お片付け《16》
ザッザッザッ
「ふぅ……この辺はこのぐらいで良いかな?」
あれからバルト先輩とゼディアス様の闘いが終わり、生き残った吸血鬼達のみんなで、闘いでボロボロになった屋敷の後片付けをしていた。
私は小さな瓦礫の破片の処理や散らばった食器類や本棚の整理をしながら、ホウキで周辺の掃除をしていた。
ガイエル先輩とヒルダ先輩はやはり思うところがあるのだろう、暫く“3人”だけにしてくれと、後で手伝いに行くと言って、二人はバルト先輩の亡骸の元で、暫し別れを惜しんでいた。
私達は空気を読んでそそくさとその場を後にして、屋敷の瓦礫の撤去や修復に向かった。
それにしても、バルト先輩が半分ぐらい同族の吸血鬼さん達を喰らったからか、人手が足りない。しかも上位の吸血鬼さん達が大半バルト先輩の部下だったから、上位の吸血鬼不足が否めない。残ってる子達の殆どが幼い子供や下位の吸血鬼達ばかりで夜行動しか出来ない。二人の闘いが終わったのが丁度夕方ぐらいだったから、屋敷がボロボロで所々外の光が漏れていることもあり、日が当たらない地下の奥の奥の方の部屋まで下位吸血鬼の私達はギュウギュウ詰めになりながら、日が沈んで夜になるまで時間を経つのを待っていた…。
狭い部屋の中でギュウギュウ詰めにされていたからか、ストレスか不安かでみんな騒がしくしていた…「えっ?どうする?この時間?」「狭いよー!」「我慢しろ!」「ちょっと胸に手当たってるんですけど!」「ごっごめんって!ワザとじゃないんだ!」「コラッこんな狭い所で暴れるな!」「おいっ誰だ俺の尻触ってんの!」「俺だ!」「えっ?」「とりあえず日が落ちるまで耐えるんだ!」「誰か助けて!」と言うやり取りをしながら下位吸血鬼達のみんなと悶々とした時間を過ごした。なんか一部鬼気迫る何かを感じたけど、気のせいかな?
その間残った少数の上位吸血鬼の方々が夕方お片付けをしていた。そして夜になって私は今掃除に勤しんでいる。
うーん、それにしても大丈夫かな?ここの屋敷……もし何か強い化け物か魔物の大群か、人間側の魔物を狩るハンター達が此処に攻めこんで来たら、終わらない?私達?いや、ゼディアス様やガイエル先輩にヒルダ先輩が居るから大丈夫か?いやでもゼディアス様もたまに屋敷から離れる時あるし、ヒルダ先輩もガイエル先輩も食事の確保だったり戦争に参加したりだったりで屋敷から離れる事あるな……
え……本当に大丈夫か?ここ?
ベチャッ
「っ…?」
そんなことを考えてると、ベチャッと足元から変な音が聞こえた。
ん?ベチャ?何か踏んだ?誰かこの辺で脱糞でもした?
一体なんだろう?と思い、足元を確認すると……
「えっ……」
辺り一面が血の海でした……
「ギャアアアアアッ!!?」
なにこれ!?こわっ!どういうこと!?よく見れば見知った顔の吸血鬼さん達の死体もチラホラ転がってますが!?本当にどゆこと!?
「なんだ!何があった!?」
あっ、私が驚いて大きい声を出したせいか、どうやら近くで掃除していた最近入った新人の子が駆け付けてくれたみたい!おや?何処かで見たような?ん~…茶髪に茶色目、お目めパッチリね!丸顔で可愛らしいこの童顔!確か歳は14才?だったかな?お年頃な少年で童顔を気にしてるとか何とか聞いたような…?合ってるかな?
あれ?この子、名前はなんだっけ?えーと確か……バ、バ……バ………
「あっ、バカくん!」
「バイカだよっ!テメー喧嘩売ってんのか!?」
「そっか!バカくんだったね!」
「全然理解してねえじゃん!テメー馬鹿にしてんのか!?」
「えっ……あっ、うまい!」
「何も上手くねえよ!何にもかけてねえよ!なんだよっおまえ!つーかよく見たらオメー無能じゃねえか!」
「ハイ!無能です!」
「なんだよコイツ…元気に名乗るしよ……先輩方がコイツに関わると調子狂うから関わらない方が良いって言ってたのが今分かったわ…」
「えっ、そうなんですか!?」
えっ、そうなの!?知らなかった。いや憂さ晴らしに殴りにきたり罵倒する人はちょくちょく居たけど、確かに大半の人は私と初めて話して少し経ったら私のことを避けていた!アレそういうことだったの!?
「んだよ…来るんじゃなかった……戻ろう」
「いやいやっちょっと待って待ってっ!?この状況の説明をっ!!」
バチャバチャッと血の海を当たり前のように歩き引き返すバイカ少年を私は全力で引き止めた!
「この状況の説明?あん?この血のことか?テメー知らないのか?」
「全く何の事やら分かりません!」
いや、こんなこの世の終わりみたいな状況知るわけもありません!
「ハァーッ…めんどくせえ…」ガシガシッ
「ぁっ…あんまり強く頭を掻くとハゲますよ!」
「いちいちウルセエんだよっ!突っ掛かるんじゃねえよ!ハァッハァッ…ちょっと待って、ツッコンでたらキリがねえ…」
「大丈夫ですか?」
「誰のせいだと思ってんだっ!!」
「愉快な方ですね~(ニコニコ)」
「…………ハァーッ……ハァーッ…」
2回溜め息をした…今、2回溜め息したな。
「溜め息しちゃうと、幸せが逃げちゃうぞ☆」
「そろそろ殺すぞ?無能?」
「誠に申し訳ありませんでした!」
調子に乗りました!すみません!だって君いちいち全部反応返してくれるものだからお姉さん楽しくなっちゃって☆
それにしてもこの子、稀に見ぬ良い子だな。普通は私を無視するか私を下に見て罵るかなんだけどな……こーいう子も居るんだな~。
…ってそれどころじゃなかった…!
「この血の海は一体全体どうしたんですか?」
「あ~やっと話せるな……バルト先輩がゼディアス様と闘ってる時、まぁそれに感化された奴らがチラホラ現れたんだよ、俺も!私も!今こそ立ち上がれー!みたいな感じで、ゼディアスをぶっ殺して自由になるんだー!って……」
「あ~…」
あ~……なんか色々と察してきたぞ……
「その結果がアレ…と言うわけですか?」
「わけだわな…」
「なるほど……」
その結果が返り討ちという名の血の海と……恐ろしいな~ゼディアス様、容赦がない。
「教えてくれてありがとう!バカくん!」
「バ、イ、カ、だ!テメー絶対ワザと言ってるだろ!?」
あ、バレた?




