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無能な吸血鬼少女  作者: 愚かな黒ウサギ
20/48

人里へ到着!《19》





  炎が囂々と燃え盛る……



「キャーッ助けてー!!」

「痛い…熱い…苦しい…」

「誰かっ誰でもいいっ助けてくれ!!」

「ギャアアアッ」



  人々の絶望の声……



  わぁ~地獄絵図だ~……人々の阿鼻叫喚、そしてめちゃくちゃ燃えてる人里……



  帰って、いいですか?




「…これは……」


「……酷いものね…」



  先輩方冷静過ぎません!?いや一応驚いてはいらっしゃるけども!


  やっと人里を見つけたと思ったら、炎で村が燃え盛って人々の悲鳴やら叫び声がめっちゃしてますけど!?



「……どうやら我々が来る前に魔物の大群に襲われたらしいな……」


  ゼディアス様の冷静な分析!


「そのようですね……どうなさいますか?」


  ガイエル先輩の冷静な返答!


「えっ…えっ……ホアッ!??」


  無能のアホな困惑した反応!



「………魔物を蹴散らしつつ、生き残っているような者が居るようなら、その人間を眷属に変えろ、以上だ、散れ」


「「「はっ!」」」

「あ、はっはい!」


  うぉーっ!!もう何だかよく分かんない状況だけど、人間狩りじゃーー!!






  とは言ったものの、私には眷属にする力がないからガイエル先輩とヒルダ先輩に付いていくのみなのだけど……



  あ、わりと生き残って居る人たち居るな~


  お、逃げ惑う人達を素早く捕まえて眷属化している、凄いな~流石はガイエル先輩とヒルダ先輩だ、仕事が早い。


  死にかけの人も適正さえあれば眷属化可能だもんな~ほんと、ある意味どんな回復術より凄い事かもな~ヴァンパイア化って。


  まぁそれにしても、魔物が押し寄せてきたと思ったら、吸血鬼がきて眷属にさせられるんだから、村の人達は踏んだり蹴ったりだな~


  私もやっと死ねると思ったらヴァンパイアにされて生きているんだから、まぁ人生とはよく分からんものよ。




「ギャァアアアッ」

「うわーっ」

「…たす…け、て…」

「うわーんっママ~!!」



「先輩方~こちらの方に生き残ってる人達が居まーす!」


  生け贄の方々はこちらでーす!


「了解」

「教えてくれてありがとうね、リンゼルちゃん」


「いえいえ~!」


  さあ!無能たる私だって役に立ちますよ!生き残ってる人居ませんか~?今ならどんな怪我も治せるヴァンパイア化が出来ますよ~!その代わり奴隷になりますけどねー!何事も代償が付き物ですよね~!アハハ~!!

 





「………」キョロキョロッ



  うーん、そろそろ生き残ってる人達少なくなってきたかな?もしくは殆ど死んだかな?


  まっ、とりあえずこの辺には居ませんでしたよ~って二人に念話で連絡連絡~………



「………ぁ……」



「!」キョロキョロッ


  微かに人の声がしたような…?


  何処か見逃してる部分がある?



ザッザッザッジャリッ……



  この辺かな?声がした方は……



「…ぁ……ぅ……」



「!……こども?」


  子供だ、金髪の少年、5~6才ぐらいかな?男の子、だよね?顔が煤だらけで少し分かりづらいけど……



  私は少年に近付き、パッパッと手で顔の煤を払い…


「ほんと(すす)だらけ……顔真っ黒……」



  おっ、顔見えてきた……わあ…綺麗な顔立ち、睫毛なっが!肌も白くて綺麗だな~、これが若さか。こりゃ将来美青年になること間違いなしだな……とと、そんな事を考えてる場合じゃない。少年の状態を確認した。



「ふむ……」



  ふむふむ……血は出てないみたい……気絶?しているのかな?煙を吸いすぎて倒れちゃった感じかな?


  それに………


  この男の子の周辺を見渡すと、大人の男女の二人が血を流して倒れていた…



  顔立ちそっくりだから、この男の子のご両親だろうな………


  この男の子を守るように倒れている……自分の子供を命がけで守ったんだな……実際にこの男の子は傷一つない……ご両親は魔物に切り裂かれたような傷跡が沢山あった……



「君は、とても愛されていたんだね…」



  私は男の子の頭を撫でながら、考え込んだ。



  この子は………先輩方に伝えないで置こうかな……例え吸血鬼になってまで生き残ったとしても、この子のご両親だって望まないだろう……人間として生き残ってほしいだろうし……吸血鬼になったところで待っているのは奴隷生活だ。


