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無能な吸血鬼少女  作者: 愚かな黒ウサギ
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とある姉妹の過去2



  リンゼルの住む村は、だいぶ田舎で、人が少ない。800ちょっと居るか居ないかの小さな村。村の名前はニコイ村。村長さんの名字から取っているらしい。


  そんな小さな田舎の村にも酒場が一店舗存在している。田舎故、やれることは少ない。働いて食って飲んで寝る、と言う日々。娯楽施設など勿論なく、村の住人達の要望で、せめてもの大人の憩い場として酒場が出来たらしい。


  そんな村唯一の酒場は、真っ昼間から騒がしかった。



『ぁあんっ?金を一千も持ってないだあ?てめえビール何杯飲んだ?』


『……一杯ぐらい?』


『12杯だっ!!ツマミの焼き鳥16本と炙りサーモンの皿4枚分っ!!合わせて10000ギルだ!』


『ほうほう……うむ!一文たりともないっ!!』


『てめえぶっ殺すぞ!?そんなことがまかり通ると思ってんのか!?』


『あっ、やっぱムリ?』


『当たり前だろうが!?』


シュタッ


『あっ、おいコラッ!?逃げるな!?せめて身ぐるみ全部置いて帰りやがれ!』


『アギャアアアアッ!!あっ、頭の巻物だけはやめて!お願い!それだけはっ、それだけは外さないでぇえええっ!!』



  そんなこんなで、ドタバタッと音を立てて酒場のドアからゴロゴロッと転がりながら出てきた、頭に白い巻物を巻いたパンツ一丁の男の姿がそこにあった。



『二度と来るな!この一文無しがっ!』バタンッ


  そういって酒場の店主は勢いよくドア閉めた。



  地面に転がる頭に白い巻物を巻いたパン一の男。どうみても不審者である。


  酒場付近にいた村の住人の者達は余所者の上に無一文のパン一男の不審者なんて見て見ぬふりでスタスタとみんな何事もなかったように歩き始めた。当たり前である。どうみても面倒事だし、誰も関わりたくない。


