15.新年の学園が始まりますわ
「皆さま、新年おめでとうございます。」
「「「「「新年おめでとうございます。」」」」」
学園がはじまりました。
今日は学園の初日です。
「皆さま、久しぶりですわ。」
「久しぶりです、領地はいかがでしたか。」
「私の所は、雪が降っていて、真っ白でしたわ。」
「まあ、今日に間に合って宜しかったわね。」
「本当に。」
「私の所は、丁度寒くて、池が凍っていましたの。」
「まあ、凍った池は綺麗でしたでしょうね。」
「子供たちが滑っていましたわ。」
「まあ。」
「今年の贈り物は何を貰いました?」
「舶来もののティーセットでしたわ。」
「まあ、お茶がお好きですものね。」
「今度このティーセットで、お茶会をしようと思いますの。」
「まあ素敵。」
相変わらず賑やかです。
この賑やかさを感じると、学園に帰ってきた気がします。
「アルフィオーネ様、そのショール素敵ですわね。」
「滑らかなシルエットで柔らかそうですわ。」
「柔らかくて、手触りも宜しいのよ。それに暖かいの。」
「まあ素敵。」
あら、一人視線の質が違う方がいますわ。
「イラナ様、触ってみたいのでしたらどうぞ?」
「有難うございます。本当に素晴らしい手触りですわ。いつかこんな手触りの生地を取り扱ってみたいと思います。」
うっとりしていますわね。
「あら、イラナ様のお家は雑貨屋ではなくって?」
「そうなのですが、汗の拭きやすいタオルを探していて、肌触りの良い生地や吸水性の良い生地を生地を取り扱いたいと思うようになったのですの。」
「そのうちタオルならイラナさんのお家に叶う所は無くなるかもしれませんわね。」
「タオルと、実用性のハンカチーフにも使いたいと思いますの。」
「宜しいですわね。」
差し入れから、何か商売の方向が変わってませんかしら。
自分で決める方向ですから他人にはどうこう言えませんけれど。
「今日から東の森に行きますの?」
「もちろん。差し入れの準備もばっちりですわ。」
大きな袋を見せています。ここに持って来なくても良いのですよ。
「もちろん差し入れの順番の娘は決まっていますけれど。」
「来られなかった娘や、差し入れ出来ない娘もいるかもしれませんものね。」
「それに今日は出来るなら、全員の騎士様に差し入れをしたいですわ。」
「「「今日は、新年の初めの日ですものね。」」」
「ランニングの騎士様達や、一人でいる騎士様にも差し入れしないと。」
「「「「「放課後が楽しみですわ。」」」」」
皆さま、心強いですわ。
◇◇◇◇◇
ヒルダ様の教室に伺いました。
「ヒルダ、新年おめでとうございます。」
「イザベル、新年おめでとう。」
新年のあいさつを出来る友達がいるのは良いですわね。
取り巻きの皆さんとの挨拶も良いのですが、あれだけだと寂しいのですわ。
「新年のあいさつを女友達と出来るのは良いものだな。」
「私も今それを思っていたところですわ。」
「相思相愛か、良いものだな。それにそのブローチ、付けてくれたのだな有難う。」
「ヒルダが付けやすいブローチを下さったからですわ。そのチャームもつけてくれましたのね。」
ヒルダ様の腰には剣が有って、そこに私が送ったチャームが付けてありました。
「うん、折角だし、こんなかわいいのは他にはないからな。今から東の森で訓練するんだが、こんなにかわいいのは森の中でもこれだけだ。」
そういってからからと笑います。はにかむ姿もかわいいですが、こういう笑い方をすると、とても凛々しく見えますわ。
「そういってもらえると、贈った甲斐が有りますわ。東の森に行かれるのも嬉しいですわね、応援される方々が、皆さんに差し入れをするのだと張り切っていましたから。」
「それはありがたいな。さっき、今日は行くのをどうしようかとだらけた事を言ってた奴らがいたが、その話を聞いたらきっと行くに違いない。」
「行って欲しいですわ、あまりに少ないと張り切って差し入れに行った娘達が可哀そうですもの。」
「何、そうかわいそうな事にはしないよ、皆引っ張っていくからな。」
「それは頼もしいですわ。それではまた。」
「ああ、またな。」
そしてヒルダ様は右手を上げ、去って行かれました。
やっぱり凛々しいですわね。
◇◇◇◇◇
放課後は、図書室にまいりますわ。
流石に今日来る必要は無いのですけれど、冬休みに知りたいことが出来てしまって、本を調べに来たのですわ。
「今日も宿題ですか、関心ですね。」
お兄様も、いらっしゃいました。なぜかしっくりします。
「さすがに今日は宿題は出ませんでしたわ。」
授業もないのに宿題は有りませんわ。
領地までの往復と贈り物交換が前提の冬休みには、宿題も有りませんし。
「では何を学びに来たのでしょうか。」
「こちらの本ですわ。」
「東の民族の生態について?」
お兄様は、眼鏡をクイッと持ち上げながら尋ねてきます。
「私たちの領地は東に有りますわ。でもこちらに書いてある習慣とは違う所も多いので。」
「それは、もっと東の領地の事ですよ。私たちの所は中央との境になりますから、これに書いてある民族とは違いますね。」
「それで納得しましたわ。」
本と、うちの領地は違い過ぎましたもの。
「その上級植物帳、使って下さっていますのね、嬉しいですわ。」
「折角の贈り物ですからね。紙の質も良いものを使っていますし、書きやすいものです。おや、貴方もですね、下敷きは違うようですが。」
「ええ、見本にいただいたのです。下敷きは付いていませんから別物ですわ。」
「なるほど、良い付き合いをしているようですね。」
「はい。」
そのまま二人とも、お互いの調べ物に没頭していました。
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