したイザベルは人を見る目が出来たということかい。」
「それは良い事ねイザベルちゃん。」
ああっこのままでは良い話でまとめられてしまう。
「それは良かったのですが、前世の記憶を思い出したら、この後卒業パーティで婚約破棄されて、国外追放されることがわかったんです。」
よしっ言い切った!
「あら、前世では未来予知でもしていたの?」
「いえ、この世界と似た物語が有りまして、そのお話の続きが婚約破棄されて、国外追放なんです。」
「婚約破棄されて、国外追放か……婚約破棄は良いとして、どこの国にどんな風に追放されるんだい?」
ええと、確か……
「国外追放とする!この国から出ていけ!っていわれる筈です。それで外国に行くんですけど、カルメリア王国に行こうと思っているんですけれど、どうでしょうか。」
「カルメリア王国か、あそこは気候も暖かく、国内も安定しているな。父様達も一緒に行くか。」
「あら良いですわね。」
「あそこは生まれより実力を重視しています。私の実力でどれだけやれるか楽しみですね。」
ちょ、ちょっと待った!
「お父様、お母様、お兄様、追放されるのは私だけなのですが。特にお兄様ならこの国でも実力でのし上がれるのでは?」
「この国には嫌気がしていたからな、それに婚約解消であれだけ無理難題をふっかけるんだ。婚約破棄なら、迷惑料に爵位を売った代金を含めて有り金よこせぐらいは言いかねん。」
確かに、有りそうですわ。
「それに、イザベルちゃんは海外に行っちゃうんでしょう?だったら皆で行った方がいいわ。」
お母様、ありがとうございます。
「この国において『王子に婚約破棄された娘の兄』で『皆で国外逃亡した家の居残り』が出世できると思いますか? 使いつぶされるか、誰かの罪をかぶせられて放逐されるに決まっています。」
お兄様ごめんなさい。
「と言う訳で皆で国外に行くぞ。金は出来る限り移すぞ。あいつらにはびた一文やらん。」
「召使たちにはしっかり持たせましょうね。あの子達には罪は有りませんもの。」
「そうだな。持っていけん物は出来る限り召使達にやろう。」
「忙しくなりそうですね。」
「がんばりますわ。」
この後も打合せが続きました。
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