  普通ならばそんな男の元になど近付く人間なんてそうそう居ない。


  そう、普通の人間ならば。

  一人だけ、いるのだ、この村には。

  この村である意味で有名な、

  “無能”な彼女が………



『あっ、オジサーン!』



  そう言って手をブンブンと振りながら笑顔で駆け寄ってくる少女(変わり者)が。



『ありゃりゃ…?あの子は……』



  パン一の不審者の目の前までやって来た少女こと、リンゼルは『あれ?オジサン、何でパン一なの?』と疑問を告げた。



『あーお嬢ちゃん……朝ぶりやね~?どうしたん?』


『オジサンの方こそどうしたの?ボロボロだし、寒くないの?』


『ハハッ……色々あってん……(遠い目)』


『ふーん?そうなんだ~?』


『とっ、ところで!お嬢ちゃん、何しに来たん?』


『あっそうそう!オジサンに頼まれたロープと強めのお酒持って来たよ~!』


『えっ……ホンマに持って来たん!?』


『?……うん、そうだよ?』


『はーっ……変わった子も居るもんやね~?普通あんな言葉殆どの人が無視するで?』


『そうなの?でも困ってたんでしょう?』


『……そうやけど…。うーん、まあでも……ありがとうねっ嬢ちゃん!ほれ、お駄賃にチョコあげるわ!(不思議な子やな~?)』


『わあ~!ありがとう!』


『いや~やっぱ酒ないとやってられへんからな~……おっ、これ結構お高めのブランデーじゃ!?お嬢ちゃんやるね~?』


『えへへ~、よく分からないけどヤッター!』


『……まぁ頼んどいてあれやけど、ホンマに持ってくるとはお兄さん思わんかったわ~。キミ、もうちょっと警戒心というものを持った方がええよ?』


『モグモグッ……チョコうめーっ!!』


『………キミ、知らない人から食べ物貰っちゃいけませんって義務教育で習わんかった?』


『もっと下さい!』


『……キミ、結構がめついね。ほい、どうぞ』


『ありがとうごぜーます!』


『………うん、まぁええわ。肝の据わった子やな…』


  リンゼルは服についてるポケットに貰ったチョコレートを仕舞った。


『あっ、いま食べるわけじゃないんや?』


『うん!美味しかったから妹にもあげるの!』


『!…ふふ、そっか……妹さんにあげる為にもう一つ欲しかったんやね?』


『うんっそう!ありがとう!“お兄さん”!』


『いいえ、どういたしまして~!(食べ物あげた効果か知らんけど、オジサンからお兄さんに昇格したな。分かりやすい子やね~)』


  そう思いながら、お兄さんはお酒をコップに並々注いで、グイッと一気に飲んだ。


『プハーッ……ホンマにキツいねえコレ!いや~やっぱ酒は最高や!これさえあれば生きていけるわ~』


『喜んでくれたみたいで良かった!ところでお兄さん!そのロープは何に使うの?』


『……えっ?キミ、分からんと持って来よったん?』


『うん!』


『いや元気にうん!って言うてもな……ホンマに変な子やねえ?キミ?お友達おる?』


『妄想上のお友達なら10人ぐらい居るよ!現実世界ならお家で私の部屋に置いてある小石なんだけど!その子に名前つけてお友達になってもらったの!』


『ごめんっ、ホンマにごめんなさい!聞いた俺が悪かった!泣いちゃうからもうやめて!』


『ふえ?何で涙目なの?お兄さん?』


『いやっ、うんっ、あのっ、ちょっと目にゴミが入ってしもうてな!それで涙がちょっと出てしまってん!』


『そうなの~?大丈夫?』


『大丈夫大丈夫っ!気にせんとって!よくあることやから!』


『へえ~…よくあることなんだ~?』


『そっ、それより!お嬢ちゃん!チョコもクッキーも飴ちゃんもお兄さん仰山持ってるでえ!それ全部キミにプレゼントや!』


『ぇえっ!本当にっ!?いいの!?』


『ええでええで!(なんか気まずいこと聞いてもうたし、“サラ”に後で怒られそうやけど……まぁええか!)』


『わあ~っ、本当だ~お菓子たくさんある~!ありがとう!お兄さん!』


『ええてええて。』


『モグモグッ……クッキーおいしーっ!』


『それは良かったわ。飴ちゃんも美味しいで?』


『あっ、そうだ!ちょっと前に貰ったイチゴのアメちゃんありがとう!美味しかったよ!』


『あら、それは良かったわ~』


『うん!アメってこんなに美味しいなんて初めて知った!』


『おっ、もしかしてそれが初めて食べた飴ちゃんやった?』


『うんっそう!』


『そっかそっか~じゃあもうちょっと色んな種類の飴ちゃん用意しとくべきやったな~イチゴ味とグレープ味とミント味の三種類しか持ってきてへんねん』


『いただきます!ガリッガリッ』


『ちょっと待って待って!とんでもない音立てて食っとる!?ソレそういう風に食べるもんやない!舐めるんや!噛むもんやない!』


『うんめ~!』


『……うん、まぁ、それで美味しく食べれてるなら、ええわ…。口の中怪我せんようにな?』


『ガリッ……ねえねえお兄さん、コレなに味?』


『ん?それはグレープ味や。気に入ったか?』


『うん!とっても!』


『それは良かった』


『このミント味?ってやつも食べてみる!』


『あっ、ちょい待ち。そのミント味はちょっとくせ者やから…いやひょっとしたら口に合うかもしれへんけど…』


『ガリッガリッ…………うへぇ~っ!!』


『あぁ、やっぱ合わへんかったか…。ほら、ペッて吐き出しとき?』


『ガリッモグ………ううん、いい。食べ物は粗末にしちゃいけませんって言われてるんだ…』


『へえ~その辺の教育は行き届いとるんやね。親御さんから?』


『ううん、妹から。』


『………妹さんから?』


『うん…』


『……キミの妹さん幾つ?』


『?……3才だよ?』


『………お嬢ちゃんは?』


『わたし?6才だよ?』


『……逆やない?』


『逆?』


『まぁ、ええわ。その…賢い、妹さん、やね?(最近の3才の子供ってそんなにしっかりしてるもんなん?)』


『うん!家の妹は天才なんだ!自慢の妹だよ!』


『そうなんや。仲、ええの?』


『うん!すっごく良いよ!』


『そっか、それは素敵やね?』


『うん!』


『ふふっ、キミってなんやろ?不思議と和む子やね?こっちまで気が抜けるわ…』


ガリッ

『む~?そう?よく分かんないけど…。あっ、そうだ!気になってたんだけど、お兄さんこんなにお菓子持ってるってことは商人さんか何かなの?』


『うん?あぁ、まあほんのちょっと前まではな……ドディヴァっていう名前のお菓子や駄菓子を全般に扱ったお菓子専門店を経営していて、そこの社長をやっとった。中でもチョコレートの人気は凄くてな、貴族のご婦人方にまあ人気が出て、チョコレート単体の専門店まで出したんやで』


