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無能な吸血鬼少女  作者: 愚かな黒ウサギ
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階段からこんにちわ!《7》



  ゼディアス様に階段から落とされて、このままグッシャッ…チーン…っていうグロテスクな光景が広がるかなって思ったけど、ヒルダ先輩が下で心配そうに上を見上げていた……そしたら私が落ちてくるもんだからヒルダ先輩大絶叫。



「あら?何か…上から落ちて来ているような…?ん~……えっ…?リンゼル、ちゃん?えぇええええっ!!?」



あっ、ヒルダ先輩さっきぶりです!

コンニチワッ!(^○^)



「なんでリンゼルちゃん落ちてきているのぉおおおおっ!?」タタタッ


  ヒルダ先輩は全力で走って私が落ちるであろう地点に来て、ガシッ…としっかりナイスキャッチをして頂きました。



「ぐっ!」


  私はヒルダ先輩に親指をグッとさせ、ナイスキャッチです!とサムズアップをして微笑んだ…顔が潰れてるから不気味な笑顔だったかもしれないけど。


「いや暢気に親指立ててる場合っ!?どういうことなの!?何があったのっ?」


「かーふくーまふうぷりゅーず♪(回復魔法プリーズ♪)」


  はい、説明したいのは山々なのですが、まずは回復魔法を私の顔にかけてくれませんか?顔が潰れてて喋れません…


「あっ、顔の治療するの忘れてた!」


  そんなことあります?普通一番最初に顔治しません?乙女の顔っすよ、一応……


  ヒルダ先輩……たまに恐ろしく頭が抜けてることあるよな……マジで嫌われてる説があるかもしれないけど、考えるだけで悲しいからそれはないと信じて「ふっ…」と悟った表情で笑った。


「なんで悟った表情なの?この子?」






「ゼディアス様に階段から落とされたっ!?」


「はい…」


「本当にあのゴミご主人様はロクな奴じゃないわね!こんな小さな子を落とすなんてっ」


「……そう、ですね…」


「大丈夫?怪我はない?他にあのゴミから危害は加えられていない?」


「ええと…大丈夫です…」


  いやゴミって……ご主人様に聞かれたらどんな目に合うか……ヒルダ先輩って時々こういうこと言うからヒヤヒヤするんだよなぁ…



「……ごめんね」


「?……何のことです?」


「さっきのこと……」


  あぁ、ガイエル先輩が私を妹さんと重ねている話かぁ……うーん、正直何とも言えんのよな~……と言うかどの辺が妹さんに似てるんだろう?ガイエル先輩もしかして目節穴?大丈夫ですか?良い病院紹介しましょうか?いや良い病院なんて知らないんですけどね、村から出たことないんで。


「……何となーく、誰かと重ねている気はしていたので、まぁ全然気にしてないですよ~」


  逆に申し訳ないぐらい、妹さんに。私なんかと重ねられるなんて、妹さんも可哀想だ。どんな人か知らないけど、私みたいなポンコツだったのかな?だったら納得いくなぁ…。


「そう……気付いて、いたのね……」


「ほぼ勘でしたけど、当たってたんですね~」


「……」


  いやそんなに申し訳なさそうな顔をしないで下さい!全然気にしてないですから!ほらっ笑って下さい!女の子は笑顔が一番って何処かの先人さん達が言ってました!



コツ…

「リンゼル…」


あ、ガイエル先輩だー!どうも~。


「ガイエル!」


「ガイエル先輩…」


「すまない……さっきは……」


「ああっ、先程はお二人とも助けて頂いてありがとうございます!この通り私は生きています!」


「君は……」


「事情は色々とあると思います……でも、無理に話さなくても良いんですよ?私達は出会ってまだ数日です……私は、お二人に助けられてきたこと、優しくしてくれたこと、それだけで、どれだけ嬉しかったか…どれだけ救われたか……今はそれだけで充分です!」


「リンゼルちゃん……」


「…君は、本当に……」


「さて!お掃除の続きをしますね!バケツをひっくり返しちゃったんで水浸しになってる床を拭かないと…」


「……僕も、手伝うよ」


「わっ、私も手伝うわ!」


「えっ、本当ですか?それは助かります!けど、お二人とも忙しいのでは?この後の予定とか大丈夫ですか?」


「ふふ……うん、大丈夫だよ」


「ええ、大丈夫よ、下僕……後輩の吸血鬼の子達に大体の仕事は任せているわ」


「そうなんですか……でしたら良かった……」


  ん?いま下僕って言いました?ヒルダ先輩?聞き間違いですか?そういえば噂でヒルダ先輩の親衛隊がいるとか何とか……本当なのかな?まぁヒルダ先輩、絶対磨けば光る女性だもんなぁ……気付いてる人は気付いてファンクラブ結成していても可笑しくない……あの冷たい瞳がたまらないとか下位の吸血鬼諸君が騒いでいたしなぁ……やっぱり居たんだなぁ……それを下僕と呼ぶヒルダ先輩……S女王様気質あり、と……なるほど、捗るな……いや何でもありませんよ!?べっ、別に罵倒されてみたいかもなって思ってないですけどっ!?私はドMじゃないですしねっ!?誰に言い訳してるんだ……私は。


「リンゼルちゃん?どうしたの?」


「いえ何でもありません!さあお掃除に行きましょう(ニッコリ)」←切り替えの早い女。


「そ、そう?なら良いんだけど…」


  もちろん優しいヒルダ先輩も大大大好きですけどね!


