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【完結済】異世界複製錬金術師~所有した物を無限コピーするチート錬金で武器も罠も量産無双~  作者: あくす
第五幕 反撃編~対四天王~後編

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第195話:竜の宿命

石柱の上から飛び降りたアドルは、隣に立つミーシャに視線を向けた。


「ミーシャ。ヴァンダルはお前に任せる。俺は一度ガラハドのところへ行き、あの数的不利をなんとかしてくる」


一万対二千。


盾などという守りを一切持たず、己の剣一本のみで戦場を駆け回る純粋な剣士ガラハド。


彼の超人的な奮闘があったとしても、この圧倒的な数の暴力の前では、いずれ騎士団がすり潰されるのは明白だった。


戦場全体を覆すための、大規模な環境錬成が必要だ。


「ええ、わかっているわ、アドルさん。あの脳筋将軍は、私の『四重螺旋』で完全に消し飛ばしてあげる」


ミーシャは頼もしく頷くと、巨大な戦斧を振り回し暴れ狂う第一の将ヴァンダルへと向かって、瞬時に空間跳躍を果たした。


一方、戦場を見下ろす高台。


ルルは、眼下で紫の爆炎に飲まれたアリアとレオンハルトの姿を見て、激しく唇を噛み締めていた。


(あたしが……あたしがもっとしっかりイザベラを抑え込んでいれば、あんな横槍を入れさせることはなかったなの……!)


召喚士としての自分の未熟さが、味方の総大将を絶体絶命の窮地に追いやった。


その重すぎる責任感と悔しさが、ルルの小さな胸をギリギリと締め付ける。


「あら、お嬢さんが責任を感じることはないのですわよ?」


高台の縁に立つ第二の将イザベラが、扇子で口元を隠しながら優雅に笑った。


「王族のふたりは、どちらにしろ死ぬ運命なのですから。私の手を少し煩わせただけ、光栄に思いなさいな」


その冷酷で底意地の悪い言葉に、ルルの内側で激しい怒りのボルテージが跳ね上がる。

魔力が暴走しかけ、周囲の大気がビリビリと震え始めた。


「お前……絶対に許さないなのっ!」

「落ち着け主、安い挑発に乗るな。相手の罠だ」


激昂して突撃しかけたルルの前にスッと腕を出したのは、白銀の髪を持つ人型のシルヴァだった。


その冷ややかで冷静な声が、ルルの頭に少しだけ冷水を浴びせる。


ルルの身を覆うオーラと同化しているすらたんも、脳内で素早く状況を計算し、直接声を響かせて同意した。


「そうです、冷静に行きましょう、マスター。アドルさんはこちらには回れないと思います。自分たちの力で、このイザベラを倒す方法を考えないといけませんよ」


「っ……! そうなの、わかってるなの……でも、あいつっ!」


ルルが必死に怒りを抑え込み、杖を握り直していると、イザベラの視線がルルの隣に立つシルヴァへと向けられた。


「あら、その横にいるのは……ブリザードアルティメットドラゴンかしら? 久しぶりに人型を見ましたわ。ふふ、ならばこれはどうかしら」


イザベラが扇子を振り下ろすと同時に、彼女の背後に極大の召喚陣が展開された。


空が赤黒く染まり、周囲の大気が息苦しいほどの異常な熱を帯びていく。


「顕現しなさい。すべてを灰燼に帰す、焦熱の化身よ」


召喚陣から姿を現したのは、シルヴァと対をなすような、巨大な紅蓮の竜だった。


その全身から噴き出す炎が、周囲の岩をドロドロに溶かしていく。フレイムアルティメットドラゴンだ。


「なっ……」


シルヴァが目を見開き、常に余裕を見せていたその顔に驚愕の色を浮かべる。


「ほう。誰かと思えば、北の凍土の引きこもり、白銀のブリザードドラゴンではないか」


フレイムドラゴンは、その巨大な顎を揺らして重低音で笑った。


「よもや、この俺がイザベラと契約していることにも驚いたか? だがそれ以上に驚きなのは、誇り高きお前が、そんなどこぞの小娘の召喚獣に成り下がっていることだがな!」


「……貴様、なぜ魔族の女などに力を貸している。我ら竜族の誇りを捨てたか」


「誇りだと? 力こそがすべてよ。この戦場で、俺の炎が最強だと証明してやる!」


かつて同格のライバルとして凌ぎを削った、伝説のドラゴンの出現。


シルヴァは静かに目を閉じ、そして、決意を込めた瞳でルルを振り返った。


「主、すまぬ。我はコイツと全力で戦わねばならないようだ」


そう言い放つと同時に、シルヴァの全身から猛烈な吹雪が巻き起こった。


人型の肉体が弾け、純白の分厚い鱗と巨大な翼を持つ、ブリザードアルティメットドラゴンの真の姿へと変貌を遂げる。


シルヴァは巨大な竜の姿のまま、ルルを包み込むすらたんのオーラに向かって重々しく告げた。


「エンシェントスライム。主を任せたぞ」

「はい! マスターはお守りします!」


『行くぞ、白銀の! お前のその冷気、俺の炎で完全に蒸発させてやる!』


『吠えるな、トカゲもどき。我が絶対零度で、貴様の核まで凍てつかせてくれるわ!』


ルルとイザベラという主の戦いを飛び越え、白銀の吹雪と紅蓮の炎が上空で真っ向から激突する。



天を焦がし、地を凍らせる。伝説のアルティメットドラゴン同士の、天地を揺るがす死闘が今、幕を開けたのだった。

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