未熟《20》
「ママ…?パパ…?」
「!っ……」
目覚めて最初のその一言はキツイな……
思わずお姉さん涙がじんわりと出てしまったじゃないか!私は少年を回収しようとして伸ばした手を引っ込めた。
キョロキョロ
「…………」
少年はキョロキョロと辺りを見回した、私達を見付けた時、少し驚いていたようだったけど、それよりも父親と母親のことが気になったのだろう、それはそうだ。私達の事はさておき、父親と母親をまたキョロキョロと探し始めた……
そして………
「パパ……ママ……?」
父親と母親を少年は見付けた……
魔物達に切り裂かれ血まみれになった両親を……
「パパッママッッ!?」タタタッ
あんな小さな子に両親のあの死に様は辛い…
「ねえっ!おきて!パパッママッ!」
血塗れたご両親の体を揺さぶり、彼は叫ぶ。
「ママァ……パパァ……ねえ、おきてよ……」
「……ズビッ」
ダメだ!こんな現場私なんて百年も見てきたのに!未だに慣れず泣いてしまう!被害に遭った当人の方が辛いんだ!関係ない私が泣いてどうする!とりあえず鼻水止まれ!
ゾックッ
【潮時だ……戻れ……】
ゼディアス様から連絡だ……戻らないと……でもこの少年がまだ……
ザッザッザッ
すると、ガイエル先輩が少年の方へゆっくりと近付いてこう言った。
「その様子を見ると、君のご両親は君を守るために頑張ったようだ……立派で優しく、君のことをとても愛していたようだ……素敵なお父さんとお母さんだね……」
「うぅっ…ひっぐっ」
「……すまないが……今は時間がない……ついてきて貰うよ……リンゼル…」
「えっ!?はっ、はい!」タタタッ
急に私任せっ!?てっ、手を繋いでで良いかな!?それとも抱っこかな!?分からん!
「ごめんね……今はよく分からないと思うけど、とりあえずお姉さん達についてきて欲しいな……言うことを聞かないとそれはそれはコワーイ方がやってきてお姉さん達も君も喰べられちゃうかもしれない…」
「えっ……」
あっ、脅しすぎたかな?
「………パパとママは…?一緒にいかないの?」
「ぁ…パパとママはちょっとだけ、ここでお留守番かな?本当は埋葬してあげたいけど……ほらっ、コワーイ方がとっても怒りやすいと言うか、短気と言うか、滅茶苦茶怖いと言うか……とっとりあえず!時間がないんだっ!私達に付いてきてくれないかな?」
「………お姉さんたちはナニモノ?」
「…それも追々……その内話すから!今は付いてきて!はい!手!」
手を繋ぐ方向で良いかな!?
「………」ぎゅ…
「!…」
あっ、繋いでくれるんだ!流石に知らない人の手って言うか、以下にも怪しそうな連中の手は取らないかなって思ったけど、その場合申し訳ないけど、私が手を引いて無理矢理でも連れて行くしかないって思ったけど、心が痛むけども!
ザッザッザッ
「うわーんうわーんっ」
屋敷への帰りの道中、何度も少年は両親を思い出しては声をあげて泣いていた。
当然だ、目が覚めたら両親が死んでいて、その上訳の分からないまま故郷から離れることになったんだ……突然泣き出したくなることもある。
少年の手を引いている私は事あるごとに突然泣き出しす少年に「ごめんね…ごめんね…」と謝ることしか言えない…出来ない。彼の泣き声を聞きながら、屋敷への道中はただただ虚しく、悲しみに溢れながら歩いて行くしかなかった……
道中、私もちょっと半泣きだった。流石に子供の泣き声は堪えるものがある。実は少年と一緒になってうわんうわんと泣いた夜もあった……流石にそれはヒルダ先輩もガイエル先輩も困っていた……いや本当にすみません……彼の悲しみに感化されちゃって、一緒になって泣いてしまった……
はぁ、百年生きてもまだまだ未熟だなぁ…