  いつもは付き出してるところだけど、今回はこのご両親の健闘に称えて、見なかったことに……




「何をしている?」


  重低音の声が、脳に、耳に、響く……



「ゼディ、アス…様…?」



  やばい、一番見付かっちゃいけない人に見つかった……



「………」


  ゼディアス様は男の子とその傍らで死んでいるご両親に目を向けた……



「そのガキはまだ息をしているな…」


「ぁ……はい……」


  これは駄目だ、彼は吸血鬼にされるな……運がなかった…としか言いようがない…。



「何をしている?」


「えっ…?」


「何を突っ立っている?早く眷属化しないか」


「えっ、いやっ私はっ……眷属化が下手で…」


「あぁ知っている、だからだ」


ゾクッ

「………まさ、か…」


  あぁ……この人は、なんて恐ろしい命令を下すんだろう………私に彼を殺せと言っているようだ……



  こんな子供にあんな惨い死に方をさせろと?このままでも自ずと死んでいく、だけど、それよりも辛い死に方を選ばせるのですか……



「彼は……ほっておいても、死にますよ?」


「それがどうした?」


「………」


「私が殺れと言えば殺るのが貴様ら奴隷の役目だ、さっさと殺れ」


「………はい…」


  聞くしかない……だって私はこの吸血鬼の奴隷なのだから……


  ごめんね、少年……本当はこのままご両親と一緒に逝かせてあげたかったけど……


  楽に逝かせてあげられそうにない……



  ごめんね………ごめんなさい………



ドクンドクンッ


「………」


  あぁ、心臓の音がうるさい……昔眷属化に失敗して死なせた人間がフラッシュバックする……


「ハハッ…」ポタポタ…


  乾いた笑いが込み上げる……涙がポタポタと少年の顔に落ちる……



「ごめんね……」




  カプリッ



  彼の腕の筋にカプリッと牙を立て血を彼に注ぐ…



  ふと……妹のピーリフの顔が浮かんだ……



  あぁ、最後に別れたの、いつだったけ?まだピーリフも子供だったよね……気が付けばとっても大人びた子供になっていたなぁピーリフ。それこそ、この少年と同じぐらいの歳……


  ハハッ、本当に7歳かな?この子…って思うほど、ピーリフは大人顔負けに成長していったなぁ……私のせいでもあっただろうけど……父さんと母さんの期待を一手に引き受けたんだ…その重みは計り知れない…心の成長が早かったのは致し方なかったのかもしれない…


  あぁ、あの子は、どんな大人になっていたのかな?少しだけ、見たかったな……



「…ハァッハァッ」


  やばい…血を注ぎ込み過ぎたかも……



「………」


  血を注ぎ終わり、彼が死ぬのを待っていた…



「ぅっ…ぁっ……ぐがぁああああああああ゛っっ」



  血を注ぎ込まれた少年がもがき苦しみだし、あまりの痛みで獣のように叫びながら、身体をジタバタとさせ、そして少年の身体の所々に亀裂が入ったようにヒビが入り始めた。



  あぁ…やっぱり、あの時と同じようにこの子も……




「がぁああああああ゛っっ………ぁぁ………ぁ………」シュウ…



  すると、亀裂が走ってヒビが入っていた肌がみるみると回復していくようにヒビがふさがり、大きく叫び声を上げていた少年が亀裂が全部なくなり痛みも無くなったからだろうか、すぅっとそのまま気絶するように眠った…



「えっ……」


  何が起こったの?


「ほう……適合したか……」


「えっ…適合した…?適合したってことは……眷属化が、成功したってこと…?」


「フン……見世物としてはつまらん結果だが……まぁこれはこれで僥倖だ……」ザッザッザッ



  そう言い残しゼディアス様はサッサと立ち去っていった。



「うそ……成功したの?わたしが?」



タタタッ


「リンゼル!」

「リンゼルちゃん!もうっ離れてちゃ駄目じゃない!」


「ガイエル先輩、ヒルダ先輩……すみません…」


「無事で良かった…大きな呻き声がしたから一体何事かと……あれ?リンゼル、その子は?」


「見たところ私達と同じ匂いがするから、眷属化した子かしら?あら?でもそんな子に私達血を与えたかしら?」


「えっと……何処から説明すればいいか…」


「………まさかだけど、リンゼルがこの子を眷属化したの?」


「えと……こくり」


  私は未だ戸惑いが隠せないでいたが、とりあえずガイエル先輩の問い掛けに頷いた。



「!…そうか…」

「嘘でしょう!?あのリンゼルちゃんがっ…いえそれは失礼ね……えっと、ほっ本当に?」


「は、はい……私も信じられませんが…」


「ふむ……そっか、凄いねリンゼル、初めての眷属化成功おめでとう!」


「そ、そうね!リンゼルちゃんおめでとう!本当に凄いわね!」


「あ……はい、ありがとうございます…」


  何だか照れくさいような、本当に良かったのかな?って言う気持ちでいっぱいだけど……



  無能たる私、百年経って初めて吸血鬼の能力を使って成功しました。



  私は少年があんな酷い死に方をしなくて良かったと思うと同時に、彼を吸血鬼にしてしまった自分の責任感?と言うものだろうか?そういうものがフッと沸いてきて、少しだけモヤモヤとした気持ちのまま、とりあえず少年を回収せねばと少年の方へ近付き手を伸ばす……



「ん……」


  すると、少年がゆっくり目を開けた……



「っ!」



  起きちゃったーっ!?


















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