「ふっ……」



  ガイエル先輩は優しく微笑んで私達を見ていた……色々と思うところはあるようだけど、良いさ、何も知らない関係っていうのも、気が楽で良いもんさ。家族だって何でも話し合うことなんてそうそうないんだ、私達はこの距離が適切な距離だと思うね…。



  ガイエル先輩は私の頭を少し撫でてから、「行こう…」と手を引いてくれる……言いたいことも何もかも飲み込んで、彼は私の気持ちを汲んでくれているようだ……有難い……


  私はこの人達の前であまり泣きたくないから……これでいい。



  知らないまま、進もう……


  それが一番さ……


  それで良いのさ……




  でも、ちょっとだけ気になってたことを聞いてみたくなった……だから聞いてみた……



「妹さんと私ってそんなに似ていたんですか?」


「いや全く似てないよ?」


  ほらっ!やっぱり知らない方が幸せなことってあるじゃん!て言うかじゃあ何で重ねていたんだ!?ガイエル先輩の目はやっぱり節穴じゃん!どゆことなの!?


「妹は……優しくて、よく笑う子だったよ、フィーリアは母似でね、目元が優しくて、笑うと花のように綻んで可愛かったよ……勉強が好きで、学ぶ事に貪欲でね、いつも机にかぶり付いていたよ」


  うんっ全然似てないね!勉強が好きでねの辺りからもう絶対違うと思ったもん!ガイエル先輩も笑うと花のように素敵な笑顔ですよね!分かります!ご兄妹でお顔立ち似ていたのかな!?素敵ですね!私の目は今も昔も死んでますよ!ありがとうございます!



「ちゃんとした学校に通っていたら、本当に良い成績取っていただろうな……あの子は僕より頭が良かったから…」


  先輩よりも頭が良かったっ!?よりいっそう似てないなっ!?ガイエル先輩は私のどの辺を見て妹さんと重ねていたんだ!?本当にちゃんとした病院を探しましょうかっ!?



「そうねえ、フィーリアは本当に勉強熱心で、たまに私達のこと見えているのかしら?ってぐらい、勉強のし過ぎで知恵熱出してそれで倒れたこともあったわね…」


「あったねえ…そんなこと…」


「沢山勉強してお医者さんになって、お兄ちゃんの病気を治すんだ~!って躍起になってわねぇあの頃は…」


「あぁ…そうだったね…」



  ガイエル先輩達は懐かしそうに目を細めて話していた。



  へえ~、良い妹さんだなぁ~素晴らしすぎる…………ん?お兄ちゃんの、病気?えっ、いま病気って言った?


「ガイエル先輩……何処か体を悪くなさっていたんですか?」


「あっ…」


  ヒルダ先輩がやってしまったと言った顔をしている、どうやら思わず口が滑ってしまったみたいだ。



「…大丈夫だよ、ヒルダ。これぐらい話しても大丈夫。うん、実は僕、人間だった頃体が弱くてね…それもちょっと厄介な病に患ってて…先が短い命だったんだ…」


「そう、だったんですね…」


「妹は優しくてね…僕の病気を治そうと沢山勉強していたんだ…」


そっか、だから妹さんは沢山勉強して、ガイエル先輩を救おうと……本当に素敵な人だったんだな~……あ~そりゃバルト先輩も怒るわけだ…。



「えっと……それでその妹さんは一体今は…?」


「それは……」


「………」


  そう私が投げ掛けると、ガイエル先輩は少し悲しそうな表情をした後、黙り込んだ。ヒルダ先輩も少し困ったような顔をしている。



  ハッ!思わず流れで聞いちゃったけど!さっき過去は詮索しない!知らないままこの距離感で楽しくやっていこうぜ!で纏まりかけていたんだ!これ以上は止めておこう!



さてさて~お掃除!お掃除!



「ささっ!お二人とも地下まで競争ですよ!ヨーイドンッ!」ダダダッ



「ぁっ……」


「……よし、負けないよ?リンゼル?」ダダダッ


「えっ……ちょっと待ちなさいな!私が勝ちますわ!」ダダダッ…←(負けず嫌い)










「ぜえぜえっ…ハアハアッ…(*´Д`)」


「大丈夫?リンゼルちゃん?」


「手を貸そうか?」



  え?なんです?もちろん負けましたよ?



  私の方が先に走ったじゃないかって?何をいってるんですかっ、私は無能吸血鬼のリンゼルですよ?実力差は歴然!速攻で追い抜かれましたよ!


  何ならわたし最初の一歩で息切れしてましたよ?









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