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フードの下の裏取引、そして文明への旅立ち

 木に縛り付けられた三人の野盗は、まだ気を失っていた。


 俺は商人たちに背を向け、地面に転がる敵の武器の山を見つめた。


(へっへっへ……この俺様が、こんなガラクタの剣を何十本も背負って自分の格を落とすわけがないだろう?)


 俺はフードの影で狡猾な笑みを浮かべた。


(いやいや。代わりにこの盗品を、商売の『専門家』に直接売りつけてやるのさ!)


 無言で指先を動かす。


「スティール……スティール……スティール……」


 誰にも聞こえないほどの微かな囁き。


 一瞬にして、野盗たちの持ち物であった短剣、ダガー、革の盾が俺の目の前に綺麗に積み上げられた。

 振り返り、いまだに頭を下げている三人の商人に近づくと、その足元に武器の山をドンッと置く。


「偶然、この辺りで良質な武器を大量に見つけましてね」

 俺は平坦で落ち着いた声で言った。「これです」


 年配の商人は瞬きをし、どこからともなく現れた金属の山を見て困惑した。

「旦那様、これは一体……?」


 俺は薄く微笑んだ。目は全く笑っていない、氷のような笑みを作る。


「これらの武器はまだ十分に使えますし、転売すれば確実に利益が出るでしょう。そこで……おじさん達、これを買い取ってくれませんか? 安くしておきますよ」


 三人の商人は顔を見合わせた。

 商人としての彼らの目は、その武器がなかなかの品質であることを瞬時に見抜いている。

 当然だ。数分前まで彼らの首に突きつけられていた野盗の武器なのだから!


 しかし、俺に対する恐怖からか、彼らは深く追及する勇気を持てないようだった。


「わ、分かりました、若旦那! もちろん買い取らせていただきますとも!」


 若い商人が慌てて言い、上着の内側から革袋を取り出した。

「これで……銀貨百枚になります。いかがでしょうか?」


 俺はその袋を受け取った。

 中で鳴る金属のチャリンという音は、俺の耳には極上のメロディのように響く。


 ゆっくりと頷く。

「十分です。さあ、持っていってください」


 取引が円滑に進んだのを見て、年配の商人は愛想よく揉み手をして一歩前に出た。


「ところで、若旦那と騎士の嬢ちゃんは道に迷っておいでですか? この白樹の森は、不慣れな旅人には少々厄介でしてね」

「よろしければ、国境の街まで我々がお送りいたしますよ。同乗されますか?」


 俺はエリシアを一瞥した。

 彼女は小さく頷き、同意を示した。


「ええ。ちょうど足を探していたところです」

 俺は静かに答える。「あのクソ忌々しい野盗どもが、再びあなた方の馬車を襲う前にね」


「ははっ! それはありがたい! さあさあ、お乗りください! 命を救っていただいたお礼の、ささやかな誠意だと思って!」


 二人の商人は急いで御者台に登り、手綱を引く準備をした。

 エリシアが先に客車に乗り込む。


 俺もそれに続こうとした時、木の幹の方向から聞こえる押し殺したようなうめき声を捉えた。


 恰幅の良い野盗のボスが目を覚ましたのだ。

 奴は、気を失った二人の部下と共に太いロープで固く縛られたまま、馬車が出発しようとしているのを見て、パニックで目を血走らせた。


「は、離してくれ! 頼む、旦那! 命だけは助けてくれぇ!」


 鼻をへし折られたせいで、声は酷くくぐもっている。

 死の森と隣接するこの白樹の森で、縛られたまま置き去りにされるのは、死刑宣告に等しい。


 俺は足を止めた。

 ゆっくりと、その恰幅の良い男の方へ振り向く。


 フードの影の下から、絶対零度の冷酷さで男を射抜いた。


「安心しな、おっさん」


 致命的なまでに嗄れた声で囁き、口角を上げる。

 男の血を凍らせるような、嘲笑の弧を描く。


「その縄は勝手に解けるさ……死の森からやってきた、飢えた巨大狼フェンリルどもが手伝ってくれればな」


「ひ、ひぃぃぃっ!? やめてくれぇ! 置いて行かないでくれぇぇぇッ!!」


 ヒステリックに絶叫し、狂ったようにもがき暴れる男に、俺は一瞥もくれなかった。

 そのまま客車に乗り込み、ほろをしっかりと閉める。


 外からの騒ぎを微かに聞きつけ、すでに背もたれに寄りかかっていたエリシアが、不思議そうにこちらを見た。


「今の音は何? 誰かと話していたの?」


 俺は向かいの席に座り、ゆったりと背中を預けた。

 軽く首を振る。


「なんでもない。ただの森の害獣ネズミさ」


 馬車が動き出した。

 木製の車輪が軋み音を立てて獣道を切り裂き、野盗の絶望的な叫び声から遠ざかっていく。


 御者台から、年配の商人の声が客車の静寂を破った。


「旦那、嬢ちゃん! このまま国境へ直行しますぜ! アエレンデルの街へな!」


 その街の名前を聞いた瞬間、エリシアの肩がビクッと跳ねた。

 銀色の瞳が微かに見開かれる。


「アエレンデル……」


 彼女は小さな声で呟き、顔を伏せ、不安げに茶色のローブの裾をぎゅっと握りしめた。


 俺はその反応を視界の隅で捉えたが、あえて何も聞かないことを選んだ。

 どんな街にも物語がある。そしてこの街は、エルフの騎士の過去の一部を隠し持っているようだった。


「ああ。そこへ頼む、おっさん」

 前方に聞こえるように、少し声を張り上げて答える。


「合点承知!」


 俺は小窓の幌を少しだけめくり、後ろへと流れていく木々を見つめた。

 地平線の彼方で、死の森の暗い影が徐々に視界から消えていく。


(死の森、か)


 自由の風が顔に当たるのを感じながら、俺は心の中で呟いた。


(文明への旅は、今始まったばかりだ。まずはあの街に足場を築く……その前に)


 右手を、ゆっくりと強く握りしめる。

 タツヤの傲慢な顔、ヒロの吐き気がするほど神聖な笑顔、そして女神の見下すような視線を思い出し、俺の顔に再び鋭い笑みが浮かんだ。


(お前らには、俺の復讐をたっぷりと味わわせてやる)

いつも最後までお読みいただき、本当にありがとうございます!


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