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記憶が戻ったら、断罪が確定していました。婚約破棄は受け入れますから重労働や死罪は勘弁して下さい  作者: 九幻琴


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11.お兄様が勉強を教えてくださいましたわ

 「ちょっとよろしいでしょうか。」


 廊下を歩いていると急に呼び止められましたわ。

 薄紫のストレートの髪と切れ長の藍色の瞳、凛々しいお顔、背の高いすらっとした体形で、背筋もピンとして、姿勢よく立っていらっしゃる。とても男装が似合いそうなご令嬢です。


 流石『学園で一番女生徒に人気な生徒』ですわね。

 ええ、ゲームに出てきた方ですの。マイケル様の婚約者のヒルダ様ですわ。

 なんとなく張りつめているようです。


 二人で話した方が良さそうですわね。一緒に歩いているお友達たちには、先に行ってもらいましょう。


 「有難うございます。私、ヒルダ=コペッキーと申します。」


 綺麗なお辞儀ですわ。背筋もピンとしたままです。


 「こちらこそありがとうございます、コペッキー様。私は、イザベル=アルフィオーネと申しますわ。何か御用でしょうか?」


 私もお辞儀します。幼いころからのたしなみですもの。


 「最近、私の婚約者のマイケル=ビーテルセ様が東の森で放課後に練習しているのですが。」


 何か言いにくそうな、悩まし気な雰囲気です。どうしたのでしょう。


 「私の友人から伺っておりますわ。皆さま恋人と婚約者は優先だとおっしゃっていましたので、応援でも差し入れでも歓迎されるのではないでしょうか。」


 「いえ、応援に行こうと言う訳では無いのですが。」


 おや? 違いましたか?


 「でしたら一緒に訓練ですか?それこそ誰も何も言わないと思いますわ。」


 むしろお二人の練習風景でしたら大歓迎されるのではないのでしょうか。黄色い感性が飛び交うのが目に浮かびますわ。


 「いえ、その、あんな可愛らしい女の子の中に私が入ったら浮きませんか?」

 「え?」


 応援の子達は可愛らしいですか? いろんな方がいると思いますよ。


 「マイケル様は可愛らしい子がお好みらしいのです。私の様な可愛らしくない者が入るとお目汚しになるのではと。」


 というヒルダ様は、頬を染めてうつむいたまま、もじもじされています。

 間違いなく可愛らしいですわ。


 「ビーテルセ様のお好みは知りませんが、今のコペッキー様はとてもお可愛らしいと思いますわ。」


 「私が、可愛いですか?」


 「はいとっても。ビーテルセ様がかわいくないとおっしゃるのなら、今の様なコペッキー様を知らないだけだと思いますわ。」


 「そんな……」


 真っ赤に染めた頬に手を添えるコペッキー様。普段とのギャップでよりかわいく見えます。え? 普段なんて知らないだろって? ゲームの中とのギャップよ!


 「心配でしたらビーデルセ様に聞いてみたらいかがでしょうか。練習の応援の中にコペッキー様が混ざるのはお嫌でしょうか、と。」


 これで嫌だというような薄情な婚約者なら、見限れば良いのですわ。


 「ありがとうございます。一度ご迷惑かどうか本人に聞いてみますわ。ちょっと怖いのですけれど。」


 「それがよろしいですわ。上手く行くようにお祈りしております。」


 「ありがとうございます。それからこれからはヒルダと呼んでいただけませんか?」


 「ではヒルダ様と。私の事もイザベルと呼んでいただけませんか。」


 「はい、イザベル様。またお話してくれると嬉しいですわ。」


 「こちらこそ、是非お話したいですわ。」


 「それではまた。イザベル様。」

 「ヒルダ様、また。」


 そしてそれぞれの方向に向かいました。



 ふふふ、名前を呼んでくださる友達、初めてですわ!




   ◇◇◇◇◇




 もうすぐお兄様のイベントですのでまた準備ですわ。

 今回はウルリケ様の攻略妨害で潰した3か所のうちの一つが舞台なので、起こらないとは思いますが、念のため。

 

 「ヤンセン様、お待たせしてすみませんでしたわ。」

 「いえ、アルフィオーネ様、今来たところです。」


 はい、今回もヤンセン様です。別の方にしようと思っていたのですが、事情が変わったと言いますか、ヤンセン様が思った以上に有能だったのです。


 「またラング嬢を助けて欲しいのですけれど、よろしいかしら。」

 「はい。そういう時のために、あれから何度かラング嬢を手伝っています。手伝う日が1度や2度増えても目立たないと思います。」


 この通り、違う方を使うより、却って目立たなくなりました。


 「ではまた二日後に、お手伝いをお願いしますわね。」

 「はい、お昼の後からしばらく手伝おうと思います。」

 「ではお願いしますわ。」


 これで大丈夫。出来る方がいると助かりますわ。



   ◇◇◇◇◇



 放課後は図書館ですわね。もう足が勝手に動いてしまいますわ。

 今日も、ミリアナ嬢が来ないか見張りますわ。


    ・

    ・

    ・

 (一時間経過)

    ・

    ・

    ・

  この問題、難しいわね。

  

  分からないわ。

 

 (コホン)


  あれ?お兄様?


 「どこで詰まっているのですか?」


 え?えーと……

 

 「ここですわ。」


 「ここでしたら、こうして、ここを参照するんです。」


 「あ、はい。……できましたわ。」


 「はい。では。」


 「お兄様!」


 「なんですか?」


 クイッと眼鏡を持ち上げながら私の方を見ています。


 「ありがとうございます。でも何故?」


 「ふん、自分でやろうとする姿勢は好ましい物ですが、10分も悩むのでしたら他人に聞くことを視野に入れて下さい。近くに居るのですから教えますよ。」


 あ、そのまま行ってしまいましたわ。

 お兄様が教えて下さるなんて、明日雨が降りそうですわ。

読んでいただき有難うございます。

もしも少しでも面白いと思っていただけましたら、

★を少しでもいただけますと、喜びます。

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