『ほえ~…よく分かんないけど、凄いね!』


『…まぁ、今は俺の手元から離れてるけどな…』


  そう言いながらお兄さんがまたコップに並々注いで、グイッとお酒を流し込む。見れば、ほんのり頬に赤みがかってる。


『はーっ……なんでこうなったんやろうな~』


『?』


『なあお嬢ちゃん……これも何かの縁、俺のしょーもない身の上話、聞いてくれへん?』


『え~?いいよ~お菓子たくさんくれたし♪』


『ホンマに~?ええ子やね~キミ~?ハァーッ、聞くも涙、語るも涙のそれはそれは……』


『ぐーっzzZ』


『おい待てぃ!早いわ早い!まだ寝るには早すぎるって!まだ何も話しておらへんって!』


『ぐー……ん~……あと10分……むにゃむにゃ……』


『あと10分ってなに!?いや起きて!?』


『むにゃむにゃ……お腹、いっぱい……むにゃ…』


『あっ成る程ね~?お菓子をお腹いっぱいに食べて眠たくなったと………暢気か?この子?』


『ぐー…』


『おーい、起きてくれ~………えっ、ホンマに?冗談やなく本気で寝たん!?』


『スヤスヤ…』


『……ホンマに寝る子おる?いや此処におるな…。』


『スヤスヤ…』


『なんや、この子?ホンマに変んな子やな~。しかも立ったまま寝とるし……器用なのかアホなのかよう分からんわ…』


『むぐ~……もう食べられない……ぐー』


『夢の中でもなんか食べてんのかね?ハァーッ、それにしても……無用心な子やな~?知らんオッサンの前で堂々と眠るとか、神経どうなってんねん。いや、知らんオッサンに頼まれて物を持って来たり、食べ物貰ってその場で食べたり、無用心にも程があるわ…。この子の親、ちゃんと教育してんのかね?』



  そんな風にパン一男は考えていると、突然何処からともなく鎌がクルクルと回りながら、パン一の男の足元にドスッと刺さった。


『ひょえっ!?何処から鎌がっ!?なんで!?』



  パン一男はギョッと驚いて、『一体誰や!?』とキョロキョロと辺りを見回していると…。


『チッ、外したか』


  そう舌打ちしながら鎌を投げた人物は、黒髪ショート、青色の瞳、たわわな胸、メイド服を着た綺麗な女性が気配もなく現れた。



『おまっおまえっ……“サラ”ッ!いきなり何すんねん!?』


『えっ?ご主人様を殺そうとしましたけど?』


『ご主人様殺そうとするメイドが何処におる!?』


『ここに。』


『ホンマや!じゃないねん!その鎌何処から持って来てん!?』


『そちらの彼女に持って来てもらいました』


『あっ、サラもこの子に頼み事してたん?いや、鎌を持って来てもらうってどんだけ物騒やねん!?子供になんちゅうもん持って来させとるねん!?』


『貴方も子供に自殺道具持って来させてるじゃないですか?』


『………まぁ、それは置いといて。』


『自分の都合の悪い事からは逃げるんですね~私のご主人様は本当に素敵な人だな~(棒読み)』


『分かった分かった!俺が悪かった!飴ちゃんあげるから許してや?』


『…それ、ミント味の飴ですよね?私それ苦手なの知ってますよね?』


『……やっぱ駄目か?ミント味ホンマに人気ないな~俺はわりと好きやねんけどな~?』


『お前の意見など聞いていない』


『ねえホンマにお前俺のメイドやんな!?俺ご主人様やんな!?態度どうみても可笑しくない!?』


『冗談はその面だけにして下さいよ』


『………ねえ俺そろそろ号泣してもええか?』


『勝手にどうぞ?』


『………グスンッ』


『ぐーっ………ハッ!誰かが泣いている!?起きなくてはっ!リンゼル覚醒っ!!』


『なにその起き方?ヒーロー?』


『どうしたのっ?おじっ、お兄さん?どうして泣いてるの?』


『今おじさんって言いかけなかった?聞き逃せへんかったで?』


『あ~!さっきのおっぱいがデカイ美人メイドさんもいる~!こんにちは~!』


『こんにちは、お嬢さん。鎌を持って来て頂いてありがとうございます。』ペコリ


『良いよ~!何か役に立てられた~?』


『はい、ご主人様を殺せそうでした』


『そっか~良かった~』


『ねえ君ら、結構サイコな会話を繰り広げてること分かってる?あと俺の扱い雑すぎない?酷くない?』


『黙れパン一の変質者。役人につき出すぞ?』


『ヒドイッ!ってホンマや!俺の方が今アカン格好してたわっ。色々ありすぎて自分の今の姿忘れてたわ…』


『お兄さん捕まるの?』


『うん、捕まらへんで?その前に全力で逃げる(にっこり)』


『そっか~頑張って~!』


『ところで貴方は本当に何でそんな格好になったんですか?』


『うん?そうやな~話すと長くなるけど、端的にいうと無銭飲食した!』


『そうですか。やはり役人につき出しましょう。』


『ちょっと待って!!』


  お二人とも仲良いな~(ニコニコ)





駄目だ話が進まない!一生ネタやってる!とりあえずこの辺で無理やり終了(区切り)!中盤?後半?に続く!続けるか!?

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